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2024.03.26

小野寺史宣【まち】

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著者:小野寺史宣
価格:792円
カテゴリ:一般
発売日:2022/11/11
出版社: 祥伝社
レーベル: 祥伝社文庫
利用対象:一般
ISBN:978-4-396-34853-3

「東京に出ろ。人を守れる人間になれ――」
じいちゃんの言葉に背中を押され、単身上京した僕、江藤瞬一。

孤独な青年が強く優しく成長していく物語。

 

じいちゃんが東京へ出てきた時に言った

瞬一は、頼る側じゃなく、頼られる側でいろ。(略)お前を頼った人は、お前を助けてもくれるから。たすけてはくれなくても、お前を貶めはしないから

という言葉がしみる。

じいちゃんが東京へ来た二日目。荒川の河川敷で言った言葉だ。
そしてラーメン屋でランチをして、たまに行く喫茶店でコーヒーを飲む。おばあさんがひとりで開けている小さな喫茶店。
そのあとコンビニによって晩ご飯の弁当とおかずを買って帰る。
じいちゃんと一緒に近所に挨拶に行き、ふたりで夕食にする。

この夕食の場面を読んでいて、泣きそうになった。
たった二人残されたものたちの、ささやかな宴。

そして物語は、一段階進む。

東京でたったひとりになった瞬一だが、気がつけば周りには色々な人がいた。

虫退治で親しくなった隣家の母子。
もとアルバイト仲間の望
やさしい大家さん夫婦。

いつまでもアルバイトで暮らしていくのかとやや心配していたが、瞬一はいつの間にか目標を持っていた。
それは一番辛い、だが同じような気持ちになる人を少しでも救いたいという、きっと心の中でずっと抱いていた気持ちだったのかもしれない。

ハードルは高そうだが、希望が持てる終わり方だった。

 

表紙カバーも【ひと】と同じ人の手になるのか?感じのいい青年が描かれている。

 

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【ひと】(24.01.22)

 

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