中原一也【はけんねこ ~NNNと野良猫の矜恃~】
著者:中原一也
価格:737円
カテゴリ:一般
発売日:2020/09/11
出版社: 二見書房
レーベル: 二見サラ文庫
利用対象:一般
ISBN:978-4-576-20135-1
猫は意外に情にもろい!?
笑いも涙もまたたびとともに呑み込んで――厳しくも優しい猫の世界
表紙絵が非常に面白い。
多分、中央にいるでっぷりとしたネコは、この物語の語り手「ちぎれ耳」だろう。
なかなか貫禄がある。
その前のテーブルにあるのは、「またたび」だ。
ここは、「CIGAR BAR またたび」という、文字通りまたたびを吸わせてくれる店。
店主ももちろん、猫だ。
代金はその時々で違うが、捕らえてきたヤモリなどで支払う。
後ろのテーブル席にいる黒猫は、まんま「タキシード」と呼ばれている。
第一章【新顔】で登場。
一度は不穏な関係になりかけた二匹だが、今はつかず離れずいい距離感を保っている。
野良猫の世界は、厳しい。
しかし「飼い猫になんかならねぇよ」と、「野良猫の矜持」を保って暮らしているのだ。
本編は、
【第一章 新顔】では、語り手の」「ちぎれ耳」は新しくやってきた「タキシード」と出会う。
お互い警戒しながらも、しだいに認め合っていく。
【第二章 めずらしい猫】
雄の三毛猫がめずらしいように、希少な柄を持った猫は追いかけられるのだった。
【第三章 あんこ婆さん】
「あんこ婆さん」とは、エリア内の住宅で飼われている猫。年経て尻尾が二股になっているが、人間には見えない。
歳には勝てず亡くなったのを、飼い主の女性は受け入れることが出来ない。
男(雄猫)だけが集っているまたたびバーだが、この「あんこ婆さん」だけは常連になっているのがおかしい。
【第四章 害獣】
一生懸命世間にとけこみたいアライグマと、彼らを害獣とみなす人間たちと。
【第五章 ゆみちゃんとちゃーちゃん】の「ちゃーちゃん」は、これから野良としてちゃんと生きていけるのかなぁと、心配になる。
「NNN」というのは、仔ネコを人間の家庭に斡旋する仕事をしているグループ(?)の名前だ。
適当な家庭に目を付け、寄る辺ないチビたちを「はけん」する。
どうもこの「ちぎれ耳」は、不幸になるかもしれない仔ネコを放っておけない、おせっかいな性格をしている。
今日も今日とて、地域を回って一日を過ごし、夜はこのバーでまったりと「またたび」をくゆらすのだろう。
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