中島たい子【院内カフェ】
著者:中島たい子
価格:1,540円
カテゴリ:一般
発売日:2015/07/07
出版社: 朝日新聞出版
利用対象:一般
ISBN:978-4-02-251289-5
病院のカフェは優しい。
想像していたのとは、少し違ったが……。
小説を書きながら、週末だけこのカフェでアルバイトをしている女性目線での話がメインだが。
夫は酵母菌を使ったパンを売る店を経営していて、週末は忙しい。
テキパキと仕事をこなす、ほぼいつも一緒に勤務する大学生のアルバイトが感じいい。
そして、色々なお客が訪れる。
そのお客目線で、各章が進んで行く。
どの客も一応病院とは何らかの関係があり(入院中だったり、家族の見舞いだったり)、それぞれの事情が語られる。
両親を看取ってやっと自分の時間を持てるかと期待したのもつかの間、今度は夫が難病に罹ってしまった。自分の人生を嘆く妻。
一方夫の方にも言い分があって、それでも自分の過去の過ごし方を反省したりはしている。
その妻は、あろうことかこのカフェで、夫にラテを頭からぶちまける。
それでも、病室ではなくカフェで会うことで、何とか均衡を保とうとする夫婦の話とか。
患者でもなさそうな「いつも粘る客」もいれば、「白衣を着てはいるが医者ではなさそうな客」もいる。この人も、いつも長居をする。
色んな人生を見ている病院だが、院内カフェはそれを少し角度を変えて見ている感じかもしれない。
5年前に入院していた、川向こうの病院のカフェを思い出した。
ほぼ毎日、午後になるとそこで紅茶を頼み、モンブランを食べていた。フロアの端っこにあって、病院とは関係ないような場所だったのが気に入っていた。
今通っている病院のカフェは、受付や会計もある階にあるせいか、いつも客が溢れて並んでいる。某チェーンのコーヒー店である。
本書にあるような、病院とは一線を画している感じではなく、入ったことはない。
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