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2023.09.24

中山七里【特殊清掃人】

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著者:中山七里
価格:1,760円
カテゴリ:一般
発売日:2022/11/07
出版社: 朝日新聞出版
利用対象:一般
ISBN:978-4-02-251870-5

特殊清掃業者〈エンドクリーナー〉には、日々、様々な依頼が押し寄せる。彼らの仕事をとおして、死者が抱えていた様々な事情が浮かび上がる。

 

実の母親の執念というか、子どもへの過度な愛がテーマの、【祈りと呪い】が一番辛かった。

 

【一 祈りと呪い】

「身体は女性で外見は男性」というのは、ジェンダーの立場からではなく、昔から小説などのテーマとしてはあった。

【ベルサイユの薔薇】もそうだし、手塚治虫の【リボンの騎士】もそうだ。

今回は、地味に生きてきた女性が認められ脚光を浴びたのに、それを打ち砕かれた絶望。しかもそれをもたらしたのは、ゆがんだ母性だったというのが哀しい。

クローゼットの衣装を見て謎を解明していくという、新たな探偵が面白かった。

しかし表題の仕事は実際に需要があるようだが、ここまでの状態のものも多いのだろうか?

 

【二  腐食と還元】

風呂の中での死体(しかもずっと高温が保たれていた)というのは、こんなにも悲惨なものか。

感電死というのは、ポワロだったかな、で出会ったことがある。

 

【三 絶望と希望】

ここではもう一人の社員、白井の目線から。

学生時代バンドを組んでいたときの、リーダーが今回の対象。
電気を止められて、熱中症で死亡したという。

白井は彼のパソコンの中にある「音楽」という遺産を見つけ出すのだが。

バンド時代のメンバーの一人によって、かすかな希望が湧いてくるのか?若干疑問だ。

 

【四 正の遺産と負の遺産】

今回は珍しく、お屋敷でのお仕事。

家政婦が夏期休暇中に主が心臓発作を起こし、1週間ほど放置されていたことからの依頼だ。

主は投機で財をなした人物で、娘が三人いる。その内長女と次女が宗教にかぶれていたことが判明する。

「子孫に美田は残さず」は、必要なことでは……。

 

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