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2023.07.05

笹沢佐保【シェイクスピアの誘拐 】

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著者:笹沢佐保
価格:990円
カテゴリ:一般
発売日:2023/06/09
出版社: 徳間書店
レーベル: 徳間文庫
利用対象:一般
ISBN:978-4-19-894863-4

暗号、安楽椅子、倒叙、アリバイ、人間消失……ミステリの様々なテーマから8つを厳選。
生涯400編の短編を執筆した鉄人作家が挑む遊び心とテクニックの集大成。

 

有栖川有栖さん激推しの一冊。短編集だが、色々変化に富んでいて、違う趣向を楽しめた。


【シェイクスピアの誘拐】

表題作。舞台上で突然自分の台本とは違うセリフを聞いて怒りを覚えた脚本家。彼は客席で観ていたのだが、同じ列にいた元女優が席を立ったのを見て、追いかける。

このこと自身は大した出来事ではなかったのだが、最後のどんでん返しが(途中予想されるものの)怖かった。


【年賀状・誤配】

正月のつれずれに誤配された年賀状のことをあれこれ詮索していた小説家夫婦が、とんでもない「真実」にたどり着く。
果たして二人は、次の日にやってくる「容疑者」ときちんと向き合えるか。

そんな状況でも、これをネタに小説がかけると発破をかける妻(兼秘書)がたくましい。

【知る】倒叙

こういった、犯人ではない「被害者になる予定」の人物のモノローグでも、倒叙というのか。


【愛する人へ】不在証明

これはまったく、かわいそうすぎる。何の罪もない(いや殺人を犯してしまうのだが)主人公だけでなく、「愛する」家族が哀れ。


【盗癖】

同情する余地のないストーリー。

 

【現われない】

彼女に恋人が出来たことは、母親と親友しか知らない。

その彼女が死んだ。しかし相手の男は、通夜にも葬儀にも「現れない」。
謎の解は最後に判るのだが、こういう手法もあるのかと納得。


【計算のできた犯行】

こんな計算、どうかと思うが……。


【緑色の池のほとり】

完全に怪談。それもおどろおどろしいのではなく哀れを誘うもので、本作中イチオシかな。

 

IntroductionとClosingを、有栖川有栖が担当している。

 

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