太田忠司【僕の殺人】
徳間文庫
太田忠司/著
出版社名 徳間書店
出版年月 2017年3月
ISBNコード 978-4-19-894210-6
(4-19-894210-2)
税込価格 726円
五歳のとき別荘で事件があった。胡蝶グループ役員の父親が階段から転落し意識不明。作家の母親は自室で縊死(いし)していた。夫婦喧嘩の末、母が父を階下に突き落とし自死した、それが警察の見解だった。
著者のデビュー作だという。
【名古屋駅西 喫茶ユトリロ】シリーズから一転(というか、こちらが先だが)、タイトルからして怖い本だ。
僕こと祐司の自分探しの旅かもしれない。
両親をいっぺんに失い、自らも記憶障害を抱えている祐司。
叔父の家に同居し、従姉妹の泉は同学年だ。
そこにフリーライターを名乗る人物が現れることによって、祐司の暮らしは翻弄される。
随分ひどいいきさつがあったのだが、結局「僕」は自分探しを完成出来なかった。
僕はこの事件の犠牲者であり、加害者であり、探偵であり、証人であり、最後は謎解きのトリックでさえあった。
結局、「僕は誰なのか」という問いに答は与えられたものの、僕の中では決してスッキリしたとは言えないだろう。
だが、泉が全くの他人であってよかったなと思う。
叔母の脳天気な無節操ぶりには、登場のたびにいらついた。
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