山本功次【途中下車はできません】
著者:山本巧次
価格:1,540円
カテゴリ:一般
発売日:2019/07/10
出版社: 小学館
利用対象:一般
ISBN:978-4-09-386543-2
現役鉄道マンで北海道フリークの著者が紡ぎ出す、人生大逆転ミステリー。
この方の鉄道ミステリが好きで、2冊ほど読んできた。
今回は北海道の鉄道に限っての話だ。
【第一章】 富良野線 美馬牛駅
美瑛町に、新しく出来た紅茶専門のカフェ。
カメラマンの里恵は、その店が気に入る。定宿の民宿オーナーや常連客と、その夜はカフェの話で盛り上がる。
自分のことを語らないカフェのオーナーには、苦い過去があった。
このあたり、「ホラホラ、騙されたらダメよ」と言いたくなるような経過を経て、以前とは別人のようなスタイルを手に入れたオーナーがいた。
肝心の汽車の話は、最後に少し出てきただけだった。
【第二章】 釧網本線 北浜駅
やや認知症の祖母を探して、この駅にやってきた学生の康生は、そこでちょっとした事件に遭遇する、というもの。
北浜駅は流氷で知られているとか。この話では夏の終わりで、そのような兆しはまったくない。
初めての北海道行きは、網走からで、ここに出てくる原生花園も横を通っただけだったな。
実家の滝川から、網走までの汽車旅は出てくる。
【第三章】 宗谷本線 音威子府駅
気が弱い酒井が、会社の公金を盗んで姿を消した。
近くの会社の社長が、彼を音威子府で見たと教えてくれ、直接の上司ではない尾崎が連れ戻しに行く。
は駅近くの蕎麦屋で働いていた。
尾崎は彼に話をし、札幌へ帰ることにする。
そこで酒井の借家へ行くのだが、この辺で「あれっ?」と思う場面があった。
二人は無事サロベツ4号に乗ったのだが、ここからが面白い展開になっていく。
会社の金を横領した犯罪者だが、酒井の計画の痛快さに応援したくなってくる。
【第四章】 根室本線 落石駅
まずいことをしてしまい、仲間からの報復を逃れるために偽装自殺をしようとしている荒木。
だが行く先々で思いがけなかったことに出会い、その企みを諦めざるをえない。
だが同時に、他人の温かい心にも触れていく。
第一章で出ていた里恵が、再登場。
カメラ越しに対象をよく観察している里恵は、荒木のことも何となく見破っていた。
【第五章】 函館本線 札幌駅
北海道のあちこちに散らばっていた登場人物たちが、札幌駅に集まってきた。
偽装自殺がうまくいかなかった、荒川。
会社の金を着服し、あろうことかそれをネタに持ち去ろうとする酒井と、彼を連れ戻しに来たのに翻弄されている尾崎。
過去に手痛い詐欺に遭い、富良野でカフェを開いた美和。
何かありそうだが、今はプロのカメラマンの里恵。
認知症の祖母を探しに北浜まで行った、康生。
会社が警察に届けることはないと高をくくっていた酒井(と尾崎)は、札幌駅で警察官から声を掛けられる。
美和はにっくき詐欺犯と遭遇し、逃げる相手を追いかける中、康生や里恵と交錯する。
里恵が荒木の挙動から感じ取ったものは、彼女の前職が関係していた。
さて、最後は最初の場面に戻るようだが……。
【第六章】富良野線 美馬牛駅
そして、終章。
これは関係者のその後で、カメラマン里恵の過去が明かされる。
また、康生は、北浜で出会った女性とつきあっているようだ。
最後は、最初と同じカフェ「びぼうし」と民宿で終わる。
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