私設「今年のベストスリー」
「今年読んだ本のベストスリーは何ですか?」と、お仲間に尋ねてみた。
北村薫の【自分だけの一冊―北村薫のアンソロジー教室―】にヒントを得ての着想だったが、定例会で尋ね、それを書いて貰った。
書いた回答が無かった人もいるので、全員分は集まらなかったが、なかなか面白かった。
■Aさん
【天上の葦】 太田 愛著 角川文庫
テキストデイジーの修正作業をしながら読みましたが、話の展開が予想できず、引き込まれました。
主要な登場人物はもちろん、脇役ひとりひとりまで、いきいきと描かれていています。
【エンド・オブ・ライフ】 佐々涼子著 集英社文庫
ノンフィクションで、題名が気になったので読みました。
在宅医療を受ける人とその家族、看取りまで支える診療所の医療従事者・同行して取材する著者。
いろいろ考えさせられましたが、読後感は爽やかな本でした。
【生きるぼくら】 原田マハ著 徳間文庫
学生時代にいじめを受けてひきこもりになっていた主人公が、あるきっかけで農業に携わり、再生していく物語。
現実はこんなにうまくは行かないだろうと思いつつも、米作りの描写や認知症の祖母や周囲の人達との交流が面白く楽しく読めました。
以上です。
■Bさん
特に印象的だったのを1作。
【経済学の船出】安富 歩 (一月万冊)
経済に無知なので理解しやすいものをと思って、本に解説動画(10時間)付きというのを買って体験してみました。
文章では理解しにくいことをインターネット画面で話を聞くことによって少しはわかったように思います。
本を書く方は印税だけでは厳しいという事情もあるようですが、読む側も苦手なものに挑戦できるやり方だと思いました。
■Cさん
【方舟】 夕木春夫
【逆転美人】 藤崎翔
【地雷グリコ】 青崎有吾
■Dさん
【きのうのオレンジ】 藤岡陽子著
登山好きの父親、双子として育った兄弟、彼らを見守る母親の家族と回りの人々との心あたたまる生活、悲しく辛いこともあるが、爽やかな人間関係に、清々しさを感じました。
【飛族】 村田喜代子著
五島列島の小島に住む人の葬儀に、定期船で僧侶や近隣の島から人が集まるところから、物語が始まります。残ったふたりの老婆の暮らしは、空、海、魚、鳥との生活。国境を守っている人の生活、老婆たちの死に対する考え方に、とても過酷な生活なのに、ほっこりしたり、微笑んだりしてしまいました。
【あふれでたのはやさしさだった」 寮 美代子著
奈良少年刑務所に、入所している彼らに詩を書くことを教えて行きます。深刻な生活環境で育ち、「宿題って何?」と質問されます。自分の言葉を生み、それを認めてくれる人がいる。その繰り返しで、どんな人も変わっていくことができ、希望を感じることが出来ます。
■Eさん
【まいまいつぶろ】 村木嵐 著
図書館で100番台の予約待ちをしていたところ、テキストDaisyの校正を拝命し、小躍りしながら作業に臨みました。
虚弱体質で言語障害のある第九代将軍・徳川家重と彼の言葉を唯一理解した側近・大岡忠光、二人の絆を描いた作品。
作業中は処理に追われてなかなか感情移入できませんが、江戸城を去る忠光を大手門で見送る家重の言葉に心射抜かれ、
しばらく作業の手が止まってしまいました。
【護られなかった者たちへ】 中山七里 著
過去の経験から二度と読まないと誓った著者の作品が校正の担当になってしまいました。
生活保護の受給を扱ったものでかなり悲惨な内容の作品でしたが、作業しながら読んでいたため深手は負いませんでした。
「どんでん返しの帝王」と呼ばれる著者の術中にはまったので、これを機に他の作品も読んでみようかなという気持ちになっています。
【学力は「ごめんなさい」にあらわれる】 岸圭介 著
ことばの大切さを、聞く・話す・書く・読む・解くの5つの面から具体的な事例を挙げて説明する「ちくまプリマー新書」の本です。
思い当たることが多々あって、若い頃に出会いたかったと思いながら読みました。
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【まいまいつぶろ】()
【護られなかった者たちへ】()
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