朱川湊人【花まんま】
文春文庫 し43-2
朱川湊人/著
出版社名 文藝春秋
出版年月 2008年4月
ISBNコード 978-4-16-771202-0
(4-16-771202-4)
税込価格 836円
ちょっと怖くて不思議なことや、様々な喜びやほろ苦さを含む物語に、深い感動と懐かしさがせまる傑作短篇集。
不思議な、というよりは気味の悪い話もあり、それは好きにはなれなかったが。
大阪市の「ミナミ」と南海沿線の話が多い。
表題作【花まんま】は、兄の妹を思う気持ちが浸みた。
話し手の「俺」は、妹のフミ子を「父から託された」と思っている。
フミ子が生まれたときの父は、親バカ丸出しで喜んでいたのだ。その父は、事故であっけなく亡くなってしまった。
フミ子は大きくなるに連れ、不思議なことを口走るようになる。
自分はある人の生まれ変わりで、その場所である彦根へ行きた自分は自分はそこに住んでいた娘の生まれ変わりだと。
そして事件に巻き込まれて死んだのだとも。
「俺」は、母親にウソをついてまで、フミ子を彦根へ連れて行く。
そこには、転生前のフミ子の同級生や、父親もいた。
フミ子の事故で神経の壊れた父は、やせさらばえていた。
そんな父親に対してフミ子がしたことは……。
それがタイトルの所以なのだが、この話が映画になったようだ。鈴木亮平と有村架純が主役。
本作の最後に少しだけ出てくる、大人になった二人が登場するようだ。
「花まんま」か、女の子なら作った経験を持つ人も多いだろう。
他に冒頭作【トカビの夜】と、最後の【凍蝶】がよかった。
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