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2023.09.30

藤岡陽子【波風】

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著者:藤岡陽子
価格:814円
カテゴリ:一般
発売日:2019/06/12
出版社: 光文社
レーベル: 光文社文庫
利用対象:一般
ISBN:978-4-334-77862-0

波乱含みの風が問う家族、夫婦、友情の形。爽やかに心揺さぶる7編。

 

藤岡陽子さんの本は、いずれも心が温かくなるものばかりだ。

【満天のゴール】はドラマが再放映されるようで、録画予約している。

 

表紙絵は表題作【波風】に出てくる美樹だと思われる。沖縄の海、沖縄でしか会えない、青い海。

 

どの話もよかったが、久しぶりに、読んで泣けたのは【テンの手】だった。

天才と言われ、ピッチャーとしての将来を嘱望されていた「テン」。幼い頃から一緒に野球をしていた晃平の視点から描かれていく。

テンが事故で右手を失い、急遽捕手から投手になった晃平。正月の神社詣でで絵馬に書いた「テンの手をください」という言葉を、テンは見ていた。

それにしても、北海道の自然は厳しい。ニュースで知るホワイトアウトなど、まさに生死をさまよう体験も、彼らはする。
普段の生活も、タマネギ農家であったりホタテ業についていたりと、自然に左右される暮らしだ。

 

義父に邪険にされて叔母の家で育った姉弟の話【月夜のディナー】もよかった。

亡くなった父の妹である叔母は、この先一人暮らしを続けるのだろう。
それでも姉弟は、しっかりと叔母の生き方を継いでいる。

 

認知症になった妻に着物を着せたいと、着付け教室に通っていた老人の話【結い言】も、身につまされた。

他に、

【鬼灯】

【真昼の月】

【デンジソウ】

が、収録されている。

 

 

 

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2023.09.29

坂木司【アンと青春 和菓子のアン】

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著者:坂木司
価格:726円
カテゴリ:一般
発売日:2018/10/10
出版社: 光文社
レーベル: 光文社文庫
利用対象:一般
ISBN:978-4-334-77744-9

今回もふんだんのあんことたっぷりの謎をご用意。待ちに待ったシリーズ第2弾!

 

この杏子という主人公。学生でアルバイトをしているのかと思ったが、そうではなくて受験失敗後のアルバイトらしい。
前作【和菓子のアン】を読んだのは、10年以上前だった。

それにしても、金沢を知らない、初釜が判らない、浄瑠璃を歌舞伎と間違える、といった、本人曰く「お馬鹿さん丸出し」。
常識程度のことを知らなさすぎる。

前回非常に面白いと感じただけに、今回は残念感が勝った。

収録作は

【空の春告鳥】

【女子の節句】

【男子のセック】

【甘いお荷物】

【秋の道行き】

いずれも季節の和菓子はおいしそうで、百貨店で見つけたら買ってしまうだろうな。

 

関連記事

【和菓子のアン】(12.10.26)

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2023.09.28

【株式会社ネバーラ北関東支社】

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著者:瀧羽麻子
価格:586円
カテゴリ:一般
発行年月:2011.6
出版社: 幻冬舎
レーベル: 幻冬舎文庫
利用対象:一般
ISBN:978-4-344-41683-3

戦場のような職場での仕事と恋に疲れた弥生が、転職先に選んだ会社は、田舎の納豆メーカー。東京にない、ゆるい生活が始まった。

 

瀧羽麻子さんに、少しはまっている。

本書は東京から逃れてきた弥生が、地元に馴染んでいく様子を描いていく。

職場は健康食品の下請け会社で、もっぱら納豆推しのようだ。
病気になっても、納豆で直すとか、医者まで納豆を処方するとか。実は弥生は、納豆嫌いなのだが……。

「納豆」という言葉からして、茨城県のどこかかなという気はするが。

同僚5人との関係もかなりいい感じだし、ふと知り合った居酒屋の女将とも相性がいい。

毎朝1時間に1本のバスで通勤し、帰宅途中で二三日に一度、駅前のスーパーで買いものをする毎日。
しかし、職場のことも居酒屋でのことも、全部筒抜けなのはちょっと辛い気がするが。

実は東京で失恋したのが、ここへ転職してきた理由なのだったが、しだいにこの土地が好きになっていく。
その過程が、無理なく描かれていて心地よい。登場人物が皆いい人たちなのにも、ホッとする。

 

表紙絵は、同じ場所を舞台にした、付録の短編のもののようだ。

 

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2023.09.27

MRI検査

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先日、MRIを受診してきた。

以前受けたものとは、若干変わっている。機械の入替があったようだ。

以前はかなりオープンな感じだったのが、今回は頭部を包み込むようにされた。
また、受診中のアナウンスも違っていた。

その時は「ふーん」という感じだったのだが、あとで「ひょっとしたら」と思った。
というのは、検査室にあったゴミ箱だったかな(?)が磁力で飛んでいって受診者の頭に当たり亡くなられた事故があった。

ひょっとしたら、それを防止するためではなかっただろうか??

 

画像は、12年前のもの。今話題の(?)舞洲かな。

 

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2023.09.26

西村京太郎【十津川警部 裏切りの街 東京】

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著者:西村京太郎
価格:692円
カテゴリ:一般
発行年月:2010.2
出版社: 徳間書店
レーベル: 徳間文庫
利用対象:一般
ISBN:978-4-19-893116-2

「特別室の秘密」他、東京を舞台に活躍する十津川班の刑事たちの活躍を描く傑作推理集。【解説】山前譲

 

短編集なので気楽に読めたが

 

冒頭作【特別室の秘密】は、十津川の妻直子が尿路結石で入院しし、モルヒネを打って貰って痛みのないときに病院をウロウロしていた遭遇した出来事。

この直子という十津川の奥さん、好奇心旺盛なのはいいとして、出しゃばりすぎではなかろうか。
以前にも捜査まがいのことをしていて、呆れてしまったのを思い出した。

いくらフィクションでも、少々やり過ぎではないか。

もっとも、彼女のこの「活躍」がなければ、大きな犯罪が闇に放り込まれてしまったのだが……。

 

【一日遅れのバースディ】

自殺した場合の、保険契約日が関係していた。こんな「バースディパーティー」は悲しい。

【野良猫殺人事件】

十津川班唯一の女性北条刑事は、猫好きだっったとは。

わざわざ「ペット可」のマンションに引っ越してまで、猫を飼っている。

【死体の値段】

【死が乗り入れてくる】

解説で、「大都会の難事件」とあった。

 

