【ラブカは静かに弓を持つ】
著者:阿檀美緒
価格:1,760円
カテゴリ:一般
発売日:2022/05/02
出版社: 集英社
利用対象:一般
ISBN:978-4-08-771784-6
武器はチェロ。
潜入先は音楽教室。
傷を抱えた美しき潜入調査員の孤独な闘いが今、始まる。
「ラブカ」というのはサメの一種で、深海に住んでいるという。
本書では、深海に潜んでひっそりと的を伺っているスパイという意味があると書かれていた。
そのスパイを命じられたのが、主人公 橘。
まさに「孤独な戦い」を挑んでいた。
表紙絵も非常に美しく、書影は帯のないものがほしかった。
かなりのイケメンである橘が、非常に的確に描かれている。
小説の表紙は、こうでなくっちゃ!
第一楽章では、橘が音楽教室(ここではミカサ)に潜入を命じられて、講師の浅葉とも少しずつ打ち解けていくようになる。
浅葉の紹介で、ともに生徒である何人かとの交流も生まれ、だが、自分の職務を一瞬たりとも忘れてはいない。
第二楽章になると、浅葉が勉強しなおしてコンクールに挑む話が出てくる。
いつしか潜入から二年が経ち、裁判も近づいてきた。
承認として法廷に立つことになる橘だが、そこへ浅葉を巻き込むことに耐えられなくなる。
それからは、もう止めることが出来ない勢いで読んでいった。
慎重で、周到で、自分以外を信じていない、孤独な男
実際にJASRACがヤマハに職員を潜り込ませていたことがモデルではあるらしい。
そちらは主婦で、現実にはヤマハが勝訴していたと思う。
しかし本書を読む限り、橘はそういったことを全部昇華した存在のようで、あたかも背後でチェロがずっと演奏されているような気持ちで読んで行けた。
久々に、良い本を読んだ。
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