都筑道夫【退職刑事〈6〉】
著者:都筑道夫
価格:660円
カテゴリ:一般
発行年月:2003.7
出版社: 東京創元社
レーベル: 創元推理文庫
利用対象:一般
ISBN:4-488-43407-X
安楽椅子探偵の名シリーズ第六集。
このシリーズも、最後かな?
全編通して、表紙絵のセンスの良さに救われる。
最近の、何だかチャラチャラした表紙には、まったくついていけないから。
しかしさすがに6冊目となると、同じような表現に飽きてくる。
「硬骨の刑事が恍惚の刑事に」とか、元刑事が自分の家に頻繁に来るのは「5人の息子」の内末っ子の自分だけが同じ職業をついだからとかいった表現が毎回出てくるのが。
収録作は以下の8編。
つまらぬ事件/桜並木の一本の桜/死は木馬にのって/拳銃と毒薬/耳からの殺人/馬の背/針のない時計/昔の顔
冒頭作【つまらぬ事件】は、被害者が最後の残した人名の主が犯人と思われる、彼には完璧なアリバイがあったという話し。一見関係ない元刑事の体験が、現場の思い込みを覆す。
ある意味、「つまらぬ」どころか非常に鮮やかな逆転劇だ。犯人には気の毒だったが。
次は【桜並木の一本の桜】。
これまでも時折出てきた近所の住む推理作家から、手紙が届いた。
旅先で、客が消えてしまうという謎があったという。
これも、推理作家の目を通しての、ある意味フィルター五市の話を、元刑事がスンナリ本来の話しに置き換えてほぼ真相にたどり着く。
少々異色の、面白い展開だった。
【拳銃と毒薬】は、変化を持たせるためか、現職刑事が犯人に撃たれて入院している設定。退職刑事も風邪引きで、長男の家から動いていない。
それがいつの間にか、動けない現職に代わって退職が現場を動き回っている。しかも真犯人は職場の同僚という話しに……。
それらしいオチはあるが、あまりうなずけない話だった。
【耳からの殺人】は、またまた推理作家が持ち込んできた事件。
推理作家のファンだという男からの電話で、殺人現場を「聞いた」という内容だったという。
キーはその相手が聞いたという話しの中身と、音。
しかし「きのう ころされた」が「キーノウ 殺された」というのは、かなり厳しいこじつけのように思える。
あと
【死は木馬にのって】【馬の背】【針のない時計】【昔の顔】
続刊が出たとしても、多分もう読まないと思う。
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