2009.07.10

光原百合【十八の夏】

十八の夏

光原 百合〔著〕
出版 集英社(集英社文庫)
発売日 2004.6
定価 ¥600 (本体 : ¥571)
ISBN 4-575-50947-7

【日本推理作家協会賞(第55回)】ある日の川べりでの出会いから信也と紅美子の不思議な交流が始まる…。第55回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞した表題作ほか全4作のミステリー。寡作家の著者が満を持して送り出す癒しの物語。

やはり、表題作の「十八の夏」がいい。

冒頭、橋から見える風景。
三浦信也は、橋の手すりから河原をのぞく。いつもの風景。一人の女性が、河原で絵を描いている。

やがてふとしたことから口をきくようになり、予備校生になったばかりの信也は、その女性蘇芳紅美子の住むアパートの空き部屋を勉強部屋にする。

なにもかもが、偶然のようでいて、なにもかもが、わかっていたことだった。

だが、信也は父親に似ているのだ。この寡黙だが実によくできた人物と同じような大人に、信也も成長していくことだろう。やや出来すぎの感はあるが。

母親と姉の俗物ぶり?がちょっとデフォルメされているようでもある。

この作品のテーマは、【朝顔】。だが、桜の季節からほんの少ししか経っていないののに、朝顔の双葉が出てくるのは少しおかしい気もするが。


キンモクセイをテーマにした二つ目の「ささやかな奇跡」は、保育園児の長男を残された男やもめの話だ。
書店に勤める彼は、街の小さな本屋の主明日香と知り合い、やがて……
妻を亡くして、東京から大阪へ超してきた親子だが、息子太郎はすぐに関西弁を使いこなし、タイガースファンになる。
その太郎がキューピッドになって、話はハッピーエンドとなる。

後押ししてくれる大家さん親子も、血の繋がらない母と子だった。


三つ目は、少々箍が外れた演劇青年とその弟の物語。兄が勘違いして、弟の恩師の「娘さん」を恋してしまった。ややドタバタ気味ではあるが、心温まる物語。
テーマは、ヘリオトロープ。

キョウチクトウが持つ毒が主要な役割を果たす「インセント・デイズ」は、救いのない話だ。


18nonatsu2これは、親本の表紙。
こちらの方が、良い感じだと思うのだが。






十八の夏


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009.07.07

藤原伊織【遊戯】

遊戯

藤原 伊織〔著〕
出版 講談社(講談社文庫)
発売日 2009.5
定価 ¥520 (本体 : ¥495)
ISBN 978-4-06-276365-3

ネット上の対戦ゲームで出会った男と女。正体不明の男に監視されながら、二人は奇妙に繫がり合っていく−。著者が闘病中も書き続けた表題作と、遺作となった中編「オルゴール」を収録。『小説現代』掲載を単行本化。

飛び飛びながら、「小説現代」に連作として掲載されていた作品。

悲惨な少年時代を過ごした男。
女の父親の再婚相手。
女の所属する芸能社の、有能な女性社員。

役者が出そろい、謎のストーカーもどきが登場し、世間に知られた外交官である父親が持っていた拳銃という小道具もある。

非常に興味深い発展を見せたであろうに、惜しいかな著者は本書を完結させないまま、旅立ってしまった。

まず、ネット上の対戦ゲームという出だしに、少々度肝を抜かれる。自分一人の思い込みだが、著者はそうしたものにはあまり関心がないのではという気でいたからだ。

誰か続きを書いてくれないかなぁ。
解説を書いた黒川博行なら、どう話を展開させるだろう?


もう一編、最後の夕焼けとワインの色が印象的な「オルゴール」も、よかった。

遊戯


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009.06.30

海堂尊【螺鈿迷宮 上】

螺鈿迷宮 上

海堂 尊〔著〕
出版 角川書店(角川文庫)
発売日 2008.11
定価 ¥500 (本体 : ¥476)
ISBN 978-4-04-390901-8

終末期医療の先端施設として注目を集める桜宮病院。医学生・天馬は看護ボランティアとして通い始めるが、ある時から疑念を感じる。この病院、あまりにも人が死にすぎる…。メディカル・エンターテインメント。

登場人物がすべて一風かわっているので、それに慣れるのに一苦労する。
また、本書は「チームバチスタ」を知っていることが前提で進んでいく。ま、別に知らなくてもそれはそれでかまわないが、桜宮病院と「チームバチスタ」の東城大学医学部は、宿敵同士という話や「チームバチスタ」という言葉そのものが出てくるので、やはり先に読んでおいた方が理解しやすいだろう。

