2024.01.31
2024.01.30
O・ヘンリー【1ドルの価値/賢者の贈り物 他21編】
著者:O・ヘンリー 芹沢恵 訳
価格:792円
カテゴリ:一般
発売日:2007/10/01
出版社: 光文社
レーベル: 光文社古典新訳文庫
利用対象:一般
ISBN:978-4-334-75141-8
世界各国で読み継がれる代表作のほか、知られざる作品も新訳で登場。心に染み入る珠玉の23編。
朝日新聞の「天声人語」に、「改心(本書では【蘇った改心】)」について触れられていた。
金庫破りから足を洗い、真面目に生きて結婚しようとしているジム。
だが金庫に閉じ込められた幼い少女を救うために、封じていた腕を使う。
彼を執拗に追い続けていた刑事に罪を告白するが、刑事は彼の改心を信じて、彼のことを知らないと言って去る。
というお話し。
本題の「天声人語」では、このあと政治の刷新について触れているのだが、この話は(多分)初めてだと思うので、本書を買って読んでみた。
有名な【最後の一葉】や【賢者の贈物】など、全22篇の短編集である。
いずれもピリッとした後口の佳作ばかりで、心が穏やかになる。その「善意の勘違い」が招くホノボノとした印象も。
スペイン語がわかるふりをしてしまったために、愛する女性からのメッセージを受け止められなかった話【サボテン】が、特に面白かった。
【意中の人】では、タイトルと言い最初の方の話と言い、完全に騙されました!脱帽です。
【心と手】も、これ以上ないどんでん返し。これまた、やられました。
【ミス・マーサのパン】は、すぐ古いパンの使い道が判ってしまった。画家ではなく、製図屋だったが。
今回ばかりは、「善意の勘違い」はとんだお節介だった。
【二十年後】も、久しぶりに読んでみて、やはり面白かったな。
2024.01.29
2024.01.28
松本清張【松本清張ジャンル別作品集(5) 犯罪小説】
著者:松本清張
価格:518円
カテゴリ:一般
発売日:2016/11/10
出版社: 双葉社
レーベル: 双葉文庫
利用対象:一般
ISBN:978-4-575-51946-4
大好評を得ている松本清張・文庫オリジナル作品集シリーズ第5弾は「犯罪小説」。犯罪にのぞむ人間の姿を描いた傑作短編集。
全体を通して、罪を犯す理由が自分勝手なのが多い。
それでも若干、犯人に同情の余地があるものも。
そんなときは、露見しなければいいのにと、つい思ってしまう。
しかし、さすが松本清張。短編小説にこそ、その真髄が発揮されている。
【断線】人好きのする田島は、次々と女性関係を拡げていく。
それが徒となって、最後は自滅するのだが。
まっこと、勝手な男もいるものだ。
【偽狂人の犯罪】
犯罪を犯しても、それが露見することは解っている。
そこを逆手にとって、狂人の振りをしてやり過ごそうとする犯人。
刑法39条については、つい先頃話題になった。
以前にも書いたが、それを理由に罪を逃れられたらたまらないなと思う。
【二階】
これは、他の短編集で読んだ。これまた自分勝手な心中事件。
残された妻が気の毒で、今回再読する気にはなれなかった。
【小さな旅館】
こちらも、自分のためではなく不遇な娘と自分の財産を守るための犯罪。
日本の警察は実に有能だ。
【理由】
これまた単調な家庭生活に倦んだ主人公の、勝手な「理由」をつけての犯罪。
【形】
2024.01.27
東海道新幹線で使用していた「車内販売用ワゴン」を50台限定で抽選販売
東海道新幹線で使用していた「車内販売用ワゴン」を50台限定で抽選販売
1台、10万円だって。
大きさは、縦 94cm 横 33cmくらい。高さは110cm。
ダイニングの食卓の横に置けない大きさではない。
ここに食事の時に使う諸々を収めておいて、都度使うのも便利そうだな。
2024.01.26
2024.01.25
伊奈めぐみ【将棋の渡辺くん(1)】
著者:伊奈めぐみ
価格:880円
カテゴリ:一般
発売日:2015/12/09
出版社: 講談社
レーベル: ワイドKC
利用対象:一般
ISBN:978-4-06-395559-0
勝負師でも無頼でもない、リアルな将棋棋士の毎日を棋士の妻が漫画にしました。ノンフィクションです!
