有吉佐和子【若草の歌】
著者:有吉佐和子
価格:385円
カテゴリ:一般
発行年月:1963
出版社: 集英社
利用対象:一般
若い女性の、職業・恋愛・結婚・親子問題などが、精妙に織り込まれた、ユニークな青春小説。
本書の刊行は、1965年5月。
そば屋の娘二人を中心に、その父母、結婚相手、恋人、仕事の雇い人などを絡めて、物語は進行していく。
もう戦後20年近く経っているのに、この二人がごく自然に高校進学という進路を考えていないのが、意外だった。
長女千秋は、美人でしとやか。しかし一旦決めたら、実行力もある。
次女元子は直情型で、少々おっちょこちょいでもある。
両親は、駆け落ち結婚という過去を持っている。
千秋が小学校の同級生だった同じ理容師と結婚し、建て増した実家で店を持つ。
元子も手伝い、近所からは評判の理容店となる。
その内にはちょっとしたトラブルもあるが、素直で働き者の従業員にも恵まれ、まずは穏やかな日々と過ごしていく。
父親のお節介ぶりが時におかしく、対してじっくりと構えている母親の態度が微笑ましい。
こうした暮らしが、当時の東京でも外れの土地では可能だったのだ。
タイトルの「若草」というのは、理容店の名前でもある。
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