群ようこ【れんげ荘】
著者:群ようこ
価格:586円
カテゴリ:一般
発売日:2011/05/01
出版社: 角川春樹事務所
レーベル: ハルキ文庫
利用対象:一般
ISBN:978-4-7584-3557-4
キョウコは、お愛想と夜更かしの日々から解放されるため、有名広告代理店を四十五歳で早期退職し、都内のふるい安アパート「れんげ荘」に引っ越した。
会社を辞めて、「年金生活」ならぬ「貯金生活」に突入したキョウコ。
仕事が辛かったのと、口うるさい母親から逃れたかったため、実家を出てアパートで一人暮らしを始める。
月10万円でしのげば、30年余は暮らせるだけの貯金はあった。
引っ越し先は、築40年超(いや50年程?)のぼろアパート。
家賃3万円、風呂・トイレ共同という代物。
しかし、共同トイレと風呂(シャワールーム)は、大家の娘さんが掃除をしてくれる。
6畳一間に狭い台所と一間の押入が付いている。
一度着物姿で見に来た母親は、散々罵倒して帰って行った。自分の家のご近所に知られでもしたら、恥ずかしくて歩けないという認識だろう。
この母親だが、著者ご自身の体験も反映されているのではないか。
対して出来のいい兄は、理解もあり、また妻もその息子や娘も素直に育っている。
このキョウコがいいなと思ったのは、よくある「月10万円暮らしています」系の、やけに節約した暮らしではなく、食もちゃんとしているし、ちゃんとしたコーヒーを出す喫茶店に行くこともあること。
だが、それで果たして10万円で暮らせるのか、だんだん不思議になって来た。
それとは別に、春になって尋ねてきた姪が「ここはホッとしていい住まいだ」と言った言葉には、本当に救われる。
シリーズになっているということは、このあともここで暮らしていくのだろう。
どういう展開になっていくのか、もう少し付き合ってみたい。
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