2022.05.21

松本清張【偏狂者の系譜】

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著者:松本清張
価格:704円
カテゴリ:一般
発売日:2007/03/24
出版社: 角川書店
レーベル: 角川文庫
利用対象:一般
ISBN:978-4-04-122761-9

昭和30年代短編集(3)。学問に打ち込み業績をあげながら、社会的評価を得られない研究者たちの情熱と怨念。

※本書は、昭和30~40年代作品群から、研究者たちの孤独をテーマに4作品を選び、新たなタイトルを付けたオリジナル文庫が底本です。

「笛壺」と「皿倉学説」は、よく似たような話だ。

どちらも一世を風靡した研究で名声を誇っていたが、女に溺れて破滅していった男を描く。
最初は、女から誘ってきた。どちらも醜女に近いが、当時はそれも魅力だった。
今はその女からもさげすまれ、一人孤独を託つ。

「皿倉学説」については、他の短編集にも収録されているようだ。

だが、この一篇に関しては、採銅の話というより、この論文を書いた皿倉の研究と、それを元にした採銅の「想像」とからなっている。
採銅は、その中に出てくる、皿倉の実験という言葉に引っかかった。
それは、皿倉の実験が猿を50匹使ったというものだった。

彼が講演中に、「サルの体重は?」という質問があり、それへの応えは「60キロ」だった。
60キロの猿?ということは……。これは実に恐ろしい想像になる。

採銅の引っかかりを、彼の元弟子を始め学会のものたちはいささかも気づいていない。
すべては彼の想像ではあるが、しかし戦争末期に実際に行われたものであったとすれば。採銅は断定してはいないが、想像の世界で実験をしてみる。結果、皿倉の結論が導き出されると思うのだった。

 

次の「粗い網版」は、特高警察官が密命を受けて、勢力を伸ばしつつある新興宗教団体を調べる話。

5・15事件と2・26事件とを示唆しながら、官慶が対象団体を追い詰めていくいわば手法が語られていく。
こちらも、ことが大きいだけに先の話よりもっと恐ろしい。

最後の「陸行き水行き」はどこかで読んだことがある。

 

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2022.05.18

朱野帰子【対岸の家事】

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著者:朱野帰子
価格:924円
カテゴリ:一般
発売日:2021/06/15
出版社: 講談社
レーベル: 講談社文庫
利用対象:一般
ISBN:978-4-06-523712-0


 終わりのない「仕事」と戦う人たちをめぐる、優しさと元気にあふれた傑作長編!

紫陽花の花が、しょっちゅう登場する。季節はいつも同じ時期ではないのに。

著者文庫版解説に、紫陽花のことが書いてあって、表紙絵をみると背景に紫陽花が咲いていた。
Kindleは白黒だから、あまりピント来ていなかった。

やはり霞が関官僚の中野は好きになれない。
こんなお役人ばかりだから、「少子化対策省(庁?)が出来たというだけでは、本書にあるような問題は解決しないのだ。

 

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2022.05.17

柳澤智子【住まいと暮らしのサイズダウン】

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著者:柳澤智子
価格:1,078円
カテゴリ:一般
発売日:2021/10/21
出版社: マイナビ出版
利用対象:一般
ISBN:978-4-8399-7768-9

サイズダウンして暮らすってどういうこと?
いろんな「小さい暮らし方」を謳歌する、10の家族を訪ねました。

 

unlimittedなので読んでみた。

この手の本のいつもの手法で幾つかの例を挙げただけのもので、正直余り参考にならなかった。

最後の例の「トレーラーハウス」での暮らしは、おもしろかった。
移動するのではなく、敷地内に固定している。

こういう住まいはいいなぁとかねてから思っていた(但し自分には絶対出来ない)ことだったので、楽しそうだと感じたのだろう。

 

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2022.05.16

【純喫茶とパンの本】

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編集:ムック
価格:1,329円
カテゴリ:一般
発売日:2019/06/24
出版社: 枻出版社
レーベル: エイムック
利用対象:一般
ISBN:978-4-7779-5556-5

現在、高級食パンブームが到来していますが、日本の食パンの歴史は喫茶店文化を抜きにしては語れません。

 

こういう本はKindleでは無理なので、iPadで読む。いや、眺める。

喫茶店とパン屋のコラボ。
どのお店も、いいパン屋さんに恵まれて、その店独自のトーストやサンドイッチを提供している。

おいしそう、行ってみたい。
でもそれが出来ないから、眺めているだけ。いわば「エア喫茶店」かな。

最後に「都築響一さんと考える素敵な喫茶店ってなんだろう?」で出てきた「ルノワール」には何度か行った。
在京の友人と仕事の打合せ(という名のおしゃべり会)で、高田馬場店はじめ何軒かに連れて行っていただいた。

なつかしいなぁ。

本書に戻って、それぞれの喫茶店をじっくり眺める。
その空間を想像し、つかの間の楽しみにする。

 

