志水辰夫【いまひとたびの】
新潮文庫 し-35-2
志水辰夫/著
出版社名 新潮社
出版年月 2020年3月
ISBNコード 978-4-10-134527-7
(4-10-134527-9)
税込価格 737円
いつかは必ず訪れる死。語り継がれる傑作集に書下ろし作品を加えて復刊。
著者の名前をどこで知ったのかもはや記憶の彼方だが、ふと興味を覚えて読んでみた。
知る人ぞ知る高名な方だったようだ。
本書は10篇からなる短編集。
いずれも短いものだが、共通項がある。
それは、いずれの作品も、「死」を扱っているということ。
身近な人が亡くなった、自分自身死を待つ身である、といった、やや暗い設定が多いのだが、不思議と絶望感はない。
それからもう一つ、書き手が一人称で、いずれも中年以降の男性だということ。
これも、かなり異色の短編集だと思う。
解説氏は、どの話にも花や昆虫が出てくるとおっしゃっていたが。
そう、読んでいて情景が浮かんでくるのだ。
お盆に姉が帰ってくる(と信じている)少年との交流を描いた冒頭作【赤いバス】が好きだ。
【七年のち】の、元職場の同僚達が集い、七回忌と忘れ形見の大学卒業を祝う集まりも、情緒がある。
【夏の終わりに】の舞台である、主人公が一旦戻っていう故郷の描き方に懐かしさを感じる。
【嘘】は、少々鬱陶しかった。嘘をついてまで、かばう必要があるのか?
しかし、これだけ並ぶと、やはりかなり気が滅入ってくるのも確かだった。
他の作品も、読んでみよう。
収録作は他に
トンネルの向こうで
忘れ水の記
海の沈黙
ゆうあかり
いまひとたびの
今日の別れ【新収録】
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