青木祐子他【とっておきのおやつ。 5つのおやつアンソロジー】
著者:青木祐子他
価格:616円
カテゴリ:一般
発売日:2018/09/20
出版社: 集英社
レーベル: 集英社オレンジ文庫
利用対象:一般
ISBN:978-4-08-680213-0
甘くてかわいいだけじゃない、人気作家が描くスパイスの効いた“おいしい"話。
青木祐子さんのものを読みたくて購入、こういう短編集は好きだ。
冒頭作は、その青木祐子「レンタルフレンド バニラクッキーは砕けない」。
レンタルフレンドという、変わった人材派遣会社に所属する七実。相手の希望に合わせた設定と服装で、楽しく午後を過ごす。ここで大切なのは、まったくその気になって付き合うこと。
一人では行けない「食べ放題ケーキ」を、友だちと一緒になら行けるかと申し込んできた香住だったが。どうも彼女はコミュ障があるようだ。
それにしても、依頼料の高いこと。一介の大学生なのに利用するとは、そっちの方が驚きだった。
二つ目の「 たぬきとキツネと恋のたい焼き」は良かった。
サラリーマンを辞めて故郷で「たいやき屋」を始めた父。
その父に反発しながらも、店がうまくいってないと知って、神頼みに出かける主人公。
そこで出会った「キツネさん」とだんだん親しくなっていくうちに、アドバイスを得て工夫したたいやきを売るようになる。
その「キツネさん」は、ある日突然いなくなった。
何年も経って、二人は再会する。
そして「たいやき」の味は、娘や孫娘にも受け継がれて……。
しっぽまで餡子が入った鯛焼きは本物では無いとか聞いたこともあるが。でも、おいしい餡子が詰まった鯛焼きなら、しっぽまで食べたくなるよね。
次の「明日のおもひでフレンチトースト」は、イマイチだった。フレンチトーストはおやつというより食事のような気がする。
姉が家を出るのが結婚のためだというのを最後まで明かさなかったのには、何か意味があるのだろうか?
4つめの「悪友と誓いのアラモード プリンアラモード」は、あたりだった。
章扉がよく読めなくてウッカリしていたのだが、著者は小湊悠貴。
実業家の家に生まれた宗一郎の語りで進んで行く。
代議士の家でのパーティー。そこで同じ学校の誠を見かけて話すようになる。
二人は同級になってからよくつるむようになり……。
なのだが、そのパートナーのあった家の庭にバラ園があるあたりで、あれっ?とは思ったのだが。
その家の別館を下宿として二人で住み始め、その名を「猫番館」としたところで、ハッキリ気づいた。
これは、「ホテル猫番館が出来る前の、オーナーとホテルのパティシエの二人だ、と。
最後の「おじさんと俺 あんみつ」もよかった。
仕事を辞めてきた日に出会った、不思議な初老の男。
彼に誘われて甘味処であんみつを食べることになるのだが。
仕事への矜持を話すうちに意気投合し、新しい会社設立の話にまでいってしまった。
「あんみつ」恐るべし!
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