有栖川有栖【スイス時計の謎】
著者:有栖川有栖
価格:792円
カテゴリ:一般
発売日:2006/05/16
出版社: 講談社
レーベル: 講談社文庫
利用対象:一般
ISBN:4-06-275387-1
ご存じ国名シリーズ第7弾、これぞ本格だ!
国名シリーズは最初から読み返そうと思っていたのに、本書は7番目だったのか。
短編集で、表題作は最後に位置している。
全部で4編。その半分ほどを【スイス時計の謎】が占めている。
既読感があったのだが、やはり読んでいた。いや、うん十年前の初読ではなく、【名探偵傑作短篇集 火村英生篇】にあった。
大阪の夏の酷暑ぶりを描くのに、「かつてオリンピック開催地に立候補していたが、この大阪でオリンピックをすれば云々】という箇所があり、2021年の東京を思い出して苦笑してしまった。
他には、
【あるYの悲劇】
「Yの悲劇」をテーマにしたアンソロジーの一篇。著者が一番好きなのがクイーンの【Yの悲劇】とのことだ。
デビュー作【月光ゲーム】にも、「Yの悲劇」というサブタイトルが付いている。
【女彫刻家の首】
おうっ!当地が舞台になっている。この、駅からかなり歩いた辺りというのは、多分知っている。ひょっとしたら京都府に入る隣駅からの方が近いあの場所では……?
駅前の喫茶店というのは、どこだろう?今はすっかり様子が変わってしまっているが。
容疑者たちの最期は何とも無残なもので、後味はよくなかった。
【シャイロックの密室】
国名シリーズには一篇は倒叙ものを入れるとのことで、本書ではこれにあたる。
しかし被害者の悪徳ぶりはひどく、犯人に同情の余地ありとも思うのだが。
しかし火村はどんな殺人にも、冷たく相対する。
【スイス時計の謎】
被害者や関係者は、アリスの高校時代の同窓生だった。
珍しい名前で高校では有名だったアリスだが、違う意味で有名だったのが、被害者とそのグループの面々だったのだ。
鼻持ちならない優等生たちで、アリスとは距離があった。
大学卒業後も2年に一度顔を合わせていた彼らだが、被害者は順風満帆とはいかず、言わば落ちこぼれていた。
最後の、カフェでの謎解きは何となく覚えている。被害者の悪徳ぶりが明らかになって、同情できなかった。
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名探偵傑作短篇集 火村英生篇】(21.10.14)
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