黒井千次【黄金の樹】
P+D BOOKS
黒井千次/著
出版社名 小学館
出版年月 2018年9月
ISBNコード 978-4-09-352347-9
(4-09-352347-9)
税込価格 605円
恋と政治に揺れる東大生を活写した青春小説
冒頭、いきなり「ピース」を買う大学生の明史が登場。
棗から別れを告げられた傷心の高校3年生時のことは、すぐには出てこない。
明史は、週に一度の家庭教師のアルバイトに行くときだけ、ピースを買っている。という微笑ましい話だ。
彼はバイト先の小学生の母親、麻子に憧れ、焦がれるようになる。
一方で高校時代からの文芸誌の集まりも続いており、明史は棗を主人公にした小説を書いたりしている。
他方この年には「血のメーデー」もあり、東大生たちも巻き込まれていく。
父親が検事である明史は、当然親からも自粛を要望されていて、自らも深入りするつもりはない。
その姿勢に自分でも自虐的な思いも持っているのだった。
父の転勤先の長野では、隣家の少女からも好意を寄せられたりしている。
そんなとき、突然棗から便りが来た。
再び出会った時、やはり自分には彼女しかいないと自覚する明史だったが……。
棗が両親や婚約者相手にゆっくりと説得していたことは、後に明かされる。
棗の姿勢に、非常に好感が持てる。
親が決めた縁談を断るべく、かなり奮闘したのだろう。その為には自身潔白でなければと、明史に対しても決然たる姿勢を貫いたと思える。
その姿勢が認められた時(親や相手があきらめた時)、明史に連絡を取って逢っている。
一方明史は、アルバイト先の母親に惹かれ、実家の隣に済む女性にも、優柔不断な態度を取っている。
だが、前作とは違う「ハッピーエンド」に、こちらもホッとするのだった。
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