石持浅海【罪人よやすらかに】
石持浅海/〔著〕
角川文庫 い84-2
出版社名 KADOKAWA
出版年月 2018年5月
ISBNコード 978-4-04-106894-6
(4-04-106894-0)
税込価格 616円
札幌の中島公園近くにある、「中島」邸というかなりの豪邸を舞台に、なぜか引き寄せられた人たちの持つ「業」をテーマにした連作短編集。
この邸には、主の中島氏とその妻、娘の碧子、長良という青年に、執事らしい初老の男性と若いメイドが住んでいる。
その長良が、訪れた人たちの秘密を暴いていく。
表紙絵の5人が住人たちで、後ろ姿が長良だろう。ものすごい美形らしい。
冒頭作【友人と、その恋人】では、中島家に残された二人はその後どうなったのかな?
【はじめての一人旅】での小学生は、さぞや心細い思いをしたことだろう。最後の一行で、「罪人」の行く末がわかるのだが。
【徘徊と彷徨】の後味は悪かった。
【懐かしい友だち】記憶の奥底に眠っていたものを表に出すのは、実は罪なことではなかろうか。
主人公が恋人と一緒に札幌を去るのは、正しい選択だと言える。
【落とし物】他家のポストにパスケースを入れて、一種のアリバイ作り的なことをするだろうか?
【待ち人来たらず】ここではかなり衝撃的な事実が、朧気ではあるが判明する。
【今度こそ、さよなら】まで行っても、長良のことは結局解らなかった。
それにしても、小さな子どもが「つみびと」なのは辛い。
いずれも、長良の見事な推理が冴えているようでいて無理があり、読後感はスッキリとはいかなかった。
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