夏川草介【命の砦】
小学館文庫 な13-9
夏川草介/著
出版社名 小学館
出版年月 2024年11月
ISBNコード 978-4-09-407403-1
(4-09-407403-1)
税込価格 891円
病む人がいるなら、我々は断るべきではない。
コロナ禍の最前線に立つ現役医師(作家)が
自らの経験をもとに綴った、勇気と希望の物語。
ちょうど5年前の今頃から始まったパンデミック騒動を思い出す。
2020年は、まさに色々な意味で試練の年だった。
【スピノザの診察室】が京都の町医者を描いた作品だとすると、本書は脅威と戦った医師たちの群像劇だ。
消化器内科の敷島を一応中央に据えているが、大きな決断をした病院長を始め、いずれも自身や家庭を見つめながらも、未曾有の困難に立ち向かっていく。
当初中年の3人だけだった診療チームに、リスクが大きいといわれる60代の医師が加わる。
「疲れ切った肝臓医より、元気な内科医が入った方がいい」と。
また、家族の反対に遭って尻込みしていた若い医師も加わってくる。
このあたり、涙が出てくる。
敷島は折に触れ、長女が言った「お医者さんなのだから、病気の人を直すのが仕事でしょ」という言葉をかみしめる。
しかし彼らは「医師のつとめ」だから診療を続けるのではない。
「人間だから」なのだ。
| 固定リンク
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 吉田恵里香【恋せぬふたり】(2025.03.28)
- 仁木悦子【聖い夜の中で】(2025.03.27)
- 【本の雑誌 3月号】(2025.03.25)
- 江口恵子【普段使いの器は5つでじゅうぶん。】(2025.03.21)
- 堂場瞬一【英雄の悲鳴 ラストライン7】(2025.03.19)
コメント