今さらだが、【将棋の渡辺くん】を読んだ。
15年12月1日の発行で、当時の渡辺くんは「竜王」。
まだ藤井くんはプロ入りしていない。
著者は渡辺くんの奥さんで、自らもアマ初段の腕前。女流奨励会にも所属していたという。
兄は伊奈六段(当時)で、兄の妻は囲碁棋士だとか。
断片的に知っていた渡辺九段(現在)の私生活が垣間見えて、楽しかった。
本書では、羽生さんが時々出てくる。
今後続編を読んでいって、藤井くんとの出会いも読んでみたいな。
2024.01.24
藤井王将、最強の弓使い・源為朝に扮した
藤井王将、最強の弓使い・源為朝に扮した 年間最高勝率.855更新見えた、中原16世名人超え射抜く
「第73期ALSOK杯王将戦7番勝負」で勝利した藤井王将の「勝者の罰ゲーム」。
前日には椿の枝を加えた写真で、非常に色気のある表情を披露した藤井くん。
翌日のこの「源為朝」に扮した写真が、非常に格好いい。笑顔も爽やかだ。
こういう扮装は、やはり若い方のものだろうな。
しかし、記者たちが藤井くんが為朝のことを調べてきたと感心していたが、もはや「鎮西八郎為朝」を知らない人が多いのだろうか?
勿論自分とて、昔語りの剛勇な武士として、歴史上の人物を記憶しているだけだが。最後は、伊豆へ流されたはず。
画像はちょうど10年前の1月25日。堺の施設の屋上から見た景色。
2024.01.23
キンドル、購入済み書籍「消える」事象が報告…1年経過すると保証されない?
少々ショッキングな、こんな(↓)ニュースが。
キンドル、購入済み書籍「消える」事象が報告…1年経過すると保証されない?
そう言えば、「コンテンツ」一覧から見た書籍に「ダウンロード出来ない」という文字があったような??
Kindleでの「購入本」が実は「借りているだけ」という話を、読んだことがある。
図書館と違って無料ではないのだから、たとえ「借りている」状態でも、それは保証されるべきではないのかなぁ。
画像は5年前の1月18日、神戸駅。講習会の帰途らしい。
2024.01.22
小野寺史宜【ひと】
著者:小野寺史宜
価格:980円
カテゴリ:一般
発売日:2021/04/16
出版社: 祥伝社
レーベル: 祥伝社文庫
利用対象:一般
ISBN:978-4-396-34718-5
店を開くも失敗、交通事故死した調理師だった父。女手ひとつ、学食で働きながら東京の私大に進ませてくれた母。―その母が急死した。柏木聖輔は二十歳の秋、たった一人になった。
天涯孤独になった聖輔の周りの殆どが、気持ちのいい人たちでよかった。
最後に残っていたコロッケを見知らぬおばあさんに譲った優しさが、彼の運を引き寄せたのか。
はじめは茫然自失したままなかなか動けなかった聖輔だったが、コロッケが縁でバイトを始めた店に勤める内、次第にしっかりしてくる。
父と同じ調理師になろうと決め、父が以前勤めていた店へも訪ねていく
また、葬儀の時に親切にしてくれたことには感謝しつつも、その後やっかいな存在になる遠い親戚の男への対応も、しっかりこなせた。
タイトルが【ひと】ではなく、【ひとり】かなと途中まで勘違いしていた向きがある。
物語は、聖輔が独りぼっちになった【一人の秋】から始まり、【一人の冬】を過ごし、【一人の春】を迎える。
その間、色々な人との出会いがあり、最終章【夏】で、ある完結を見る。
三浦しをん【あの家に暮らす四人の女】
著者:三浦しをん
価格:748円
カテゴリ:一般
発売日:2018/06/22
出版社: 中央公論新社
レーベル: 中公文庫
利用対象:一般
ISBN:978-4-12-206601-4
ゆるやかに流れる日々が、心に巣くった孤独をほぐす同居物語。織田作之助賞受賞作。
杉並区にある、古びた洋館。
