夏川草介【エピクロスの処方箋】
夏川草介/著
出版社名 水鈴社
出版年月 2025年10月
ISBNコード 978-4-910576-05-3
(4-910576-05-3)
税込価格 1,980円
「君はここまで来るために、何人の患者を死なせてきた?」
思想する医師・雄町哲郎は今日も京都の街をゆく。
【スピノザの診察室】の続編。紹介文に「雄町哲郎シリーズ」とあったので、シリーズ化されていってほしい。
今回は訪問診察の事例が二つと、先輩である大学病院准教授からの「かなり厄介な症例」について。
訪問診察の対象の一つは、京都市街で夫婦で食堂を経営してきた、その妻の最期を看取る。
妻の看病をしながらも、夫は時間限定で店を続けている。
そんな夫が、妻が亡くなった時に言った言葉。
「これまで来た医者は、みんな黙って診察していった。だが哲郎は、いつも患者(妻)に声かけしていてくれた。
無愛想な彼の、心からの謝辞である。
もう一人は、広い屋敷で伏せっている華道教授。
キリッとしたその姿勢が好もしい。
彼女は亡くなる二日前に、息子に命じてある甘味を購入していた。賞味期限が三日間という「鎌餅」である。
無類の甘党である哲郎への、お礼であった。
厄介な事例というのは、かつて哲郎が医局を去るとき、激怒させた教授の父親の手術のこと。
これまで三度失敗していた手術だが、准教授花垣は哲郎に助けを求めてきていた。
大学病院内部でも様々な声が漏れ聞こえて来ている中、哲郎は患者を診察してから、手術決行を決める。
これらの合間に、研修医南との触れ合いがあったり、甥の龍太郎が中学のクラブでフルートを始めたりと、哲郎個人の動きもある。
最後は、ちょっとあっけなかったかもしれない。
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