米澤穂信【遠まわりする雛】
著者:米澤穂信
価格:692円
カテゴリ:一般
発売日:2010/07/24
出版社: KADOKAWA
レーベル: 角川文庫
利用対象:一般
ISBN:978-4-04-427104-6
あざやかな謎と春に揺れる心がまぶしい表題作ほか〈古典部〉を過ぎゆく1年を描いた全7編。<古典部>シリーズ第4弾!
シリーズ第4弾だが、5年前、シリーズの中で初めて読んだ作品だった。
本書では高校入学から半年ほど過ぎており、すでに【氷菓】や【愚者のエンドロール】は終わっている。
あらためて、入学依頼をなぞっているような一冊。だから短編集なのか?
冒頭作【やるべきことなら手短に】で、折木奉太郎を紹介。
【大罪を犯す】
アルファベットのよく似た小文字を間違えたという、「あるある大罪?」。ごく軽い事件といっていいのかな?
千反田えるはまっすぐな性格で、それ故忖度などしない。一般的には、融通が効かない、とも言う。
【正体見たり】
千反田の提案で、合宿をすることに。
摩耶花の親戚の民宿まで、はるばるとバスに乗って赴く。
鄙びた里で、温泉もある。
以前首をつった客がいたとかで、本館は余波を受けて改築中。
別館に泊まった彼らだが、女性二人が事件のあった部屋に幽霊を見た。
まさに「正体見たり」で、判ってみれば大したことないのだが、これは井原には内緒だった。
宿の姉妹(摩耶花の従姉妹)たちの立ち居振る舞いから、奉太郎は謎を解く。
兄妹に憧れている千反田だが、この結果のもたらしたものは彼女にどう影響するだろう。
【心あたりのある者は】
放課後の部室。奉太郎と千反田が二人だけで一種のゲームをしている。
校内放送の内容精査といったところか。
が、これはあまり面白くなかった。
【あきましておめでとう】
これは神社の中の倉庫に千反田えると二人閉じ込められた話。うっすらと覚えていた。
「あきまして」というのは、倉庫の扉がまさに「開きまして」のことだ。
【手作りチョコレート事件】
中学3年時に、摩耶花が里志にチョコレートを「本当の手作りではない」と拒否され、1年後には元のところから手作りしたものを贈ると断言。
その1年後の2月14日に起きた、苦心のチョコが無くなるというハプニングが。
ここでは、千反田の言動がむしろ鬱陶しいような感があった。
それをも織り込み済みの、里志の行動だったのだが。
そして、
表題作【遠回りする雛】となる短編集。
この表題作が、一番好きかな。
生ける雛人形の千反田えると、それを護衛(?)する役の奉太郎。
絵に描いたような情景が浮かぶ。
ちょうど5年前に書いた自分のレビューを読むと、著者の作品は初めてだったようだ。
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【遠まわりする雛】(18.04.11)
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