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2024.05.10

内館牧子【老害の人】

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著者:内館牧子
価格:1,760円
カテゴリ:一般
発売日:2022/10/17
出版社: 講談社
利用対象:一般
ISBN:978-4-06-529924-1

「最近の若い人は……」というぼやきが今や「これだから『老害』は」となってしまった時代。
内館節でさらなる深部に切り込む!

 

波田美知子さんのブログで知った本。ドラマ化されて、波田さんも出演なさるんだとか。

表紙からして、頑固そうな老人が大きく描かれている。着ているピンクのTシャツの胸元には「若鮎クラブ」と描かれている。

タイトル通り「老害の人たち」の物語は、主人公の娘明代の視点から語られる。

明代の実父福太郎は、ゲームメーカーの社長の座を娘婿の純一に譲って、しばらくは老妻と旅行などを楽しんでいた。
ところが妻が死んだ頃から、週二回会社に「出勤」するようになり、昔の自慢話を繰り広げる。

近所の老人たちも、それぞれの家庭で老害を振りまいている。

この辺の描写は著者の視点もあって、面白いが少々クドい感もある。

ある日我慢できなくなった明代は、父の老害ぶりを手厳しく指摘するのだが……。実の娘とは言え、言い過ぎたかと反省して落ち込む明代。
一方福太郎は、近所の老害老人たちを集めて、新しい策に出た。

その策は功を奏して、病気自慢・元「エラい人」自慢・押しつけ趣味夫婦たちも、次第に新しい展開に生き生きしてくるのだが……。

老害の話だけでなく、無農薬ファームの話や消防団など、興味深い話も多かった。
舞台になった川越市近辺での取材が生きている。

その消防団に入ったり農業をしたいという福太郎の孫、明代夫婦の息子 純が、文字通り純粋でいい若者だ。
彼に随分救われる。

 

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