再読だったことに、最後まで気づいていなかった。6年も前に読んでいた。

 

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2023.09.25

たっつけパンツ

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最近時々買いものをする「中川政七商店」に、「たっつけパンツ」というのがある。

むかーし、祖父が「たっつけ袴」という言葉を使っていた。実際に着用しているのも、多分見たことがある。
その時の言葉を思い出したこともあり、購入してみた。

買った頃は紺と青だけだったようで、その両方をば。

はきやすく、夏中重宝した。サラッとしていて着心地もいい。

ハリとコシ、上品な光沢感と自然なシワ感が魅力の麻と柔らかく肌触りの良い綿のいいところを合わせました。」との言葉通り、着るほどに心地よくなっていった。

年中着用出来るとあるが、さすがに冬は無理だろうな。

 

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2023.09.24

中山七里【特殊清掃人】

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著者:中山七里
価格:1,760円
カテゴリ:一般
発売日:2022/11/07
出版社: 朝日新聞出版
利用対象:一般
ISBN:978-4-02-251870-5

特殊清掃業者〈エンドクリーナー〉には、日々、様々な依頼が押し寄せる。彼らの仕事をとおして、死者が抱えていた様々な事情が浮かび上がる。

 

実の母親の執念というか、子どもへの過度な愛がテーマの、【祈りと呪い】が一番辛かった。

 

【一 祈りと呪い】

「身体は女性で外見は男性」というのは、ジェンダーの立場からではなく、昔から小説などのテーマとしてはあった。

【ベルサイユの薔薇】もそうだし、手塚治虫の【リボンの騎士】もそうだ。

今回は、地味に生きてきた女性が認められ脚光を浴びたのに、それを打ち砕かれた絶望。しかもそれをもたらしたのは、ゆがんだ母性だったというのが哀しい。

クローゼットの衣装を見て謎を解明していくという、新たな探偵が面白かった。

しかし表題の仕事は実際に需要があるようだが、ここまでの状態のものも多いのだろうか?

 

【二  腐食と還元】

風呂の中での死体(しかもずっと高温が保たれていた)というのは、こんなにも悲惨なものか。

感電死というのは、ポワロだったかな、で出会ったことがある。

 

【三 絶望と希望】

ここではもう一人の社員、白井の目線から。

学生時代バンドを組んでいたときの、リーダーが今回の対象。
電気を止められて、熱中症で死亡したという。

白井は彼のパソコンの中にある「音楽」という遺産を見つけ出すのだが。

バンド時代のメンバーの一人によって、かすかな希望が湧いてくるのか?若干疑問だ。

 

【四 正の遺産と負の遺産】

今回は珍しく、お屋敷でのお仕事。

家政婦が夏期休暇中に主が心臓発作を起こし、1週間ほど放置されていたことからの依頼だ。

主は投機で財をなした人物で、娘が三人いる。その内長女と次女が宗教にかぶれていたことが判明する。

「子孫に美田は残さず」は、必要なことでは……。

 

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2023.09.23

ドラマ「きのう 何食べた?」ふたたび

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10月6日から、「きのう 何食べた?」の第二シリーズが始まる。

それに先駆けて、以前放映されていたものが毎日一話ずつ配信されているので、観ている。
色々懐かしいなぁ。

しばらく楽しめそうだ。

シロさんのお父さん役をなさっていた志賀廣太郎さんは、途中脳梗塞で降板なさったのだった。
番組で胃がんの手術をなさる場面があったが、後任の方よりピッタリだった。

 

画像は、9年前の9月24日。どこかで撮したものなのだが、はてどこだったかしら?

 

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2023.09.22

西村京太郎【十津川警部 高山本線の昼と夜】

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著者:西村京太郎
価格:916円
カテゴリ:一般
発売日:2016/05/13
出版社: 双葉社
レーベル: FUTABA NOVELS(フタバノベルズ)
利用対象:一般
ISBN:978-4-575-00799-2

飛騨高山の屋台会館で画家の緒方幸太郎が殺害され、彼の描いた「春の高山祭」と題する大作が盗まれた。それから東京で、美術学校の後輩にあたる画家の橋本誠も殺害された。捜査を任された十津川警部は岐阜県警と合同捜査に乗り出し、絵画販売に絡む複雑なからくりと、天才画家と呼ばれた人物の存在をつかむ。

 

高山本線は、郡上へ行っていた頃、必ず利用していた。
といっても、実際には岐阜~美濃太田までだったが。

下呂温泉には泊まったことがあるが、高山へは行ってない。

肝心のストーリーだが、どうもあちこち飛んで、芯が一本通っていない。

メインは緒方幸太郎という画家が殺されたことから始まっているのだが、この動機もおかしな話だ。

また彼が描いた大作が旅館の部屋から盗まれるのだが、誰もが出入り自由なようで、実際にはあり得ない話だった。

しかし「画の価値」というのは、実際にはどういうものなのだろう?
「高いものに価値がある」ような感を受けた。

それよりも、旅館に逗留中の画家がいつも買っていたという、漢方の話が面白かった。
その画家の娘の母親は富山の薬商が実家だった。

画家の常用漢方は、「葛根湯」「芍薬甘草湯」「五苓散」「加味逍遙散」で、結構メジャーな薬だった。

 

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2023.09.21

わら半紙で勉強、記憶力あがる? 今や割高、デジタル時代に新たな光

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わら半紙で勉強、記憶力あがる? 今や割高、デジタル時代に新たな光

「わら半紙」には、本当に「藁」が原料として使われていたんだ。ざら半紙とも言ったっけ?

