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2025.08.10

志水辰夫【いまひとたびの】

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新潮文庫 し-35-2
志水辰夫/著 
出版社名 新潮社
出版年月 2020年3月
ISBNコード 978-4-10-134527-7
(4-10-134527-9)
税込価格 737円

いつかは必ず訪れる死。語り継がれる傑作集に書下ろし作品を加えて復刊。

 

著者の名前をどこで知ったのかもはや記憶の彼方だが、ふと興味を覚えて読んでみた。
知る人ぞ知る高名な方だったようだ。

本書は10篇からなる短編集。
いずれも短いものだが、共通項がある。

それは、いずれの作品も、「死」を扱っているということ。
身近な人が亡くなった、自分自身死を待つ身である、といった、やや暗い設定が多いのだが、不思議と絶望感はない。

それからもう一つ、書き手が一人称で、いずれも中年以降の男性だということ。
これも、かなり異色の短編集だと思う。

解説氏は、どの話にも花や昆虫が出てくるとおっしゃっていたが。
そう、読んでいて情景が浮かんでくるのだ。

お盆に姉が帰ってくる(と信じている)少年との交流を描いた冒頭作【赤いバス】が好きだ。

【七年のち】の、元職場の同僚達が集い、七回忌と忘れ形見の大学卒業を祝う集まりも、情緒がある。

【夏の終わりに】の舞台である、主人公が一旦戻っていう故郷の描き方に懐かしさを感じる。

【嘘】は、少々鬱陶しかった。嘘をついてまで、かばう必要があるのか?

しかし、これだけ並ぶと、やはりかなり気が滅入ってくるのも確かだった。

他の作品も、読んでみよう。

 

収録作は他に

トンネルの向こうで
忘れ水の記
海の沈黙
ゆうあかり
いまひとたびの
今日の別れ【新収録】

 

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