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2022.05.15

【清張鉄道1万3500キロ】読書中

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【清張鉄道1万3500キロ】というのを見つけた。

紹介文には、

松本清張の小説を「乗り鉄」目線で徹底研究。作中の誰が最初にどの路線に乗ったのか、という「初乗り」から昭和の日本が見えてくる。

とある。

一番最初の【西郷札】から始まって、全部で何路線あるのだろう。

読み進めるのが楽しみである。

 

しかし表紙カバー絵にもある通り、清張はいつもタバコを吸っていたなぁ。

 

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2022.05.14

古典部シリーズ

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米澤穂信の作品に、古典部シリーズというのがある。

最初に手を取ったのは【遠回りする雛】で、これですっかり虜になった。

そのあと次々とシリーズを読み進め、この部の4人が大好きになった。

なかでも名家の生まれで少し天然な千反田えるが、かわいい。頭もいいのだが、どこか抜けている。
しかし事件のきっかけをつかむのは、ほぼ彼女だ。

『わたし、気になります』というセリフから、あとの3人もそれに引き込まれていく。

最初に戻って【遠回りする雛】だが、名家の令嬢千反田えるが生きている雛になり、その従者のひとりが奉太郎だった。
その「雛の道中」は、まるで絵に描いたよう。

全部読み終わったときは、何だか虚脱感があった。

著者も力を入れてらしたようで、【米澤穂信と古典部】という本でこれを7巻目としてシリーズの締めくくりにしておられる。

シリーズ全7巻は、以下の通り。

1.【氷菓】
2.【愚者のエンドロール】
3.【真実の一〇メートル手前】
4.【遠回りする雛】
5.【ふたりの距離の概算】
6.【いまさら翼と言われても】
7.【米澤穂信と古典部】

 

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2022.05.12

横尾忠則【本を読むのが苦手な僕はこんなふうに本を読んできた】

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著者:横尾忠則
価格:924円
カテゴリ:一般
発売日:2017/07/19
出版社: 光文社
レーベル: 光文社新書
利用対象:一般
ISBN:978-4-334-03997-4

横尾忠則さん、人生で初めての書評集:
「この本の中に、僕の考えてきたことがすべて入っています」
(横尾さんコメント)

 

表紙は、例によってちょっとサイケなご自身の絵。

1ページめくると、見開き(多分)両ページに渡って積み上げた本がある。

「本を読むのが苦手」とおっしゃるが、どうしてなかなかスゴイ本を読んでいらっしゃる。

ジャンルごとに分かれていて、「死・生・今」には石内都の「フリーダ 愛と痛み」やヘッセの【シッダールタの旅】などが。

続いて「からだ」と「こころ」で【「病は気から」を科学する】といった本が選ばれている。

そして「トップスター」というジャンルでは、【レディー・ガガ メッセージ】や【高倉健インタヴューズ】といったちょっと柔らかめのもの。

「わがまま・あるがまま」という括りでヘッセの【わがままこそ最高の美徳】や【原節子 あるがままに生きて】といったちょっとのぞき見的な本もある。

「遊び・自由・ユーモア」では文字通り「梅棹忠夫、語る】という自身の著や【老々と哲学】の梅棹忠夫を持って来て遊ぶ。

「天才・狂気」には【失われた天才】を持って来て、まったく違うが紙一重であるスゴイ人を語る。

といった風に、さまざまなジャンルの本を、それこそさまざまな角度から自由に語っておられる。

そういえば、朝日新聞で書評委員を務めていらっしゃるのだった。いつも「読んでみたい」と思わされるような書評が載っている。でも、難しそうとも。
いや、朝日の書評そのものだった。

残念ながら知っている本は少なく、自分の理解からはほど遠そうだ。

著者が大好きな猫についての本は、興味深いものが多かった。
猫好きの保坂和志など、クスリとしてしまう。

いずれも短文での紹介で、高橋たか子さんの【過ぎ行く人たち】はぜひ読んでみたいと思った。

「昭和の記憶」にある【「講談社の絵本」】と【昭和の流行歌物語】も、読みたい本リストに加えた。

 

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2022.05.10

鮎川哲也【朱の絶筆】

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著者:鮎川哲也
価格:880円
カテゴリ:一般
販売開始日:2013/12/13
出版社: 光文社
レーベル: 光文社文庫
ISBN:978-4-334-74202-7

人気作家・篠崎豪輔が殺された。だが、警察は容疑者すら絞れない。混迷のなか、さらに殺人は続き……。そこへ名探偵・星影龍三!