朝日新聞の「学校の「アレ」は今?」という記事では、現在20代から40代の記者が小学校時代にお馴染みだった「アレ」が現在どうなったかを取材した連載記事。

他にも「プールの腰洗い槽」や「鉛筆のHB」など、「あるある」と懐かしくなる話も。

 

わら半紙は、いつの間にコピー紙に取って代わられたのだろう。
多分コピー紙が登場した頃は、高級感があったのだろうな。

しかしわら半紙どころか、紙そのものの使用が、学校から少なくなってきたという。
一人に一台、タブレットが支給されるようになり、学校でもパソコン使用が当たり前になって来たから。教科書もデジタルに。

しかし、「学校現場から紙はなくならない」という声もある。

「集中力を要する学習の際は、紙が有益です」というご意見も載っていたが、たしかに自分で書いて覚えたものは忘れにくい。
読む方も、紙本の方が中身を覚えている。

これは学校だけに限らない話だろう。

 

画像は4年前の9月19日、京都駅に泊まっている「関空快速はるか」。
これに乗ったのではなく、この日は「我が家の女子会」で城崎温泉へ行ったのだった。

 

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2023.09.20

柴田よしき【猫は毒殺に関与しない~猫探偵 正太郎の冒険5~ 猫探偵正太郎】

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著者:柴田よしき
価格:572円
カテゴリ:一般
発売日:2016/11/09
出版社: 光文社
レーベル: 光文社文庫
利用対象:一般
ISBN:978-4-334-77377-9

珠玉の3編を収録。

 

いつの間にか同居人は神楽坂を引き払い、神奈川県に住んでいた。

冒頭の表題作【猫は毒殺に関与しない】は、その同居人桜川ひとみが語り手を務める。
途中、他の人物も語っているが、それが誰だかは判らない。

そして困ったことに、最後まで読んでも結局犯人が判らなかった。

何だか消化不良なのでAmazonや読書メーターでのレビューを読んでみても、紙本の作りが変わった(字が大きくなって読みやすくなったとか)ことに触れているのが多くて、内容についてはやはり解らないというのもあった。

登場人物をセリフや状況をメモしながら再読するしかないかなぁ。

同居人も正太郎も、もうすっかり関東人なのが、寂しい。それにしては、東京へ住まいを移す直接のきっかけになった大学のセンセについては、全然触れられていないし、著者も忘れてしまっているのでは……??

他に

【猫は三日ですべて忘れる】

【正太郎、恋をする】

 

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2023.09.19

「郡上八幡上方落語の会」

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「郡上八幡上方落語の会」がこの16日にあると、米團治さんのTweetで知らされていた。

米朝一門の出演で、かなり以前から続いているらしい。だが、今回が最終回だとか。
案内人が近藤正臣さんと聞いて「なんで?」と思ったのだが、数年前から居を移していらっしゃるとか。

一門会も、随分ご無沙汰している。新入りの女性弟子「米舞」さんの話も一度聞いてみたいと思っているのだが。

 

今回は、どちらも応援している「米團治さん」と「近藤正臣さん」関連が嬉しかったので。

 

過去記事だが、

郡上八幡に落語の秋 16日「上方の会」近藤正臣さん案内役 桂米朝一門 地元出身弥太郎さんら出演

画像は、岐阜新聞からお借りしました。

 

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2023.09.18

中山七里【おやすみラフマニノフ】

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著者:中山七里
価格:618円
カテゴリ:一般
発行年月:2011.9
出版社: 宝島社
レーベル: 宝島社文庫
利用対象:一般
ISBN:978-4-7966-8582-5

ラフマニノフの名曲とともに明かされる驚愕の真実!美しい音楽描写と緻密なトリックが奇跡的に融合した人気の音楽ミステリー。

 

とあるレビューに、「さよならドビュッシーほどの読後感の悪さも無いが、」とあったので読んでみることに。「が、」のあとは「さわやかな読了感もない」というのが気になったのだが……。

上記の通りだった。

【さよならドビュッシー】とほぼ同じ時期。物語は、ほぼ音楽学校内で進む。

冒頭、秋の大学祭目指して練習していた女子大生が借りていたストラディバリウスが盗まれる。警備は万全の専用室でだ。

彼女は学長の孫で、主人公晶の恋人でもある。

音大で講師を務める岬が、割合早い段階で登場する。それは【さよならドビュッシー】で岬が出たチャリーティーコンサートに、二人とも参加していたからだ。

晶の生い立ちなども織り込みつつ、途中、愛知県を襲った大きな台風の話にも及ぶ。
ここで出てくる2000年の災害や、半世紀以上も昔の伊勢湾台風など、名古屋近辺は意外と台風の被害を受けている。

最後の謎解きが、やはりあまりスッキリとはいかなかった。

このあとショパンとベートーベンがあるが、少し間をおこう。

 

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2023.09.17

村山早紀【不思議カフェ NEKOMIMI】

Nekomimi

著者:村山早紀
価格:1,760円
カテゴリ:一般
発売日:2023/01/25
出版社: 小学館
利用対象:一般
ISBN:978-4-09-386668-2

毎日こつこつと働き、余暇には本を読み、紅茶を淹れて音楽を聴く。つつましく生きてきた律子に人生の終盤、ある奇跡が訪れる。

 

表紙に描かれた黒猫の後ろ姿がなんともかわいくて、多分この子が出てくるであろう不思議なカフェを想像したのだったが……。

紹介文のように、つつましく生きてきた律子が突然の死を迎え、一緒に死んだ愛猫と一緒に、魔法使いとして登場する話。

全体に、あり得ない(そりゃ「不思議なカフェ」関係の本はみんなそうだけど)、あり得なさすぎる話に付いていけなかった。

これも「表紙絵かわいい」からの本なのに中身が好きになれず、残念だった。

 

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ロディア メモ帳型マウスパッド

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「ロディア メモ帳型マウスパッド クリックブロック マウスパッド」という製品がある。

 

2_20230916155801表紙を繰ると → のようになる

パソコン操作をしたり電話をしながら、気づいたことを即メモれる。

また、その日の「TO DO リスト」としても使える。5mm方眼なので、チェックボックスも作りやすい。

 

元々テーブルの上で作業をしていたのだが、長く使っていたので、テーブルの盤面に傷が付いてきたのだ。

そこで何かマウスパッドをと探していて思い出したのが、この製品だったのである。

 

画像は、「信頼文具舗」さんからお借りしました。

 

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2023.09.16

塩田武士【罪の声】

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著者:塩田武士
価格:1,012円
カテゴリ:一般
発売日:2019/05/15
出版社: 講談社
レーベル: 講談社文庫
利用対象:一般
ISBN:978-4-06-514825-9

「ギンガ萬堂事件」の真相を追う新聞記者と「男」がたどり着いた果てとは。渾身の長編小説

 

