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2023.02.08

仁木悦子【赤と白の賭け】

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著者:仁木悦子
価格:660円
カテゴリ:一般
発行年月:1973
出版社: 講談社
利用対象:一般

平々凡々の日常のなかに、ふと忍び寄ってくる7つの事件!

 

【赤と白の賭け】

赤と白とは、葡萄酒の色。
どちらかに毒を入れておいて試す話しは、有栖川有栖にも出てきた。いや、そちらの方が後からだ。

しかしうまく毒をかわした、この不誠実な男。
命は助かったが、この現場を警察に知られたら、仕事も結婚生活もこのままでは済まされまい。

この男のせいで娘を失った父親にとっては、まさに命をかけた賭けだったのかもしれない。

 

【石段の家】は、著者お得意の子ども探偵もの。

小学5年生の兄はともかく、2年生の妹が言ったひと言が、母親の濡れ衣をはらすきっかけになった。
それにしてもこの妹、実に大胆なことをしてくれる。

 

【幼い実】

「幼い実」とは、「るりみ」と名付けられた幼子のことだろうか。

 

【ひなの首】

ああ、これは結婚した悦子さんが語り手だなとは、すぐ気づいた。「テッツン」という言葉が出てきたからだ。

【悪漢追跡せよ】

これも子ども探偵。

父が亡くなっていて、どうやら母親が再婚したそうなのが気に入らない姉。弟は、素直にその男性になついている。

男性が付き合っていた女性が殺されて、彼ばかりか母親までもが疑われそうになって慌てる姉。実は男性のアリバイ証明になる手紙を、自分が破って捨ててしまっていたのだ。

そこから姉弟の探偵譚がはじまる。

ビーズを落とした跡をたどる探偵ごっこが役に立った。

【黄色の誘惑】

黄色大好きな主婦が、出来心からレモン色のスカーフを万引きしてしまう。

それを見ていたという一見紳士風の男から、万引きのことを口外しないことを条件に、とある家から赤ん坊を連れ出すことを約束させられる。
その赤ん坊は紳士の子で、離婚した妻が再婚して育てているのだという。

言われるまま実行した主婦だったが……。で、ドキドキしながら読んだ。

いい方向で解決して、本当によかった。

【霧のむこうに】

記憶を失った男と、彼を拾ってくれた女。子どもが出来たが、生みたい女に対して、男は失われた過去を求める。

結果、妻が悲しむ方向に向かずに、本当によかった。
これからは、お互いを支え合いながら暮らしていけるだろう。

 

本書には、ガスで人が亡くなる話しが出てくるが、この頃(1970年代?)にはまだ推理小説のネタにガスが使われていたんだ。
次第に天然ガスになって、「ガスで自殺は出来ません」という話しが広がってきたように思うが……。

 

やはり、仁木悦子さんの描く子どもたちは生き生きしているなぁ。

 

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