石持浅海【Rのつく月には気をつけよう】
著者:石持浅海
価格:628円
カテゴリ:一般
発売日:2010/09/01
出版社: 祥伝社
レーベル: 祥伝社文庫
利用対象:一般
ISBN:978-4-396-33605-9
ミステリーファン注目の著者が贈る傑作グルメ・ミステリー!
わたし(湯浅夏美)が語り手の短編集。
学生時代からの飲み仲間、長江高明、熊井渚と、時折集まって飲み会をしている。
3人の内誰かがゲストを連れてきて、ホストを務めるという趣向。
熊井は食料品会社に勤めていて、食べ物の蘊蓄を披露したがる。
長江は容姿もいいのに、頭がよすぎて女性から近寄りがたいと思われている。
この長江が、ゲストの話からウソの部分を見抜き、いわば安楽椅子探偵を務める。
一緒に聞いて(? 本で読んで)いるわけだから、読者も同じ条件で立ち会っているのだが。
表題作【Rのつく月には気をつけよう】
「Rのつく月」とは、9月から4月までの、牡蠣を食べても大丈夫だという月のこと。
今回のゲストは夏美の職場の同僚で、牡蠣に中ってトラウマになっている女性。
場が弾んで話が彼女の体験談になった。熊井が貝の毒について蘊蓄を傾ける中、彼女の話の矛盾を突いたのが、長江だった。
彼女の話でオヤッと思ったところはあって、それが事件解決の鍵だった。
【夢のかけら 麺のかけら】
ここで言う「麺」とは、何と元祖チキンラーメンのこと。
チキンラーメンはそのままでも食べられるとは、昔聞いたことがある。試してみたが、たしかにたくさんは食べられないが、なかなかおいしかった。
ビールのアテとして食べるには、麺を砕く必要がある。そこからとある失敗を隠すために麺が利用されたのだが……。
夢の「かけら」が夢の実現にまで昇華してよかったかな。
【火傷をしないように】は、チーズフォンデュだ。
チーズから連想して「チョコレートフォンデュ」への謎かけのバレンタインデープレゼント。
しかし「それを解け」と言われても、肝心の相手に伝わらなければ何にもならない。
固い「豚の角煮」を作ったのには意味があったのかを問う【のんびりと時間をかけて】
【身体によくても、ほどほどに】
銀杏が喘息や夜尿症に効くとは知らなかった。
夏美の婚約者冬木の妹に降りかかった災難を描く【悪魔のキス】は、正体不明になるほど泥酔することへのいましめか。
最後は【煙は美人の方へ】では、夏美と冬木は結婚している。
最後の巻というわけで、今回限りで長江は引っ越してしまう。
しかしこの「ミスリード」は、あまりスッキリしたものとは言い難かった。
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