実際の事件を下敷きにしている。
被害に遭った会社の名前も、見当が付くものばかりだ。

当時は、結構毎日ニュースを追いかけていた。実際に市井の人たちにも影響が及ぶことが、懸念されたから。

あの「キツネ目の男」の似顔絵は、随分ながく駅前に置いてあった。

 

本書では、自分の声が脅迫に使われていたのではと疑い始めた敏也と、別のルートから事件の真相を探っている事件記者の話が、ほぼ交互に語られる。

話を聞きに立ち寄った先から敏也の存在を知った記者は、ついに彼に会いに行く。

 

実際の事件もこうだったかと思わせられるような力作だった。

 

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2023.09.15

iPhone15発売

Iphone15

iPhone15が発売される。

2020年は、機種変の年だった。
ところがそれが叶わず、以後「10」のまま使い続けている。

「今年こそは」とは思うものの、めんどくさいなぁ、という思いもある。

上のチビさんも今年変える予定なので、それを確認してからでいいかな。

でも、USBになるのは魅力だなぁ。

 

画像は、iPhoneの公式サイトからお借りしました。

 

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2023.09.14

阪神優勝に備え 戎橋の隣の道頓堀橋に高さ約2mのシート設置へ

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阪神優勝に備え 戎橋の隣の道頓堀橋に高さ約2mのシート設置へ(NHK)

尼崎市では、お祭り騒ぎになりそう。

 

何と、京都でも!

阪神優勝に備え、京都府警が総合警備本部を発足へ 河原町通や鴨川飛び込み警戒(京都新聞)

 

何だか楽しいなぁ。ちなみに当方、現在は別に阪神ファンではありません、念のため(??)

 

川を綺麗にしておいた方がいいのでは??

 

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芦沢央、阿津川辰海、伊吹亜門、斜線堂有紀、白井智之【斬新 THE どんでん返し】

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著者:芦沢央・阿津川辰海・伊吹亜門・斜線堂有紀・白井智之
価格:726円
カテゴリ:一般
発売日:2023/04/12
出版社: 双葉社
レーベル: 双葉文庫
利用対象:一般
ISBN:978-4-575-52657-8

 

いずれの作家さんも、多分初めてだと思う。
「どんでん返し」というからには、スマートな騙し方をしてほしいものだが……。


芦沢 央 【踏み台】

罠を仕掛けたつもりが、相手の方が上手だった。
少々足りないのではとバカにしていたツケが回ってきたのであろう、冒頭作。

 


阿津川辰海 【おれ以外のやつが】


伊吹亜門 【遣唐使船は西へ】

実際に遣唐使船が大変だったとは知っていたが、こういう状況もあったろう。
しかし、これはミステリ(しかも密室もの?)とは、ちょっと違うような。

「どんでん返し」ということなら、最後の最後はそうとも言えるか?
希望が、一転して絶望に変わりそう。

 


斜線堂有紀 【雌雄七色】

全編、手紙文からなっている。

虹の七色に掛けた七色の封筒に入っている、捨てられた妻からの夫への手紙。
恨みがましい文章で、正直面白くなかった。

ではあったが、冒頭の息子から、母親の手紙を同封するとの父親への手紙だけは、彼の怒りが感じられてよかったが。


白井智之 【人喰館の殺人】

これは文字通りの作品で、非常に気持ち悪かった。

舞台が北海道で、昨今ニュースになっているヒグマ関連はまだしも(??)、そのあとの展開は付いていけない。


著者は、(多分)同じようなのを書いているようだ。

 

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2023.09.13

石田祥【猫を処方いたします。】

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著者:石田祥
価格:924円
カテゴリ:一般
発売日:2023/03/10
出版社: PHP研究所
レーベル: PHP文芸文庫
利用対象:一般
ISBN:978-4-569-90288-3

京都市中京区の薄暗い路地にある「中京こころのびょういん」。
心の不調を抱えてこの病院を訪れた患者に、妙にノリの軽い医者が処方するのは、薬ではなく、本物の猫だった!?

 

まず、表紙絵の猫の可愛いこと!
こんな猫を処方してほしい、少しの間だけでもいいから。

ただ、実際の中身は同じパターンの繰り返しで、さほど目新しいものではなかった。

奥田英朗の「いらっしゃーい」シリーズ(伊良部先生)の真似かなとも、チラッと思ったりしたのだった。

 

珍しく、「表紙絵が好き」から入ったので、これは残念だった。

 

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大阪 富田林などで運行の「金剛バス」 路線バス事業廃止へ

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大阪 富田林などで運行の「金剛バス」 路線バス事業廃止へ

あらまぁ!

以前富田林市を訪問したとき、利用したのだった。

市内を結構網の目のようにおおって運行されていたが、知らないものにはどの路線が目的地へ行くのかなかなか判らず、帰路はグルッと遠回りしたような気がする。

これは当市でも同じことで、知らない人には判りづらいだろうなと思う。

だからといって不要ということではなく、文字通り市民の足であったはずなのに。

 

画像は11年前の9月12日、東海道新幹線の車窓風景。
まだ5時前なのに、寂しい景色だなぁ。

 

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2023.09.12

中山七里【さよならドビュッシー】

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著者:中山七里
価格:618円
カテゴリ:一般
発行年月:2011.1
出版社: 宝島社
レーベル: 宝島社文庫
利用対象:一般
ISBN:978-4-7966-7992-3

ドビュッシーの調べも美しい、第8回『このミス』大賞・大賞受賞作。

 

岬洋介シリーズの第一作目というので読み始めたのだが、岬の登場は、ピアニストとしてだった。
ああ、このシリーズはミステリではないのねと思いながら進むと、何と父親は高名な判事で、自身法学部出身で試験には合格しているのだった。

さて途中からは殺人も起きて、それらしくなってくる。

そして朧気ながらも犯人の目星はついてくるが、動機は何だろう?などと考えたのは、浅はかだった。
さすが、どんでん返しの帝王。そうたやすく見破らせては貰えなかった。

 

それにしても、あまりにも哀しい最後だった。
事故と事件の犠牲者が哀れでならない。

 

 

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2023.09.11

絲山秋子【袋小路の男】

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著者:絲山秋子
価格:440円
カテゴリ:一般
発売日:2007/11/15
出版社: 講談社
レーベル: 講談社文庫
利用対象:一般
ISBN:978-4-06-275884-0

川端康成文学賞を受賞した表題作の他、「小田切孝の言い分」「アーリオ オーリオ」を収録。(講談社文庫)

