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2023.03.14

十三湊【ちどり亭にようこそ】

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著者:十三湊
価格:715円
カテゴリ:一般
発売日:2016/07/23
出版社: KADOKAWA
レーベル: メディアワークス文庫
利用対象:一般
ISBN:978-4-04-892274-6

ここは、昔ながらの家屋が残る姉小路通沿いに、こぢんまりと建っている仕出し&弁当屋「ちどり亭」。

 

初めての作家さん。まだWikipediaも無いみたい。

収録作は、以下の短編六つ。

いずれも語り手は、京都の大学生(恐らく同志社大)の彗。わけあって、この「ちどり亭」でアルバイトをしている。

毎日、日めくりカレンダーを捲るのも仕事の一つだ。そこには季節の言葉が書かれており、各章の副題に取られている。

店主は、花柚さんという女性。いいところのお嬢さまらしいが、小学生の頃から師匠と仰ぐ祖母に料理を習って、それをノートに記録していた。
それは将来の「旦那さま」の為だったのだが……。

【桜始開、花見といつかのオムライス】

彗が好感を持っている女子学生が、先輩に恋をした。先輩は当たりが良く、彼女は花見デートに持ち込むことが出来たのだが……。

事件が起きたり謎を解いたりという展開は無いが、この花柚は人の心の中を見抜く才を持っている。

女子大生の初デートの首尾は……、で、彼女の傷心を慰めたのが、かの「オムライス」だった。

【玄鳥至、「黄色い麻薬」と……。

ここでは、変わった郷土料理が登場する。

そして、花柚の「将来の旦那さまのため」がダメになった話も。

旧家というのは、個人の意思など無視した残酷な制度を押しつけてくる。それに反発して花柚の兄が出奔してしまったため、花柚は「将来の旦那さま」を失うことになってしまったのだが。
最初は決められた婚約者であったが、いつしか相手を恋していたのに。

あと

【虹始見、飾り切りと青菜のおひたし】

【牡丹華、だし巻き卵と献立帖】

【紅花栄、練習帖と最後のお弁当】

と進んで行く内に、彼 永谷の出番も増えてくる。

そして花柚は週末のお見合いを止め、二人は一大決心をする。

と、最後の最後で、彼の決断が潔かった。
それには、花柚の師匠である彼の義理の祖母の存在が大きかったと言える。

従兄弟も、上手なウソで二人を応援していたのだろう。

 

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