松本清張【点と線】:鳥飼重太郎のこだわり
著者:松本清張
価格:605円
カテゴリ:一般
発行年月:2003.5
出版社: 新潮社
レーベル: 新潮文庫
利用対象:一般
ISBN:4-10-110918-4
時刻表トリックの古典にして、今も瑞々しい傑作ミステリ。
有栖川有栖著【論理仕掛けの奇談 有栖川有栖解説集】を読んでいて、矢も楯もたまらず何度目かの再読。
最初に読んだ頃、東京駅ならぬ近鉄上本町駅で、8つのホーム全てが見通せる時間に出会って嬉しかったことなど思い出す。
有栖川氏と違って、読むたびに読後感が変わっていくということはない。
本書を初めて読んだのは20代に入った頃かと思うが、それでも「移動手段」の「気づかなさ」には不満があったのだが。
また、あまりにも偶然に頼りすぎということも気になっていた。
香椎駅が見たくて、大分へ行くのにわざわざ小倉まで行き、鹿児島本線に乗ったこともあったっけ。
下関駅からの各停では、しっかり目に焼き付けた。
病床に或る女性の、時刻表頼りの「エア旅行」も懐かしい。
さて今回は、刑事鳥飼重太郎のこだわりについて一緒に考えてみた。
彼は、特急「あさかぜ」で一緒に乗車した男女の男の方だけが食堂車を利用したことに不審を抱いている。
それを糺そうと、結婚間近い娘に「彼が何か食べたいといったとき、自分は空腹ではなかったときにどうするか」などと尋ねたりしている。
その応えは、彼の「それが普通ではないか」と思うものだった。
自分の食事中に給仕はしても一緒にお茶を飲んだりせずに縫い物をしている妻へのあてつけ(昔流甘え)もあるのが、微笑ましい。
いや、本人は真剣に尋ねている。
関連記事
松本清張【点と線】(05.10.10)
| 固定リンク
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 篠田真由美【センティメンタル・ブルー】(2025.03.17)
- 【くらべて、けみして 校閲部の九重さん】(2025.03.13)
- 【Casa BRUTUS特別編集 器の教科書】(2025.03.11)
- pha【移動時間が好きだ】(2025.03.10)
- 林望【節約を楽しむ あえて今、現金主義の理由】(2025.03.08)
コメント