 

絲山秋子さんは好きだが、この本はダメだった。

人を翻弄する人間は嫌いだが、翻弄される人間は、もっとダイッキライだ。
表題作【袋小路の男】は、こういう本だ。

 

その、男の方の言い分というのが、ずばり【小田切孝の言い分】なのだが……。

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新聞に欠けていたものは ジャニーズ問題で批判を受けて考えたこと

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新聞に欠けていたものは ジャニーズ問題で批判を受けて考えたこと

デジタルの週刊誌などでは、ジャニーズの写真は掲載されてこなかった。
それだけ、ジャニーズ側からの圧力も強く、マスコミは言われるままだったようだ。

ちょっと気に入らないと、共演者を降ろせといった圧力もあったという。

一方いわゆる大新聞では、むしろ無関心を装っていた。
噂くらいは聞いているだろうに、一顧だにしなかったのだろう。

 

画像は、8年前の9月12日。青森ベイブリッジにて。

 

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2023.09.10

西村京太郎【北海道新幹線殺人事件】

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著者:西村京太郎
価格:660円
カテゴリ:一般
発売日:2019/09/21
出版社: KADOKAWA
レーベル: 角川文庫
利用対象:一般
ISBN:978-4-04-108735-0

売れない作家・三浦に、出版社の社長から北海道新幹線開業を題材にしたミステリーの依頼が来る。前日に刊行してベストセラーを目指すと言うのだ。脱稿した三浦は開業当日の新幹線に乗り込むが……。

 

北海道新幹線が開業したのは、2016年3月26日。
東京発新函館北斗行き始発列車には、実際に乗車した人がいたはずだ。

本書の最初の刊行がいつかは知らないが、自分が乗車した座席だと、ちょっと気持ち悪いだろうな。

で、この開業日に合わせて出版した本の通りに殺人が起き、十津川たちも巻き込まれる。

 

以下、ネタバレあり。

この出版社のしていることは、到底許されるべきではない。
こういうのは、発覚した時点で犯罪と見なされて取り調べの対象になるのでは?

 

実際には「北海道新幹線」は新函館北斗と新青森間で、新青森から東京は「東北新幹線」と今でも呼んでいる。
だから、本書の事件は「東北新幹線」内ということなのだが……。

 

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2023.09.09

笹沢佐保【泡の女】

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著者:笹沢佐保
価格:1,320円
カテゴリ:一般
発売日:2023/08/08
出版社: 徳間書店
レーベル: 徳間文庫
利用対象:一般
ISBN:978-4-19-894880-1

夫婦の愛の虚妄を非情に描いて深い余韻を残す、長編推理の傑作。

 

冒頭、木塚夏子は喫茶店で弁護士を待っている。

夏子は、学校長の父と二人暮らし。
国の役所に勤めていて、同僚と結婚する。
夫になる達也は、入り婿として木塚家に同居する。

父は戦争中に都内で500坪もの土地を買っており、定年後はそこをバラ園にするのを楽しみにしていた。

当然起きてくる、この土地狙いだが……。

 

その父が旅先で亡くなり、夫が殺人犯として逮捕された。

物語は、弁護士とのやりとりから過去の話へ行ったり来たりして進む。

うーん、さすがというか。こういう展開になるとは、思いもしなかった。

なんとなく頼りなげな夏子だったが、芯はしっかりしていた。

最後の場面は、痛快だった。

 

 

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看板俳優は96歳。「老いと演劇」が映し出すコミュニケーションの本質

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看板俳優は96歳。「老いと演劇」が映し出すコミュニケーションの本質

場所は、岡山県奈義町。
奈義町と聞いて、心動いた。

主宰は、俳優で介護福祉士。

「イエスアンドゲーム」の動画を見たのだが、みんな即興で考えながら演じている。
楽しそう!

見学してみたいなぁ。

 

画像は、今回も11年前の9月8日。「きりしま」車中から。
桜島が見えてきた。

 

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2023.09.08

藤野千夜【じい散歩】

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著者:藤野千夜
価格:825円
カテゴリ:一般
発売日:2023/08/08
出版社: 双葉社
レーベル: 双葉文庫
利用対象:一般
ISBN:978-4-575-52679-0

飄々としたユーモアと温かさがじんわりと胸に沁みる、現代家族小説の白眉。

 

新平の一日は、ほぼ毎日決まっている。

健康体操をして、自分流の健康飲み物を作ってのみ、散歩に出かける。

朝が健康食だから、昼は好きなものを食べる。肉も平気だ。
そんな新平に、若干認知症気味の妻は浮気を疑っている。
この浮気への疑いがかなりしつこく、読んでいてもうっとうしい。

三人の息子たちとは、それぞれのやり方で付き合い、自分の健康を疑ってもいない。

年に一度、兄弟とその連れあいたちでの旅行を、楽しみにしている。
こういうの、何だかゾッとするが。

標準的な家族とは言えないような気もするが、それなりに幸せなのだろう。

「ユーモアとあたたかさ」と紹介文にはあるが、そうなのかなぁ。

 

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2023.09.07

三浦しをん【天国旅行】

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著者:三浦しをん
価格:649円
カテゴリ:一般
発売日:2013/07/29
出版社: 新潮社
レーベル: 新潮文庫
利用対象:一般
ISBN:978-4-10-116762-6

すべての心に希望が灯る傑作短編集。(解説・角田光代)

 

【天国旅行】というタイトルだが、あの世のことが書いてある短編集。原題は【心中】だったらしい。
正直、あまり楽しい本ではなかった。

富士の樹海でさまよう、クダクダと遺書を書く、夢で前世に会う、ひき逃げされた恋人が常に傍らにいる

そういったこと全てが、何だかむなしく、とても「希望が灯る」とはならなかった。

しかし、最後の【SINK】だけは、ジンときた。もっと膨らませて、中編くらいだとよかったのに。

 

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紙の本が持てない 足先で繰る電子書籍 読書バリアフリーが必要な訳

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紙の本が持てない 足先で繰る電子書籍 読書バリアフリーが必要な訳

「本を読む」というと、当たり前のように紙の本のことを指す。
しかしそういう時代も、このところ急速に変わってきているようには思う。

しかしまだ「自分の本は電子書籍化しない」と仰るベストセラー作家もいらっしゃる。

自分自身、読書はもっぱらKindleに頼っている。
しかし好きな作家の読みたい本に出会えないこともあり、諦めざるをえない。

こうした著名な方たちが率先してバリアフリーに向き合って下さったら、読書界全体が変わるような気がするのだが。

記事中にある「もっと電子書籍が増えてほしい。読みたい本を読みたいです」は、その通りだ。

 

画像は11年前の9月7日。ホテルの近くを散歩中。

 

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2023.09.06

中山七里【毒島刑事最後の事件】

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著者:中山七里
価格:781円
カテゴリ:一般
発売日:2022/10/06
出版社: 幻冬舎
レーベル: 幻冬舎文庫
利用対象:一般
ISBN:978-4-344-43236-9

人間の罪と業を暴く、痛快ミステリ!

