« 【鬼の筆】 | トップページ | 黒いトンボ »

2024.08.12

石持浅海【罪人よやすらかに】

Photo_20240810141701

石持浅海/〔著〕
角川文庫 い84-2
出版社名 KADOKAWA
出版年月 2018年5月
ISBNコード 978-4-04-106894-6
(4-04-106894-0)
税込価格 616円

札幌の中島公園近くにある、「中島」邸というかなりの豪邸を舞台に、なぜか引き寄せられた人たちの持つ「業」をテーマにした連作短編集。

 

この邸には、主の中島氏とその妻、娘の碧子、長良という青年に、執事らしい初老の男性と若いメイドが住んでいる。
その長良が、訪れた人たちの秘密を暴いていく。

表紙絵の5人が住人たちで、後ろ姿が長良だろう。ものすごい美形らしい。

冒頭作【友人と、その恋人】では、中島家に残された二人はその後どうなったのかな?

【はじめての一人旅】での小学生は、さぞや心細い思いをしたことだろう。最後の一行で、「罪人」の行く末がわかるのだが。

【徘徊と彷徨】の後味は悪かった。

【懐かしい友だち】記憶の奥底に眠っていたものを表に出すのは、実は罪なことではなかろうか。
主人公が恋人と一緒に札幌を去るのは、正しい選択だと言える。

【落とし物】他家のポストにパスケースを入れて、一種のアリバイ作り的なことをするだろうか?

【待ち人来たらず】ここではかなり衝撃的な事実が、朧気ではあるが判明する。

【今度こそ、さよなら】まで行っても、長良のことは結局解らなかった。

それにしても、小さな子どもが「つみびと」なのは辛い。

 

いずれも、長良の見事な推理が冴えているようでいて無理があり、読後感はスッキリとはいかなかった。

 

|

« 【鬼の筆】 | トップページ | 黒いトンボ »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 【鬼の筆】 | トップページ | 黒いトンボ »