住んでいるのは、家付き娘として育った鶴代と、その娘佐知。佐知は、父を知らない。自分が生まれて間もなく、家を出て行ったらしい。
暮らしはほぼ母の貯金でまかなうことが可能で、佐知は刺繍作家でもあり、教室を開いてもいる。
鶴代が若い頃から、門番小屋に住んでいる山田という老人もいる。
そこへ、ひょんなことから雪乃と多恵美も同居するようになる。
近所の子どもたちからは「お化け屋敷」と呼ばれている「あの家」に四人の女が暮らしているのである。
多恵美の元恋人のストーカー行為があったり、最後の方では強盗に入られたりとかなりインパクトのある「事件」はあるが、概ね穏やかな毎日が続く。
4人それぞれの性格が際立っており、退屈せずに読めた。
合間に善福寺烏というのが昔の話を聞かせたり、出ていった父親が(実は亡くなっていて)そっと家族を見守っていたり、といった横道の話も入ってくるが。
2024.01.21
2024.01.20
2024.01.19
芥川賞・直木賞
芥川賞・直木賞の会見を、少し観た。
というのは、直木賞受賞のお一人河崎秋子さんが、しのぶんさんのTシャツを着ていらっしゃるのを知ったからという、何ともミーハーな理由だったのだが。
受賞作【ともぐい】は読んでみたいと思っていたものの、少々お高い。
しかし、この会見を観て「絶対読もう」と思った。
記者たちからの色々な質問への受け答えが、実に爽やかでテキパキしている。好感が持てるお話しぶりだった。
まるで用意されているかのように、きちんとした答が返って来ていた。
横に出てくるコメントでシャツに触れているのもかなりあって、ニンマリしてしまったのだった。
あ、Amazonでポチッとしたのは言うまでもない。
2024.01.18
望月麻衣【満月珈琲店の星詠み】
著者:望月麻衣
価格:770円
カテゴリ:一般
発売日:2020/07/08
出版社: 文藝春秋
レーベル: 文春文庫
利用対象:一般
ISBN:978-4-16-791400-4
満月の夜にだけ開く不思議な珈琲店。優しい猫のマスターと星遣いの猫たちが、極上のスイーツと占星術で、人生に迷える人々をおもてなしする。
「星詠み」とは、その人の出生図に従って運命も決まるというホロスコープのことらしい。
その出生図には「誰もが通る星座順で運命が決まっていく」ことが描かれているという判断でいいのかな?
第一章で言えば、主人公 芹川瑞希は「自分は自分のために、素敵な部屋に住む必要がある」ことを「知ること」が必要なのだと言う。
こうしたことを示すのが、「満月珈琲店」のネコたちだというのが楽しい。
喫茶店の星詠みマスターと、店員のハチ割れ猫サートゥルヌス(土星)、シンガプーラのウ-ラノス(天王星)。どの猫も可愛くて、それでいて威厳がある。
という第一章 「水瓶座のトライフル」から始まって、独立した話でありながら繋がっている三篇。
第二章「満月アイスのフォンダンショコラ」は、その瑞希の送って来た話を「企画が通らない」と突きつけた中山明里が主人公。
第三章になると、これまでの主人公たちが繋がっていく。
いずれも、楽しく読めた。
出てくるスイーツとピアノの演奏曲を、確認したい。
まだ4冊もあるらしい。猫が出てくるし、順番に読んでいくかもしれない。
2024.01.17
2024.01.16
三浦しをん【神去なあなあ夜話】
著者:三浦しをん
価格:704円
カテゴリ:一般
発売日:2016/06/03
出版社: 徳間書店
レーベル: 徳間文庫
利用対象:一般
ISBN:978-4-19-894117-8
人気作『神去なあなあ日常』の後日譚。みんなたち、待たせたな!
勇気が神去村へ来て、はや一年。
最初は嫌で仕方なかった田舎暮らしと山の仕事だが、それなりに慣れもしたし、仕事も上達した。
今回は勇気が直紀さんとどこまで親しくなれるかに注目!
