西村京太郎【十津川警部と七枚の切符】
著者:西村京太郎
価格:2,420円
カテゴリ:一般
発売日:2022/12/02
出版社: 論創社
利用対象:一般
ISBN:978-4-8460-2218-1
西村京太郎×七人の精鋭作家たち 「振り子電車殺人事件」ほか、素敵なトラベルミステリの世界へ案内する短編集! 付録として、西村京太郎氏の元担当編集者による鼎談を収録。
「七枚の切符」とは、七篇のいずれもトラベルミステリを扱った短編ということ。
こういうのは、サラッと読めて楽しい。
しかし編著者である西村氏以外は、まったく知らない作家さんばかりだった。
冒頭作【振り子電車殺人事件】西村京太郎は、一度読んだことがある。
特急「くろしお」を扱っている。
大阪人にとっては、天王寺から和歌山方面へは下りで、「くろしお」は上りになることを知っている(と思う)が、東京人は戸惑うだろう。
振り子列車ではみんな酔うというが、自分は何故か平気である。
と、本筋とは若干違うこんなところが面白かった。
あとの七篇は、
【偽りなき顔】安萬純一
【瞳の中の海】井上凛
【温泉旅館の納戸神】川辺純可
【満州麗人列車】獅子宮敏彦
【菓匠探偵〈いとぐちや〉】山木美里
【スワンの涙】米田京
【パーフェクト・ウィンド】和喰博司
いずれも作品の後ろに「十津川警部と私」という短文が付いている。
【偽りなき顔】は、人間驚いたときには偽りの無い顔になる、という趣旨の話。
和歌山県人ではなくても、関西人なら「和歌山駅」と「和歌山市駅」の区別はつく。
そして(多分)メジャーなのは和歌山市駅の方かもしれない。自分はJR和歌山駅しか使ったことはないが。
【瞳の中の海】は三重県志摩が舞台だが、乗り物が出てこないので(自分の中では)トラベルミステリとは違うような気がするが……。
【温泉旅館の納戸神】が、意外と面白かった。
最初は、某出版社の編集者というのが、社長の姻戚とかでギャル言葉がうっとうしかった。
だが、地方の寂れた旅館で、そこの若女将の実家にある納戸神に関する話になると、俄然面白くなった。
先のギャルが、意外や隠れた名探偵ブリを発揮。
なかなか手の込んだ親子の情愛も覗えた。
【満州麗人列車】は昭和14年、満州国での話。
本国では思うまま筆を振るえなくなった探偵小説かたちが、満州国皇帝の側近に招かれて赴く途中の列車内での出来事。
この側近というのが非常に力があるそうなのだが、誰も素顔を見たことがない。タイトルの「麗人」というのは、彼女のことである。
その内挨拶に来るというので、列車内のどこかにいるのかという話題になるのだが……。
【菓匠探偵〈いとぐちや〉】は、和菓子屋の主(女子大生)がなぞを解く話。
これまでほぼ知らなかった作家ばかりだったが、いくつか他の作品も読みたくなった方がいる。
| 固定リンク
« 二年を切った | トップページ | 「もちまる日記」 »
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 中山七里【能面検事の死闘】(2024.12.02)
- 11月の読書メーター(2024.12.01)
- 北村薫【中野のお父さんは謎を解くか】(2024.11.30)
- 原田ひ香【あさ酒】(2024.11.26)
コメント