阿部暁子【カフネ】
阿部暁子/著
出版社名 講談社
出版年月 2024年5月
ISBNコード 978-4-06-535026-3
(4-06-535026-3)
税込価格 1,870円
一緒に生きよう。あなたがいると、きっとおいしい。
やさしくも、せつない。この物語は、心にそっと寄り添ってくれる。
25年本屋大賞受賞作
野宮薫子は努力家だ。何事もとことん努力して克服し、キャリアも築いてきた。
そんな彼女は時に「息苦しい」と言われることもあり、事実そうだなと思わされる。
その弟春彦が急死した。
春彦が残した遺言書を彼の元恋人小野寺せつなに渡そうとするも、彼女は拒否する。
理想的な夫公隆に離婚を迫られて以来、薫子は自堕落な生活を送っている。
そんな薫子とせつなの交流。
せつなが働いているのは、「カフネ」という家事代行サービスの会社。
そこの社長も、なにやら曰くありげだ。
せつなは薫子に、カフネでの土曜日のボランティア活動の手伝いを頼む。
一緒に働くうち、薫子はせつなの料理人としての腕に驚嘆する。
ほのぼの系の話かと思えるがそうではなく、何だかミステリを読んでいるような気になる。
春彦とせつなは、何故別れたのか?
もしかしたら、薫子と公隆はよりを戻せるのではないか。
など考えながら読んでいくのだが、思いもかけない展開になった。
春彦の、想像すらできないようなこと、なども。
後から思い出せば、心当たりは幾つもある(つまり伏線が貼ってあったということ)。
本書に出てくる、薫子と春彦の両親は最低だが、それが「フツー」の家族感なのだろう。
著者の本では【どこよりも遠い場所にいる君へ】が好きだったが、その傾向をやや引きずっているかもしれない。
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