その間、繁婆さんから神去村の由来を聞いたり、お稲荷さん信仰に目覚めたり。
勇気はある日墓地で、村人12人が同じ日に亡くなっていたことを知る。
その件が、一番衝撃的だった。
また、みんなで作り上げた「クリスマスパーティー」も、ほのぼのとしたいいエピソードになった。
一見のほほんとしている「ヨキ」も、辛い過去を背負っていたのだった。
勇気が捻挫したことで一晩山の中で過ごした勇気と「ヨキ」は、初めてシンミリと話を交わす。
こういう小説、いいなぁ。さすが三浦しをんさんだ。
林業は厳しそうだが、やはり「木」はいつまでも途絶えて欲しくない。
関連記事
【神去なあなあ日常】(24.01.04)
2024.01.15
「ウィッシュリスト」を作ってみる
【婦人の友 1月号】の特集だった「ウィッシュリスト」を作り始めた。
上掲誌には、おふみさんという方の見本が掲載されていた。
それによると、最初に「10のジャンルを書く」とある。
したいことや興味のあることを思い浮かべて、10のジャンルに分けるのだとか。
その一つ一つのジャンルに、10ずつしたいことを書いていく方法。
実際にはジャンルは9つで、最後の10番目は「その他」として予備に空けてある。
どこへ入れたか解らないもの用にしてある。
しかし、各ジャンルすべて10個ずつというのは無理があるような気がする。
そこで、一応ジャンルわけはするが、思いついたものを「1ジャンルに1~10」ではなく、どこのジャンルでもいいから連番で書いていくことにした。
本来は元日に書くのがいいそうだが、まだまだ年は明けたばかり。
これからボチボチ作っていこう。
関連記事
【婦人の友 1月号】(24.01.13)
画像は、11年前の1月10日。雪を頂いた伊吹山。
この日は、名古屋まで行ったようだ。
2024.01.14
小山愛子【舞妓さんちのまかないさん(1)】
著者:小山愛子
価格:715円
カテゴリ:一般
発売日:2017/04/12
出版社: 小学館
レーベル: 少年サンデーコミックススペシャル
利用対象:一般
ISBN:978-4-09-127562-2
ここは京都のど真ん中にある花街。
華やかな花街の舞台裏、普通の日のごはんを通して、温かな人間模様が描かれます。
舞妓になるべく青森から出てきたキヨは、踊りのセンスがまったくなく、落ちこぼれて故郷へ帰ることになる。
そんなとき、置屋のまかないさんが辞めることになり、そのピンチヒッターになったのだが……。
1巻目だけパソコン上で読めると知って、読んでみた。読みやすく、分かりやすく、楽しい作品。
料理も幾つか出てくるが、どれも普通の献立でサラッと描かれている。
置屋ではカレーを出さないというのを、初めて知った。カレーは、一番家庭を思い出す味。里心が付かないようにということらしい。
休みの日にわざわざ知人宅へ出かけて、カレーを作るキヨさん。優しい心配りだ。
少年週刊誌に連載中というのが、何となく微笑ましかった。
全部揃えるのは、大変そう。
2024.01.13
【婦人之友 2024年1月号】
発売日:2023/12/12
雑誌コード:01311
出版社: 婦人之友社
発売当時は「なーんだ」と思って手にしなかったこの1月号。
特集の「あなたは10個?100個? 書いて叶えるウィッシュリスト」が気になってきて読んでみた。
中田喜子さんや杉山 愛さん等の実例も掲載されている。
作り方の一例も載っていて、参考になる。
元旦に「100個」の「やりたいことリスト」を作るというもの。
別に100個ではなく10個くらいの人もいるとか。
書いたことが叶うかどうかはともかく、自分の気持ちを書き出して明文化するのはいいかもしれない。
他に、「羽仁もと子生誕150年記念」としての公開座談会・抄録があった。
羽仁もと子は、青森出身だったのか。
2024.01.12
瀧和麻子【東家の四兄弟】
著者:瀧和麻子
価格:1,760円
カテゴリ:一般
発売日:2023/10/12
出版社: 祥伝社
利用対象:一般
ISBN:978-4-396-63653-1
占い師を父に持つ、男ばかりの四兄弟。
一枚のタロットを引き金に、ほろ苦い過去や秘密がうきぼりに。
帯には「星めぐる家族の不協和音!?」とあったが、そんなことはなかったように思う。
それぞれ個性的な4兄弟の暮らしぶりと、その父母の物語。
長男朔太郎は、小学校でいじめを受けていたが、猛勉強をして私立の中学に進学し、その後研究者になって現在は一人九州の大学に勤めている。
このいじめっ子が、父親の顧客の息子なのだが……。