姿を消した若者を捜すために、桜宮病院に送り込まれた天馬大吉。
ハプニングか故意か、次々と災難にあって入院する羽目に。

終末期医療の病院ではあるが、入院患者たちは明るく暮らしている(ように見える)。

と、上巻の終わり近くなって、突如「白鳥医師」が登場する。
白鳥は、何のために桜宮病院に出入りしているのか?このあたりは、登場人物である天馬ではなく、読者の関心を呼ぶところだろう。
当然、医者でもない白鳥が潜入しているからには、なにか魂胆があるからだろう。


というわけで、文庫版は上下二分冊になっているのだった。


螺鈿迷宮


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009.06.25

白洲正子【私の百人一首】

私の百人一首愛蔵版

白洲 正子 〔著〕
出版 新潮社
発売日 2005.11br />定価 ¥2,730 (本体 : ¥2,600)
ISBN 4-10-310716-2

本屋巡りをしていて、見つけた本。
母へのプレゼントにしようと思う。
愛蔵版とあるように、32ページものカラー口絵がある。

その前に、自分でも読んでみよう。それも、前から順番にではなく、開いたページを一日一首ずつ辿ってみたい。


今朝も母から電話があり、銀行関係で頼みたいことがあるという。
色々なことが、気になるようである。

私の百人一首


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009.06.23

連城三紀彦【白光】

連城三紀彦〔著〕
出版 光文社(光文社文庫)
発売日 2008.8
定価 ¥600 (本体 : ¥571)
ISBN 978-4-334-74464-9


なぜ人は人を殺してしまうのか? これほどまでに人間とは罪深いものなのか? 失われた幼い命、二転三転する真相。家族の交錯する思惑と悪意が招いた「救いなき物語」。

暑い暑い、夏の午後。一人の幼女が、殺された。


登場人物は、

妻に裏切られ、しかもその裏切りを出征の時に告げられた過去を持つ、桂造。その妻と娘は空襲で命を落とした。戦後再婚したが、今は亡き妻昭世。
その息子立介と妻聡子、娘の佳代。

聡子の妹幸子、その夫 武彦、娘の直子(4歳)。武彦は、教師をしていた明世の教え子でもある。
幸子の浮気相手、大学生の林田。


物語は、ほぼこれら登場人物の独白で進む。しかも、その中に隠されたウソがあり、話は二転三転する。
佳代さえも独白し、衝撃的な事実を語る。

事件が起きた日に家にいたのは、桂造と直子だった。
目撃された若い男は、誰?

真犯人は、誰か?何が、真実なのか?

と、いつもの連城ワールドをさらに拡げたような展開ではあるが、多少まどろっこしさを感じる。

幸子は結婚前から、義兄である立介を誘惑しており、結婚式の夜でさえ、立介と密会している。
そして直子は……


全てが、この幸子の身勝手さが招いたものだ。
だが、周囲の優柔不断さが、それを助長したとも言える。

白光
2008年()月20日 初版1刷発行
2009年4月25日 4刷発行


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009.06.20

芦原すなお【嫁洗い池】

嫁洗い池

芦原すなお〔著〕
出版 東京創元社(創元推理文庫)
発売日 2003.5
定価 ¥630 (本体 : ¥600)
ISBN 4-488-43002-3

作家のぼくの家にいつも押しかけてくる悪友・河田警部の目的は、妻の料理と難事件への鋭いヒント。女子大生失踪、密室殺人、不審な病死…。料理名人のキッチン・ディテクティブの推理とは? 「ミミズクとオリーブ」の続編。

今回は、全編河田刑事が持ち込んだ事件ばかり。(この刑事が持ち込むのは、事件ばかりではなくボクの郷里讃岐のおいしい食材もであるが)
表紙絵は、河田が持ち込んだのではない郷里の伯母さんが送ってくれた牛肉を使ってのバーベキュー風景だろう。

その河田刑事が話す事件を、ボクの妻が絵解きする。自身は家から動かず、ボクに現場を検証させて、推理を完成させる。

また、この河田刑事が毎回転勤しているのも、ボクの日常が極めてぐうたらで仕事がはかどっていないのも、同じ設定。

最後に事件の顛末をボクに語ってくれたあと(そしてそれは、たいがい夕食後なのだが)、庭のオリーブの木にやってくるミミズク夫婦にその時々のえさを与える。

ちょっとマンネリ化しそうなところで、その奥さんが同窓会に行って留守になるという話を一つ入れている。奥さんは、電話で河田に指示をして解決に導く。

そういえば、前作【ミミズクとオリーブ】でも、本書とは逆にボクが同窓会で郷里に帰り、具合が悪くて東京に残った奥さんに電話で解決策を聞くという話があった。
もっともそれ(「おとといのおとふ」)は、【ミステリのかげにペットあり】にも収録されていて、そちらで読んだのだった。

