アガサ・クリスティ【ブラック・コーヒー】
著者:アガサ・クリスティ
価格:946円
カテゴリ:一般
発売日:2004/09/01
出版社: 早川書房
レーベル: クリスティー文庫
利用対象:一般
ISBN:4-15-130034-1
クリスティー初のオリジナル戯曲の、チャールズ・オズボーンによる小説化版。
同名の戯曲を小説化したもの。
そのせいか、セリフ以外の地の文は、状況説明が多い。やはり、劇を見ているような感じである。
ポワロはもう引退していて、だからミス・レモンは登場しない。
代わりに、忠僕のロバートが仕えている。ヘイスティングスはアルゼンチン暮らしだが、たまたまロンドンに来ていたという設定。
そこへ、クロード・エイモリーという科学者から依頼が入る。
自分が発明した化学式が家の中のものの誰かに盗まれたというのだ。
そのあとエイモリー の邸が文字通り舞台になり、家族たちが登場する。
この家族の一人、クロードの妹というのは、甥の妻がイタリア人の血を引いているからということで、やたらとイタリアを話題にする。
しかも、上から目線で。
どうも「大陸の人たち」に対する偏見があるようだ。いや、英国人全体に対してかもしれない。
で、ポワロ登場なのだが、残念ながら少し遅かった。
クロードは、毒殺されてしまったのだ。
読書室でコーヒーが供される場面は、かなり細かく描写されていた。
亡くなった科学者だが、最初のイメージとは違って、かなり吝嗇な人間だったようだ。
それでも、姪が「死んでよかった」とまであからさまに言うとは。
ポワロは決して遅すぎはしなかった。
長男夫婦の思いやりがミスリードを引き起こしそうになるのを、ポワロが助けてくれる。
近くにいたからという理由で、ジャップ警部が登場する。ポワロ引退以来だ。
本書の冒頭当たりからは、引退後かなり経っているような印象だったが、たった二年前だったのだ。
しかしポワロにとっては、とても退屈な二年間だったのだろう。
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