次男真二郎は、父の占い師としてのあとを継いでいる。まだまだ父には及ばないと、精進の日々。
名前の通り心優しい三男の優三郎は、職場でのパワハラに悩むが、それを克服して一皮むける。
末っ子恭四郎はまだ学生だが、優三郎と親しい彼女に恋している。
しかし一番の存在が、彼らの母だ。
何事にも動じない。察しがよく息子たちの悩みにも気づいているが、さりげなく対応している。
彼女の存在が、この一家を支えているのかもしれない。
物語が進むにつけ面白さが増していって家族でのハワイ旅行で終わるのだが、ちょっと肩透かしの感があった。
4人それぞれの物語を「☆」の数で表し、歯切れよいテンポで画面展開をしている趣向が面白かった。
2024.01.11
2024.01.10
沢木耕太郎【旅の窓】
著者:沢木耕太郎
価格:660円
カテゴリ:一般
発売日:2016/04/09
出版社: 幻冬舎
レーベル: 幻冬舎文庫
利用対象:一般
ISBN:978-4-344-42463-0
旅先で撮った八十一枚の写真から、人生の機微を描いた物語が立ち上がる。沢木耕太郎「もうひとつの旅の本」。
一つの文章に一枚の写真。
というか、著者が旅先で見た風景を切り取ったものに説明を加えたものと言った方がいいかもしれない。
特に心惹かれたのが、「終着駅」「自分の顔」「一本道」「晴れ着の二人」「グラスのきらめき」「名もない町」「子供の記憶、記憶の子供」「砂漠の猫たち」「遊び心」「笑顔ひとつ」「聖家族」などだ。
「笑顔ひとつ」の女の子の笑顔が、いつまでも続きますように!
「聖家族」の三人の幸せも祈りたい。
「晴れ着の二人」にも癒される。
個人的にでも、気に入った写真に文章を付けて保存するというのも楽しいかもしれない。
2024.01.09
2024.01.08
2024.01.07
2024.01.06
有吉佐和子【三婆】
著者:有吉佐和子
価格:880円
カテゴリ:一般
発行年月:1978
出版社: 新潮社
利用対象:一般
敗戦の混乱のさなかに金満家の老人が急死し、残された彼の宏大な邸に本妻・妾・小姑の三人の老女が同居する。――三者入り乱れての虚実のかけひき。
映画や舞台にもなっている作品。意外や、短編集だった。
表題作【三婆】は映画や舞台になっているが、観たことはない。
もっとくだけた話かと勝手に思っていたが、戦後を舞台にしたかなりドロドロした話だった。
しかし60代で、こんなに老けているものか?同じ頃の祖母でも、こういう感じではなかったような気がする。
「振るアメリカに袖は濡らさじ」は、玉三郎の舞台があるという知識しかなかった。
伝説のように語られていた話を、著者の【亀遊の死】が蘇らせたのだとか。
この世界の話は、どれも好きになれない。
冒頭作【役者廃業】が面白かった。
先輩にうまく嵌められて、結局役者を辞めて寿司屋になった男の話。
【水と宝石】や【王台】
こういったいわば有閑マダムの話も嫌いだ。
2024.01.05
「にっぽんのいろ日めくり」カレンダー
暦生活さんの「日本の色日めくり」カレンダーを使い始めた。
もともと、奇麗な色が好きだ。
そんな時、Twitterで流れてくる暦生活さんの「毎日の色」の紹介に、心動いた。
「日めくりカレンダー」というのは、昔母の実家で使っていた。
岐阜へ行くのは夏休みだから、その頃にはだんだん切り口がずれてきていた。
それが嫌さに、日めくりカレンダーには何だか偏見があった。
しかしこのカレンダーは切り口があって、奇麗に切り取れる。
一日一枚。色の名前と簡単な説明がある。毎日奇麗な色を眺めていると、心安らぐ。
元旦は「金碧珠(きんぺきしゅ)」。
「大海から朝日の昇る様子を表す。金色と青緑色の組み合わせ」という解説がある。
問題は、切り取ったカレンダーをどうするかだ。
今のところ入っていた箱に入れて保存しているが、どこかで薄い紙質のノートを見つけられないかなぁ。
貼り付けて、時折眺めていたいのだ。
画像は、「暦生活」さんのサイトからお借りしました。
「金碧球」です。
2024.01.04
三浦しをん【神去なあなあ日常】
著者:三浦しをん
価格:681円
カテゴリ:一般
取扱開始日:2012/09/01
出版社: 徳間書店
レーベル: 徳間文庫
利用対象:一般
ISBN:978-4-19-893604-4
平野勇気、18歳。高校を出たらフリーターで食っていこうと思っていた。でもなぜか三重県の林業の現場に放り込まれてしまいーー。携帯も通じない山奥!ダニやヒルの襲来!勇気は無事、一人前になれるのか……?