その「ホームカミング」では、むさ苦しい中年男二人がプリクラをしている場面があって、その姿を想像すると、笑えて笑えて仕方なかった。


他の収録作品
「娘たち」

題名を見ただけで、ホームズの作品が想像できる(そしてまたその通りの)「まだらの猫」

「九寸五分」とは、事件で使われた匕首のこと。

ボクが見た夢がヒントになって、『はいかぶり』から事件を解決に持って行く、「シンデレラの花」。ここでは、その『送り花』の描写がよかった。


「嫁洗い池」は、幼い頃の体験から妄想を抱くようになった気の弱い容疑者が哀れ。だが、両親に封じられたその体験についての解説は、結局無かった。


「青春デンデケデケデケ」は著者の体験かと思っていたのだが、本書の解説によると、著者は舞台の袖で照明係をしていたのだという。


次の【我が身世に降るじじわかし】も注文しているのだが、こういうシリーズ物は三冊が限度かな?
嫁洗い池


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009.06.10

樋口裕一【読ませるブログ】

読ませるブログ

樋口 裕一〔著〕
出版 KKベストセラーズ
発売日 2009.4
定価 ¥720 (本体 : ¥686)
ISBN 978-4-584-12224-2

読み手を意識した情報発信は、文章力、思考力、観察力、表現力など、様々なスキルを高めていく−。文章術を長年指導してきた著者が、ブログをもっと読みやすく、もっと楽しいものにするための心構えやテクニックを紹介する。

yoshiさんが、「ブログを書いている人が振り返ってみるのにいいかも。」と紹介してくださっていたので、読んでみた。

著者ご自身がブログを始められた契機から、ブログを書くことの意義、書き方のちょっとしたコツやエチケットなどを伝授?

最終章では「読者を引きつける文章テクニック」まで例文付きで載せられており、参考になることは多い。


なによりも、「普通の人」にとってのブログの意味を理解していただいていると思う。
著者のブログを拝見すると、なるほど書いていらっしゃるとおりの展開だなと納得!?(もっともここのところ、自著に対する批評にちょっと過敏になっていらっしゃったようだが)


最後に、著者のおっしゃる「おもしろい文章の条件」を三つ、挙げておく。

・ 読み手が知らない情報が含まれている
・ 読み手にはない体験が含まれている
・ 誰もが知っている有名人が書いている


読ませるブログ
2009年4月20日初版第1刷発行


| | コメント (2) | トラックバック (0)

2009.06.07

芦原すなお【青春デンデケデケデケ】

私家版青春デンデケデケデケ

芦原すなお〔著〕
出版 角川書店(角川文庫)
発売日 1998.7
定価 ¥840 (本体 : ¥800)
ISBN 4-04-344601-2

第105回前期直木賞と第27回文藝賞 受賞作 とは別の、私家版である。
受賞作は、これの半分くらいに縮めてあるらしい。その分、すっきりしているのだろう。本書は逆に、少々くどいところがないでもない。

だが、著者の愛する故郷での青春時代を、愛する讃岐弁で書いた、初々しい作品だ。
ロックバンドを作った高校生とその周辺の人たちといった登場人物もそれぞれ個性的である。

そして、随所に出てくる、当時流行ったロックの数々。これはもう、それらを知っているものたちの郷愁を呼ばずにおれようか。
巻末には、曲名の索引まで記載してある。

幾つかのエピソードの中で、音楽の佐藤先生がよかった。


大林宣彦監督で、映画化もされているし、そういえば何となく、覚えがある。
題名が「デンデケデケデケ」でなく、「テケテケテケテケ」だったら、もしかしたらもっと早く読んでいたかもしれない。「ミミズクとオリーブを読んで、はじめて著者を知った次第だった。


