仙川環【カナリア外来へようこそ】
医療ミステリの注目作家が贈る、心温まる新感覚医療小説!
これまた、表紙絵が内容を貶めている。
カナリアが炭鉱に入る際に最初の入坑者(?)になる話は、よく聞いた。
あの忘れられない事件でも、カナリアの籠が掲げられていたのではなかったか。
タイトルの【カナリア外来へようこそ】は、そこから来ているらしい。
章ごとに症状の違う、アレルギーを持つ人たちを描いている。
しかし順に読み続けるのは、辛いものがあった。
【1章】では、勤め先で晒されるさまざまな人工的な匂いに悩まされている女性の話。
思い切って訴えてみても、「香は好み」で一蹴されるありさま。
思いあまって訪ねたクリニックが、「化学物質過敏症」を扱ってくれるところだった。
そこで聞いた話を元に、直接の上司に話をする。
この上司が意外と物わかりがいい人でよかった。その上の部長も、それこそ「話せば解る」人だった。
【2章】は、夫の早期退職の時期に合わせて体に不調の出た主婦の話。
勝手に「夫源病」と自己診断し、実家へ逃げている。
件の医師のアドバイスでいい方向へ向いていったが。
この夫は、何とも正直ないい人だ。
こういう人とわかり合えてこそ、本当の幸せが来るのだろう。
低周波による不調については、自身経験がある。
8年前に入院していたところの上階が屋上で、ボイラーの音で調子をくずしたのだった。しかも個室で髙い部屋代を払っていたのに。
それこそなかなか解ってもらえなかった。
【3章】は、女医の夫が当事者の話。
味覚障害の料理人という、なんとも不幸な巡り合わせに遭ってしまった男性の話。
女医の専門ではないが、幅を拡げてその領域も勉強していきたいという妻に救われる。
【4章】は、一番受け入れがたい話だったな。
孫の育て方に口出しをする、一番イヤなタイプの母親とその娘。
夫と協力して子育てをするという姿勢がみられない。
その割を喰うのは、大事なひとり娘なのに。
【5章】では、クレーマーに悩む住宅会社の営業職の責任者。
猫も一役ならぬ騒ぎの一端を担っていたのが、何とも皮肉だったが……。
いい本だった。
著者の本は初めてだったが、もっと読んでみよう。
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