O・ヘンリー【O・ヘンリー短編集1】
著者:O・ヘンリー
価格:440円
発行年月:197401
出版社: 旺文社
ISBN:978-4-01-062165-3
(旺文社文庫 588-1)
ニューヨークの市井に生きる人たちの喜怒哀楽を、あくまでも温かく、巧みに切り取ってみせた短編の名手の代表作11編。
この2分冊は、訳者の評判がいい。
同じ話でもタイトルが微妙に違うものもあり、中身を読み比べるのも面白い。
本書の【魔女たちのパン】は、【ミス・マーサのパン】だった。原題は「Witches’Loaves」だから、本書の方が近いが。お節介なパン屋の女主人の「悲劇」であることは間違いない。
【ある株式仲買人のロマンス】は、ニューヨークで忙しく立ち働いている仲買人の話。
忙しすぎて、自分が結婚したことさえ忘れてしまって、その女性に「思い切って」求婚する場面がおかしい。
また、ニューヨークではすでにこの頃、「その一分一秒までがみんな吊り革につかまり、前や後ろのデッキにまですし詰めになったあの満員電車みたいなもの」という表現があり、ラッシュ時のすさまじさは今と変わりないものと見える。
そう言えば、【Yの悲劇】も、満員電車が事件の発端だった。
他に
【ハーグレイヴズの本心】
【とりもどされた改心】これは【蘇った改心】だった
【運命の道】
【自動車が待っているあいだに】
【二十年後】
【振り子】
【家具つきの貸部屋】
【アイキー・シェーンスタアインの愛の妙薬】
【犠牲打】
こうした、いつまでも読み継がれる本を読んでいく方が、いっときだけのベストセラーよりも楽しめるのは確かだ。
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