 

まさに「痛快ミステリリー」。一気読みしてしまった。

実は二巻目の【作家刑事毒島の嘲笑】を先に読んでしまっていたのだが、これが最後ということは……。

最初の【作家刑事毒島】では、タイトル通り毒島はかなり人気の作家であり、また退職後に刑事指導官として復職している。
いわば二足のわらじを履いているのだが、今回はそれ以前の、毒島が警察を辞めることになった事件を扱っている。

その真相が、本書最後の【自業自得】で明かされる。
【不倶戴天】【伏流鳳雛】【優勝劣敗】【奸佞邪智】と、知らずして操られた犯人を描き、最後の対決に至る。

 

今回、刑事2年目の犬飼が毒島の相棒として登場するが、彼は他のシリーズで主役をはることになるらしい。こちらも読んでみよう。

 

二巻目・三巻目の表紙絵が嫌いだ。毒島は、こんな嫌みな風貌ではないと思うから。

関連記事

【作家刑事毒島】(23.08.20)
【作家刑事毒島の嘲笑】(23.08.28)
【作家刑事毒島の最後】(23.09.06)

 

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2023.09.05

西村京太郎【近鉄特急殺人事件】

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著者:西村京太郎
価格:693円
カテゴリ:一般
発売日:2023/02/25
出版社: 新潮社
レーベル: 新潮文庫
利用対象:一般
ISBN:978-4-10-128545-0

殺人事件の舞台は、ブルーリボン賞受賞の、近鉄特急を代表するビスタEX(エックス)。
東京、特急車内……。「神の地に行く」と置手紙を残して姿を消した連続殺人の容疑者を追い、十津川警部は伊勢神宮に向かう!

十津川班唯一の女性刑事、北条早苗は、築云十年のマンションに住んでいる。
このマンションにはまた、黒猫が一匹、住み着いている。
というだけで、本書にシンパシーを抱くのだが。それだけではない、この子が殺人事件の発見者なのだ。

 

2020年、10月10日。

十津川班の一人北条早苗のマンションで、早乙女という歴史雑誌編集者が殺された。
同棲していた同僚及川は、奇妙なメモを残したまま姿を消している。
二人とも同じN大学の出身で、過激な歴史学者が新幹線の中で殺され、及川はその列車に乗っていた。

さらに、京都に住む学者の愛人も、殺されている。

及川は、狂信的な伊勢神宮信奉者で、宇治山田で辻説法を行い、「災厄がやってくるから天照大神に祈れ」と、道行く人たちに呼びかけている。

10月10日は、中国で最初に感染が分かった日だった。

と、単なる殺人事件以外に興味深い事実を絡めている。

まさに「元寇」と捉えた見方が面白かった(いや、面白がっている場合ではない)。

また、伊勢神宮のことや出雲との関係など、色々興味深い話もあった。

 

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名探偵ポワロ「ひらいたトランプ」

20120906-143205r

久しぶりにビデオを観た。

ポワロのシリーズは、一度ならず全部見ているので、現在進行中(録画中)の中からどれを選ぶかちょっと迷ったのだが。

今回はヘイスティングスもミス・レモンも登場せず、いつのまにかオリバー夫人がセミレギュラーになっている。

一種の密室ものだが、登場人物は9人。

何だか得体の知れない主と、彼に招かれた8人の客。
ポワロが知っているのは、先に書いたオリバー夫人とロンドン警察の警視、政府の情報部員。

この4人が、いわば捜査側になる。

ディナー後、4人ずつ二組のブリッジが、別々の部屋で行われる。

残りの4人が使っていた部屋にいた主が、死体で発見されるという展開になる。

捜査側4人が、容疑者側4人を一人ずつ呼んで話を聞くのだが……。

ブリッジを知っていたら、もっと楽しめたと思う。

 

それぞれが主と出会った時の映像が少し流されるだけで、あとはほぼ家の中での進行で、イギリスの自然堪能とはいかなかった。

 

話の主筋ではないのだが、現代なら問題にならないジェンダーの話が出てきて、時代を感じさせられた。

 

画像は、11年前の9月6日。
宮崎のホテルから見た、多分大淀川。

 

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2023.09.04

中山七里【スタート!】

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著者:三浦しをん
価格:726円
カテゴリ:一般
発売日:2015/02/10
出版社: 光文社
レーベル: 光文社文庫
利用対象:一般
ISBN:978-4-334-76866-9

映画への情熱と、どんでん返しの妙が織りなす、一気読み確実のミステリー!

 

表紙絵にかなり引いてしまうが、これは撮影の現場だろう。カメラや白板が見えるし、腰掛けているのが主人公だろうか。

面白かったー。紹介文にある通り、一気読みした。

犯人が割れてからの、逆転・逆転・大逆転で、息をもつかせぬ展開。

同時に、主人公映一の、周りの人に助けられながらの成長物語でもあった。

宮藤映一は、何となく退廃的な毎日を送っていたが、伝説的映画監督の大森一家に呼ばれ、現場に合流する。

しかしスポンサーの一つテレビ会社との軋轢など、不穏な空気を醸し出している。

また、キャストの交代や予期せぬことが起きて、現場はなかなか全員一致とはいかない。

それが撮影が始まって、大森がメガホンを取っていく内に、しだいに大森に影響されていく。

古き良き映画の時代というのは、またこうした毎日が繰り返されていたのだろうか?

 

カメラの大きさや撮る範囲など、テレビと映画の違いも分かって興味深かった。

 

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2023.09.03

柴田よしき【猫は密室でジャンプする~猫探偵 正太郎の冒険1~ 猫探偵正太郎】

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著者:柴田よしき
価格:704円
カテゴリ:一般
発行年月:2004.12
出版社: 光文社
レーベル: 光文社文庫
利用対象:一般
ISBN:4-334-73797-8

猫好き、ミステリー好き絶対満足。猫探偵の六つの事件簿!

