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2022.11.11

堂場瞬一【黄金の時】

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著者:堂場瞬一
価格:1,815円
カテゴリ:一般
発売日:2015/06/10
出版社: 文藝春秋
利用対象:一般
ISBN:978-4-16-390274-6

作家の本谷は、亡くなった父親の遺品を整理中に意外なものを発見する。1963年、まだ日本初のメジャーリーガーが誕生する以前、マイナーリーグのサクラメント・ゴールドハンターズで野球をする若き日の父が写った一枚の写真だった。

 

久しぶりに堂場瞬一のスポーツものを見つけた。
堂場瞬一は、刑事物よりスポーツものの方が圧倒的に面白い。

で、本書も面白かった。ほぼ一気読み。

作家の本谷が急死した父の遺品を整理するところから始まる。

父のパソコンの中に遺された写真のデータや、段ボール箱から見つかったスコアブックなど。さらには、今も当時の記者とメールのやりとりをしていたことも、驚きだった。
生前野球は嫌いだと明言していたし、彼とは折り合いが悪く、ほぼ没交渉だった。

ちょうど周年記念に何を書くかと悩んでいたこともあって、彼は父と野球との関係を調べに渡米する。
当時の関係者はほぼいなかったが、当時彼とは折り合いが悪そうだった元選手(彼は誰とも馴染まなかった)に会うことが出来た。

チームにいるときの若き父親の描写が、実に生き生きとしている。

父と渡米後の彼との話が交互に出てきて、もう少し続きを……と思ったところで、次の話者に移る。
それも、その前の話を受けて。

父と息子というのは、いつの時代でも難しいものかもしれない。
しかしこの「私」は、かなり頑固者だ。
これも父親譲りなのか。

野球をしていた頃の父親を思うと、「私」のかたくなさが少々うらめしい。
だれにでも、こういう若い時はあったのだ。

 

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