 

~星影龍三シリーズ~というのだが、

目次を見ていたら「犯人当て推理小説 朱の絶筆」とあり、ついで「問題編」「解決編」とあったので、そちらから読んでみた。

売れっ子作家篠崎剛輔が軽井沢に建てた屋敷が舞台。
そこへ色んな関係者が泊まりに来ている。

剛輔は傲慢な性格で、泊まり客全員が過去に因縁というか、遺恨を持っている。

そして起きる殺人事件。

実際に「問題編」に対して読者(何の読者?)から答が寄せられ、それについての解説もある。
「回答編」で「名探偵星影龍三」が登場するが、どうもこれまで知っている(?)探偵たちに比べれば影が薄いような。とは当方の知識が単にないだけかもしれないが。

前半は、「犯人当て」に登場した人物たちと剛輔との関わり合い方を描いている。
実に傲慢で自分勝手な人間であったことが、よく判る。

 

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2022.05.08

【謎解きミステリー】

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著者:有栖川有栖・綾辻行人・道尾秀介
価格:1,760円
カテゴリ:小学生
発売日:2021/12/20
出版社: 汐文社
利用対象:小学生
ISBN:978-4-8113-2911-6

超一流の「本格ミステリー」を収めたアンソロジー。
大人気作家の作品から、ミステリー小説のエッセンスを楽しめるショートストーリーを厳選しました。

【収録作品】
有栖川有栖「赤い稲妻」
綾辻行人「意外な犯人」
道尾秀介「流れ星のつくり方」

【学園ミステリー】に引きつづき、「絶対名作! 十代のためのベスト・ショート・ミステリー」
前回の著者が恩田陸・米澤穂信・ 青崎有吾といった比較的新進気鋭だったのに比し、今回は大ベテランの登場。

有栖川有栖【赤い稲妻】は、氏の他の短編集で読んだ。火村・作家アリスシリーズの一つだ。

綾辻行人【意外な犯人】

作家綾辻行人のところへ、U君が1本のビデオテープを持って訪ねてきた。

このU君、他の作品で年に一回ほど訪れて、その度に綾辻に難問を突きつけ、あげく作家が頭の中に甲虫が居ると錯覚してします、というか、そういう被害妄想を作り上げさせている・

そのU君が持って来たビデオテープは、綾辻行人が作ったもので本人も出演しているという。

身に覚えがない綾辻だったが、一緒に見ることになる。

それは一種のミステリードラマで、U君は相変わらず「犯人は誰か?」と突きつけてくる。

これは途中に大きなヒントがあった。しかしU君の要求は、その先を行くものだった。

【流れ星のつくり方】

久しぶりの道尾作品。

先の【意外な犯人】と同じく、作中に著者道尾秀介が登場する。
道尾が以前世話になったらしい真備と凜の二人は、お礼の意味で誘ってくれた道尾と一緒に海辺の宿に滞在している。

ドリンクを求めて町へ出た凜は、自販機の近くにあるベンチで星を見上げている。
そこへ、後ろ側の家から声を掛けてきた少年。

少年と色々話す内に、彼の体験談を聞く。
少年の両親は亡くなっており、自身も入院していたが、今は祖父母宅で暮らしている。

その体験談というのは、少年の友だちがあった奇禍だった。
少年は、犯人がその家を逃れた方法を解くようにと促してくる。

長い不在に電話を掛けてきた真備に、少年の許可を得て凜はその話をする。

真備は電話の話だけで、真相を見破る。

いっぱい、伏線があった。

ラジオのチューニングのことや、部屋の窓を叩いて合図して学校へ行く話。

最後から二行目で、さらにはっきりした。

道尾さんらしい、鮮やかなラストだった。どんでん返しとは言えないが、いつもの小説のような意外性は健在だった。

この、道尾が世話になった話というのを読んでみたい。

 

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2022.05.06

【「薄い財布」の社長が明かす ミニマリスト仕事術】

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著者:南 和繁
価格:1,760円
カテゴリ:一般
発売日:2022/01/20
出版社: 大和出版
利用対象:一般
ISBN:978-4-8047-1886-6

グッドデザイン賞受賞・ミニマリストから絶大な支持を誇るアパレルブランドabrAsus代表の頭の中をついに初公開! 

 

この手の本に1,350円も投じるなんて……。それだけの効果がなければならない。

一つには、「薄い財布」の社長の本であることも、選んだ理由だったが……

このabrAsusの財布は、色々試してみた。

「旅行財布」は好きで、随分長く使った。
ただ、隅っこのハトメがイマイチ気に入らなかったが。文字通り「旅行用」に便利だが、普段使いでも使いやすい。小銭をザラッと落とし込めるのがいい。
止めたのは、具合悪くなったのではなく、単に飽きたからかもしれない。

看板の「薄い財布」は、小銭入れの部分が気に入らず、割合早く手放した。

そして性懲りもなく、「小さい財布」をば。

だが、これが通販購入と対面購入との違い。届いたのは思っていたより厚みがあった。勿論サイズはあらかじめ判っているが、実際手に取ってから買うと、こういう失敗はない。
小さいバッグでは厚みを取って収まりが悪い。もう一つ、お札が取り出しにくい。
色はプラムで、結構好きな色だったのだが。この「色が気に入った」がために、使わないのにしまい込んでいるんだなぁ。

と、本書とは直接関係ないが、開発者のここの社長の仕事に対する考え方などが伺えておもしろい。

ミニマリストと仰るとおり、商品はなるべく無駄のない小さめのものなのだろう。

 

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