 

今回は、短編集。表紙は、最も正太郎らしさが溢れた一枚だ。

【愛するSへの鎮魂歌(レクイエム)】

冒頭作なのに、正太郎の語りではない。

何故か同居人の本を読んで勘違いした男が、ストーカーになって自滅する話。
最後の同居人への事情聴取以外は、その男の一人語りで進んで行く。
あまり感じのいい展開ではなかった。

かなり以前に読んでいたので、ほぼ中身を忘れてしまっていた。
東京暮らしになってしまったことが、何となく残念だ。

琵琶湖畔のマンションからの風景もいいし、時々最初の飼い主とその愛犬サスケが登場するのも楽しかったのに。

もっとも東京には、正太郎が恋い焦がれる「深窓のニャンコ」も住んでいるのだが。

収録作は、以下の通り。

【正太郎とグルメな午後の事件】
【光る爪】
【正太郎と花柄死紋の冒険】
【シングルベル】
【正太郎と田舎の事件】

あとがきは、「読者代表より」と名乗る川口真氏。
まさに読者の気持ちを代弁していて、好感が持てた。

 

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(旅する文学)大分編 過去背負う人を励ます力

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(旅する文学)大分編 過去背負う人を励ます力 文芸評論家・斎藤美奈子

大分は家族旅行で別府にいったことがあるのと、出張で二度ほど訪れた。

以下の作品が紹介されている。

池寛『恩讐の彼方に』
横光利一『旅愁』
小野正嗣『獅子渡り鼻』
町田そのこ『52ヘルツのクジラたち』
織江耕太郎『百年の轍』
植松三十里『万事オーライ』

「現代文学の中でも、大分はしばしば救済の地として描かれる。」と記事にあるように、いずれも救いの物語と言える。

 

実際に読んだことがあるのは、【恩讐の彼方に】と【旅愁】だけだ。Unlimittedであるので、再読しよう。

【獅子渡り鼻】が面白そうなので、手始めに読んでみることにする。

 

画像は「競秀峰と青の洞門」、Wikipediaからお借りしました。

 

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2023.09.02

中山七里【笑え、シャイロック】

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著者:中山七里
価格:748円
カテゴリ:一般
発売日:2020/10/23
出版社: KADOKAWA
レーベル: 角川文庫
利用対象:一般
ISBN:978-4-04-109955-1

勤続三年目の結城が営業部から異動させられたのは日陰部署の渉外部。しかも上司は伝説の不良債権回収屋・山賀。憂鬱な結城だったが、山賀と働くうち、彼の美学に触れ憧れを抱くように。そんな中、山賀が何者かに殺され――。

 

亡くなった山賀に替わって、困難な取り立ての仕事を引き受けた結城。

冒頭の【 わらしべ長者】は、自分でそう思い込んでいるだけの、単なるサボりやにすぎなかった。

町工場の社長には、その技術を売ることで、借金を返済させる。この話はよかった。

 

しかし相手はだんだんややこしくなる。

【振興衆狂】は、違う漢字が当てはまる集団。

他の図書でも感じたことだが、こと狂信的な信心ほど恐いものはない。

【タダの人】では、落選した政治家。文字通りただの人なのだが、その自覚が本人にも周りにもない。

と、エスカレートしていく取り立てだが、山賀の薫陶を受けた結城は、その都度頭を振り絞って何とか解決していく。

その間、警察は山賀の犯人捜しをしていた。

最後【人狂】は誰を指すのだろうか?

しかし、銀行とは怖いところだ。

 

表紙絵は、左後方に二人の人物。山賀に従っている結城だろうか。
心なしか、山賀の影が薄いような気がする。

その全面には、扇形に拡げられたⅠ万円札と5千円札。

 

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2023.09.01

8月の読書メーター

8月の読書メーター
読んだ本の数:21
読んだページ数:6080
ナイス数:2169

駅に泊まろう! (光文社文庫)駅に泊まろう! (光文社文庫)感想
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2023/08/post-f0dbcb.html
実際にこの駅の駅舎は民宿で、季節によってはホームでのバーベキューもありだとか。
こういう駅は好きだけど、北海道の冬は厳しいでしょうね。
読了日:08月30日 著者:豊田 巧


作家刑事毒島の嘲笑作家刑事毒島の嘲笑感想
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2023/08/post-03e950.html
短編集ですが、話は繋がっていました。
読了日:08月28日 著者:中山 七里


終着駅へ行ってきます (河出文庫 み 4-7)終着駅へ行ってきます (河出文庫 み 4-7)感想
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2023/08/post-836362.html
どこか侘しい感のある終着駅ばかりを集めた本書は、どこを読んでも楽しくなります。
読了日:08月26日 著者:宮脇 俊三


ロマンス小説の七日間 (角川文庫)ロマンス小説の七日間 (角川文庫)感想
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2023/08/post-2b0fda.html
劇中劇ならぬ「作中作」ですか、ストーリーの中に、この「ロマンス小説」が組み込まれていたのでした。中身はなかなか楽しかったです。
読了日:08月24日 著者:三浦 しをん


左京区桃栗坂上ル (小学館文庫 た 21-3)左京区桃栗坂上ル (小学館文庫 た 21-3)感想
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2023/08/post-4427df.html
関西が主な舞台だったので、楽しめました。
読了日:08月22日 著者:瀧羽 麻子


作家刑事毒島 (幻冬舎文庫)作家刑事毒島 (幻冬舎文庫)感想
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2023/08/post-40c9b8.html
短編集です。最後の【原作とドラマの間には深くて暗い……】では、放送界の闇がわかりました。
よく原作とドラマは別物等といいますが、今回ほど改竄されたら原作者はたまらないでしょう。
読了日:08月20日 著者:中山 七里


墨のゆらめき墨のゆらめき感想
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2023/08/post-6d11be.html
続がしだいに遠田の影響を受けていく過程が面白かったです。映像化が希望されていたとのことですが、誰がいいかなぁ。
読了日:08月18日 著者:三浦 しをん


