【松本清張ジャンル別作品集 : 4 法廷ミステリ】
著者:松本清張
価格:672円
カテゴリ:一般
発売日:2016/10/13
出版社: 双葉社
レーベル: 双葉文庫
利用対象:一般
ISBN:978-4-575-51938-9
著者が著した膨大な数の短編を、ジャンル別に集めた文庫オリジナル作品集第4弾
【証言の森】【脊梁】【一年半待て】【晩景】【奇妙な被告】の5篇からなる短編集。
【証言の森】は、かすかに記憶がある。
【一年半待て】はしっかり読んだ記憶(のみ)はあるのだが。
【脊梁】が、女心の機微をついて、面白かった。
女の気持ちの不思議というか、当然というか。
トモ子の心情は痛いほど解るような気がする。こういう女性心理にかけて、やはり清張はうまい。
ちょっとした動揺を付いてきた検事の勝ちかも知れないが……。
【晩景】は、素人が弁護士も立てずに大きな企業相手に戦う話。
こういう意固地な老人を書くと、おそらく清張の右に出るものはいまい。
なんともやるせない「晩景」だった。
【奇妙な被告】は、非常に面白かった。
高利貸しが殺され、金を借りていた一人が逮捕される。
最初は犯行を認めていた被告だが、検事には一転警察の誘導で自供させられた、自分は無罪だと主張する。
その主張の根拠を被告から聞かされた国選弁護人原島は、納得して法廷で戦う。
警察官がある種の偏見から、容疑を晴らす事実を充分斟酌もせずに、不当な手段で自白を強要したという事例はすこぶる多い。
という一文があって、恐ろしくなる。
これらの一例は、司法研究所の「事実認定に」についての教材にもあるといいい、事例を示した幾つかの本もあるようだ。
そして原島は、被告の無罪を勝ち取る。
だが……。ここからが、この話の恐ろしいところであった。
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