堂場瞬一【黄金の時】
著者:堂場瞬一
価格:1,815円
カテゴリ:一般
発売日:2015/06/10
出版社: 文藝春秋
利用対象:一般
ISBN:978-4-16-390274-6
作家の本谷は、亡くなった父親の遺品を整理中に意外なものを発見する。1963年、まだ日本初のメジャーリーガーが誕生する以前、マイナーリーグのサクラメント・ゴールドハンターズで野球をする若き日の父が写った一枚の写真だった。
久しぶりに堂場瞬一のスポーツものを見つけた。
堂場瞬一は、刑事物よりスポーツものの方が圧倒的に面白い。
で、本書も面白かった。ほぼ一気読み。
作家の本谷が急死した父の遺品を整理するところから始まる。
父のパソコンの中に遺された写真のデータや、段ボール箱から見つかったスコアブックなど。さらには、今も当時の記者とメールのやりとりをしていたことも、驚きだった。
生前野球は嫌いだと明言していたし、彼とは折り合いが悪く、ほぼ没交渉だった。
ちょうど周年記念に何を書くかと悩んでいたこともあって、彼は父と野球との関係を調べに渡米する。
当時の関係者はほぼいなかったが、当時彼とは折り合いが悪そうだった元選手(彼は誰とも馴染まなかった)に会うことが出来た。
チームにいるときの若き父親の描写が、実に生き生きとしている。
父と渡米後の彼との話が交互に出てきて、もう少し続きを……と思ったところで、次の話者に移る。
それも、その前の話を受けて。
父と息子というのは、いつの時代でも難しいものかもしれない。
しかしこの「私」は、かなり頑固者だ。
これも父親譲りなのか。
野球をしていた頃の父親を思うと、「私」のかたくなさが少々うらめしい。
だれにでも、こういう若い時はあったのだ。
| 固定リンク
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 吉田恵里香【恋せぬふたり】(2025.03.28)
- 仁木悦子【聖い夜の中で】(2025.03.27)
- 【本の雑誌 3月号】(2025.03.25)
- 江口恵子【普段使いの器は5つでじゅうぶん。】(2025.03.21)
- 堂場瞬一【英雄の悲鳴 ラストライン7】(2025.03.19)
コメント