駐在日記 (単行本)駐在日記 (単行本)感想
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2023/08/post-289d8a.html
元刑事と元外科医の駐在さん夫婦が遭遇する事件の数々です。シリーズのようなので、読んでいこうと思います。
読了日:08月16日 著者:小路 幸也


盤上のアルファ (講談社文庫)盤上のアルファ (講談社文庫)感想
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2023/08/post-a26525.html
主人公と女流棋士との交流が、救いでした。
読了日:08月15日 著者:塩田 武士


猫は引っ越しで顔あらう~猫探偵 正太郎の冒険4~ 猫探偵正太郎 (光文社文庫)猫は引っ越しで顔あらう~猫探偵 正太郎の冒険4~ 猫探偵正太郎 (光文社文庫)感想
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2023/08/post-45b6cf.html
とうとう東京に住むことになった正太郎ですが、ここでもしっかり活躍します。
読了日:08月14日 著者:柴田 よしき


スイート・ホーム (ポプラ文庫 は 9-3)スイート・ホーム (ポプラ文庫 は 9-3)感想
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2023/08/post-6f2cff.html
悪い人は誰も出てこない、ほのぼの系連作短編集です。でも、あまりにも甘いと、胸焼けしてしまうのです。
読了日:08月13日 著者:原田マハ


騙し絵の牙 (角川文庫)騙し絵の牙 (角川文庫)感想
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2023/08/post-1b138e.html
読み始めた頃は、これが大泉洋への当て書きだとは知らなかったのです。
読了日:08月12日 著者:塩田 武士


星がひとつほしいとの祈り (実業之日本社文庫)星がひとつほしいとの祈り (実業之日本社文庫)感想
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2023/08/post-85a0b9.html
短編集。義理の娘が窮地に陥った時に頼ったのがその母だったという【沈下橋】が一番好きだったかもしれません。
読了日:08月10日 著者:原田 マハ


パスファインダー・カイト (ハルキ文庫 さ 30-1)パスファインダー・カイト (ハルキ文庫 さ 30-1)感想
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2023/08/post-31fabb.html
主人公には特殊な任務があるということでしたが、最後はあまりスッキリしない終わり方でした。最近の出版なので、続きがあるのかもしれません。
読了日:08月08日 著者:斉藤 詠一


あの夏の正解 (新潮文庫)あの夏の正解 (新潮文庫)感想
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2023/08/post-9f875c.html
今年は元通りの形で、大会がスタートしました。
読了日:08月07日 著者:早見 和真


あめつちのうた (講談社文庫)あめつちのうた (講談社文庫)感想
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2023/08/post-6bfc6a.html
阪神園芸という、実際に甲子園球場の整備を担っている実名の会社が舞台です。表紙絵にある水をまくという事一つをとっても、大変なお仕事であることが分かります。
読了日:08月06日 著者:朝倉 宏景


びんぼう草 (ハルキ文庫)びんぼう草 (ハルキ文庫)感想
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2023/08/post-6956d9.html
表紙絵に釣られて買ってしまったのですが、これまでの群さんの本のようには、合いませんでした。
読了日:08月05日 著者:群 ようこ


幸せジャンクション ──キャンピングカーが運んだ小さな奇跡幸せジャンクション ──キャンピングカーが運んだ小さな奇跡感想
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2023/08/post-054bcb.html
先に読んだ【稲荷山誠造 明日は晴れか】に続いて一気読みです。次々とリレーされていく善意が、心地よかったです。
読了日:08月04日 著者:香住 泰


風精(ゼフィルス)の棲む場所 新装版 猫探偵正太郎 (光文社文庫)風精(ゼフィルス)の棲む場所 新装版 猫探偵正太郎 (光文社文庫)感想
今回は正太郎は出てきませんでした。何だか昭和に戻ったような、不思議なお話でした。
読了日:08月03日 著者:柴田 よしき


ネコと昼寝 れんげ荘物語 (ハルキ文庫 む 2-10)ネコと昼寝 れんげ荘物語 (ハルキ文庫 む 2-10)感想
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2023/07/post-d340a8.html
自分の将来に少し不安を感じつつ、それでも穏やかに暮らしているキョウコ。
だが実家では、それなりの変化が生じていたのでした。
母親との関係が、読んでいて辛いです。
読了日:08月03日 著者:群ようこ


逆ソクラテス (集英社文庫)逆ソクラテス (集英社文庫)感想
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2023/08/post-821e04.html
紹介文にもある通り、「最高の読後感」でした。表題作にある『そうは思わない』という言葉は、非常に刺さります。
読了日:08月01日 著者:伊坂 幸太郎

読書メーター

 

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遠田潤子【雨の中の涙のように】

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著者:遠田潤子
価格:770円
カテゴリ:一般
発売日:2023/08/09
出版社: 光文社
レーベル: 光文社文庫
利用対象:一般
ISBN:978-4-334-10003-2

雨の降るいくつもの情景の中で、悶え苦しみながら生きる人々とカリスマを持つ男が邂逅する。哀切と意外性に満ちた連作短編集。

 

一篇ずつは、ごく短い短編集。いずれの話にも雨が関係し、アイドル堀尾葉介が出会った人たちの運命を変えていく。
しかしその殆どの人たちは、平凡に生きることに価値を見いだしていく。

【第一章 垣見五郎兵衛の握手会】

【第二章 だし巻きとマックィーンのアランセーター】

【第三章 ひょうたん池のレッド・オクトーバー】葉介10歳のころ

【第四章 レブリカントとよもぎのおまもり】

【第五章 真空管と女王陛下のカーボーイ】が好きかな。

 誰かに必要とされているから生きていける。でも、誰かに必要とされている人間だって、やはり誰かを必要としているんだ。

猫がもう一人(?)の重要な役割を果たしている。「必要とされている」のだ。

【第六章 炭焼き男とシャワーカーテンリング】

【第七章 ジャック  ダニエルと春の船】

でも、みんないい話だった。これも、葉介効果かな?

だったのだが、

【最終話 美しい人生】だけは、ちょっと苦しかった。

以下、ネタバレあり。

父親が母親を殺して埋めた場所に、自殺願望の母子がいた。葉介は彼女らを救おうとして、危険にさらされる。

ここでは、葉介がずっと「堀尾葉介」を演じてきていたことにも触れられていて、辛くなってくる。

もう少し明るい最後にして欲しかった。いや、窮地を脱して助かるのだから、よかったとも言えるのだが。

 

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