携帯は通じないのではなく、勇気をあずかった「よき」によって、電池パックを谷へ放り込まれてしまったのだ。
この「よき」の家で居候をしながら暮らしているのだが、村の人たちにもほぼ受け入れられている。
何より、職場である「中村林業」の主(社長?「おやかたさま」と呼ばれているが)や同僚(?)は、親切に勇気に林業の技術を教えてくれる。
「よき」は言葉遣いも態度も乱暴ではあるが、技術は確かだ。
春から夏・秋・そして厳しい冬へと、季節の移り変わりと共に、村のさまざまな行事にも慣れていく。
しかし中には仲間だと認めてくれない村人もいる。
そんな中でも、おやかたの妻の妹に恋したり、勇気も制限がありながらも青春を少しは楽しんでいる。
しかし、山の自然は厳しい。
2024.01.03
2024.01.02
12月の読書メーター
12月の読書メーター
読んだ本の数:17
読んだページ数:4204
ナイス数:1527
琴のそら音の感想
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2023/12/post-caddc0.html
今と違って、東京でも夜は真っ暗なところが多く、さぞかし心細いことだったでしょう。
読了日:12月31日 著者:夏目漱石
最後の晩ごはん 旧友と焼きおにぎり (角川文庫)の感想
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2023/12/post-c3bbfd.html
「ばんめし屋」の主人夏神は、過去の辛い経験と何とか向き合おうとしています。
そういう過去がテーマのお話しです。まだまだ続きがあるようです。
読了日:12月30日 著者:椹野 道流
MOE (モエ) 2024年1月号 [雑誌] (巻頭特集 ハイジの幸せな暮らし|第2特集 羽生善治×藤井聡太×ヒグチユウコ「絵本のはなし」|特別ふろく ヒグチユウコ オリジナルクリアファイル)の感想
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2023/12/post-24f861.html
特集2の「スペシャル鼎談 絵本のはなし」をお目当てに、予約購入しました。
羽生さんと藤井君のコラボが楽しかったです。
読了日:12月29日 著者:
若草の歌 (1963年)の感想
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2023/12/post-19d099.html
小さな理髪店を舞台に、親子・姉妹の幸せが語られます。1965年刊行の本書の時代では、こうした暮らしが東京のはずれでは見られたのでしょう。
読了日:12月28日 著者:
旅のつばくろ (新潮文庫 さ 7-58)の感想
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2023/12/post-b0c256.html
「旅のつばくろ」という言葉には、何だか哀愁があります。
子どもの頃聞いた「サーカス暮らし」の歌を思い出すからかもしれません。
著者初の「国内旅エッセイ」です。
読了日:12月26日 著者:沢木 耕太郎
新装版 青い壺 (文春文庫)の感想
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2023/12/post-ef829c.html
無名の陶芸家が作った、青い壺。
その壺の持ち主が転々と変わっていく物語で、宮部みゆきの【長い財布】(だったかなぁ?)を思い出しました。
読了日:12月24日 著者:有吉 佐和子
灰色の階段 ラストラインØ (文春文庫 と 24-22)の感想
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2023/12/post-c29f73.html
刑事になってから現在までの岩倉を描く、番外篇です。
読了日:12月21日 著者:堂場 瞬一
おとなのための中学校国語の教科書傑作集の感想
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2023/12/post-0e083e.html
多感な頃に、こうした文学に触れることは大切だと思います。でも、かなり難しい物語もありますね。
読了日:12月20日 著者:太宰治,宮沢賢治,梶井基次郎,森鴎外,魯迅,寺田寅彦,芥川龍之介,中島敦,小泉八雲
ほくほく広島ごはん 割烹ダイニング花桃の細腕繁盛記 (メディアワークス文庫)の感想
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2023/12/post-614096.html
思いがけず、いい本でした。でも、結局蓮の記憶は戻らず、ややモヤモヤが残ります。続編はないのかなぁ。
読了日:12月18日 著者:宮嶋 貴以
藤井聡太論 将棋の未来 (講談社+α新書)の感想
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2023/12/post-785669.html
最年少で「名人」を獲得した天才が、それを超えた最年少で「名人」を奪取した天才を描いています。
読了日:12月17日 著者:谷川 浩司
トラットリア代官山 (ハルキ文庫)の感想
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2023/12/post-629fbd.html
登場人物たちにあまり共感出来なかったところがあったのは、何故だろう?
