有栖川有栖【山伏地蔵坊の放浪】
著者:有栖川有栖
価格:704円
カテゴリ:一般
発行年月:2002.7
出版社: 東京創元社
レーベル: 創元推理文庫
利用対象:一般
ISBN:4-488-41404-4
土曜の夜、常連相手に地蔵坊の体験談が始まる。常連諸氏は〈黒後家蜘蛛の会〉よろしく真相を当てようと談論風発。
腕利きのバーテンでもあるマスターがいる「えいぷりる」には、土曜の夜ともなると常連が集まってくる。
ダンディな出で立ちを崩さない洋品店の主、藪歯医者、写真家で写真館経営の床川夫妻。そしてレンタルビデオ屋の、僕 青野。
そこへは、地蔵坊という山伏がゲストとしてやってきて、彼の体験した事件を話す。
山伏が探偵という、一風変わったミステリ。山伏は事件の概要を詳しく話し、事件の謎解きを常連客に投げかける。
収録作品は、
「ローカル線とシンデレラ」
「仮装パーティーの館」
「崖の教祖」
「毒の晩餐会」
「死ぬ時はひとり」
「割れたガラス窓」
「天馬博士の昇天」
の6篇。
いずれも短いものなので、サクサク読める。
【仮装パーティーの館】では、よく似た仮装をした二人の入れ替わりが肝だが、これらを知らないと面白さは半減してしまうかな(自分は知らなかった)。
【崖の教祖】は、よく似た話が新聞紙面を賑わしている。
【死ぬ時はひとり】は、せっかくの息子への愛が、真相を暴かれて報われることがなさそうだ。
警察は解決できそうにないし、地蔵坊は、見逃したのだろうか?
タイトルも、哀れを誘う。
一見仲良く暮らしている隣人同士。
その中にも殺意が潜んでいた【割れたガラス窓】は、あまり読後感がよくなかった。
「えいぷりる」に集まる常連が、必ずしも地蔵坊の話を信じているわけではなく、しかし酒の肴としてその日の飲み代を持つという設定はどうかなぁ。
地蔵坊が気の毒な気がした。
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