著者の本は【グルメ警部の美食捜査】を3巻全部読んでいて、このシリーズは好きだったのに……。
読了日:12月14日 著者:斎藤千輪
夏花 (集英社文庫)の感想
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2023/12/post-cd1576.html
表題作【夏花】はじめ、いわば道ならぬ恋を描いたものが多く、あまり共感出来ませんでした。
でも、自然描写などはすばらしかったです。
読了日:12月12日 著者:井上靖
七色の毒 刑事犬養隼人 (角川文庫)の感想
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2023/12/post-02ed24.html
七つの色にちなんだ事件を集めてあります。どんでん返しが冴えています。
読了日:12月10日 著者:中山 七里
貴賓室の怪人 「飛鳥」編 「浅見光彦」シリーズ (角川文庫)の感想
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2023/12/post-982a1a.html
これまで読んできた「旅情ミステリー」とは、ひと味違っていて面白かったです。
「豪華客船飛鳥」という、言わば密室を舞台にしたミステリーでした。
読了日:12月08日 著者:内田 康夫
藤井聡太 天才はいかに生まれたか (NHK出版新書 532)の感想
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2023/12/post-68c027.html
2017年出版の本です。生まれたときのことから、幼少時のこと、家庭でのことなど、まだ少年だった彼の素顔がわかりました。
表紙絵も、まだあどけなさを残した時代のものです。
読了日:12月06日 著者:松本 博文
黄色い目の魚 (新潮文庫)の感想
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2023/12/post-85d801.html
少々不器用な高校生二人が、交互に語っていく連作集です。途中ハラハラドキドキがありながら、さわやかな読了感を得ました。
読了日:12月04日 著者:佐藤 多佳子
冬の月 (集英社文庫)の感想
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2023/12/post-52c720.html
著者自身を投映していると思われる作品も多く、年代は違ってもなぜか懐かしく感じました。
読了日:12月02日 著者:井上靖
つるみ犬丸【おにぎり処のごちそう三角 家族を結ぶ思い出の食卓】
著者:つるみ犬丸
価格:737円
カテゴリ:一般
発売日:2020/11/25
出版社: KADOKAWA
レーベル: メディアワークス文庫
利用対象:一般
ISBN:978-4-04-913505-3
愛する妻に先立たれ、二人の思い出が詰まった店を畳んだ元料理人の秋宗。
傷心を癒やそうと料理から離れ、見知らぬ土地で一人暮らしを始めることに。
これはまた、美味しそうな表紙絵だこと。これだけで、読んでみたいと思えてくる。
こういうのを、ジャケ買いとか言うのかな?
おにぎりと言えば定番ばかりで、色んな具を試したことはない。
本書のように、おにぎりだけを売っている店があれば楽しいのに。
不器用でうまく店が切り盛りできず、わけあって引き取った男の子に気を遣われている主人公が微笑ましかった。
ここの店子で元料理人の秋宗とも、よい関係が築けて一層幸せ度が上がったことだろう。
2024.01.01
沢木耕太郎【飛び立つ季節―旅のつばくろ―】
どんな状況下でも沢木耕太郎は旅を続ける。
この国を、北へ南へ。自由に、そして軽やかに――。
いつだって旅はある。
そう、夢の場所がある限りは――。
【旅のつばくろ】が面白かったので、続編を購入。
24年最初の読書が本書というのは嬉しい。
やはり初めての一人旅「秋田県男鹿半島」への旅行が印象的だった。
もっともその時の話ではなく、執筆当時に再現した旅だが。
こういう風に、若い頃に旅した場所への再訪というのは面白い。
「こうだ」と思っていたのとは違う印象に出会うことも多い。
旅先での袖すり合った人たちの思い出も貴重だ。
何故か、旅で出会う人たちは善い人が多いというのも、共感出来る。
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【旅のつばくろ】(23.12.26)
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