たくさん出てきた曲の中で、やはりベンチャーズの「ダイヤモンド・ヘッド」は好きだし、「ロック・アラウンド・ザ・クロック(註)」も、よく口ずさんだ曲だ。

(註)映画「暴力教室」の主題歌
私家版青春デンデケデケデケ


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009.06.01

【日本鉄道旅行地図帳 増結 乗りつぶしノート】

日本鉄道旅行地図帳 増結 乗りつぶしノート全線・全駅・全廃線

今尾 恵介〔監修〕
出版 新潮社(新潮「旅」ムック)
発売日 2009.5
定価 ¥880 (本体 : ¥838)
ISBN 978-4-10-790031-9

以前書いた【鉄道の旅手帳】よりは気楽に書き込んでいけるのではと思って、購入。

廃線も塗りつぶせる、全国を一冊にまとめた画期的鉄道ノート。
のが売りだろう。

さて、何を使って、何色で塗りつぶしていこうか。


日本鉄道旅行地図帳 増結 乗りつぶしノート


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009.05.28

芦原すなお【ミミズクとオリーブ】

ミミズクとオリーブ

芦原 すなお〔著〕
出版 東京創元社(創元推理文庫)
発売日 2000.10
定価 ¥609 (本体 : ¥580)
ISBN 4-488-43001-5


グータラ作家の僕の家に訪れる河田刑事の狙いは、妻の手料理とその手際さながらの名推理。キッチン・ディテクティブをご賞味あれ! 美味しい料理と名推理のコージー・ミステリー。

赤木かん子【ミステリーのかげにペットあり】(09.04.29)にあった【おとといのおとふ】が面白かったので、他の作品も読みたくなって購入。

表紙には、和服を着て白い割烹着を着けた女性が、オリーブの木にとまったミミズクに炒り子を与えている画が正面左側に。奥には、縁側に腰掛けてほおづえをついている男がいる。
この男が「ぼく」で、本書ではワトソン的役割をする。ホームズである細君は、だが事件現場が苦手である。
妻に言いつけられて現場に出向いた「ぼく」は、詳細な報告を細君にする。それを聞いて事件を解決する手掛かりを見つける細君は、「安楽椅子探偵」である。

本書には、表題作の他
紅い珊瑚の耳飾り
おとといのおとふ
梅見月
姫鏡台
寿留女(するめ)
ずずばな
が、収録されている。

女の直感によるヒントも多く、これは女性読者なら気がつくところも多いと思われる。

風邪をひいて寝込んだ妻を見ているうちに、出会った若い頃を思い出す【梅見月】がよかった。
最後の二篇は、細君も気が進まなかったように、気の滅入る話である。
オール読み物掲載順だろうが、【梅見月】を読んですっきりと終わりたかった。

著者は讃岐出身で、【青春デンデケデケデケ】で直木賞受賞。
その高校生が中年になったのではと思える作品である。湯船に浸かってロックを口ずさむという場面も一個所あった。
高校時代の同級生、警察官の河田が絡んだ作品も三編ある。


讃岐の名産を使ったおいしそうな料理の数々も並び、料理好きな方にも楽しめる作品になっている。

ミミズクとオリーブ


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009.05.23

JTB時刻表 1000号

JTB時刻表 1000号2009-5

特集:おかげさまで1000号 【付録】全国鉄道線路圖/初回入荷完売御礼!※4/30再入荷分も即日完売いたしました

「下書き」のまま放りっぱなしになっていた。

本屋さんでも、すぐに完売というところも多かったようだ。
表紙は、歴代の列車。

通巻千号記念として、「戦後復興初編集」の時刻表が付いてきた。
「京阪神名」というのもあって、それによると、まだ近鉄はなくて「関急」となっている。
近鉄に吸収される前の、信貴電・奈良電もある。

税込価格: ¥1,150 (本体 : ¥1,095)
出版 : JTBパブリッシング
サイズ : 26cm
発売日 : 2009.04.20


JTB時刻表

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009.05.22

日本推理作家協会:理事長に東野圭吾さん

日本推理作家協会:理事長に東野圭吾さん(毎日jp)

おめでとうございます

13人目のこの理事長、初代は江戸川乱歩氏。


関係ないけど、ちょっとしたつながりを感じて嬉しかったりする。
でも、最近では某財団法人の方が有名だけど(これは汚点)……

| | コメント (0) | トラックバック (0)

佐藤愛子【院長の恋】

院長の恋

佐藤 愛子〔著〕
出版 文藝春秋
発売日 2009.1
定価 ¥1,550 (本体 : ¥1,476)
ISBN 978-4-16-327290-0

尊敬する院長先生があんな女に夢中だなんて…。心を痛めた秘書のとった行動は。善人も悪人も、人生の摩訶不思議に振り回され立ち往生! 善男善女が常軌を逸していくさまを巧みに描く短編集。

先日NHKの「生活ほっとモーニング」に出ておられた佐藤愛子さんの最新作だというので、購入したもの。

正直、ガッカリした。
もっとも内容紹介に、「善男善女が常軌を逸していくさまを巧みに描」いていると書いてあるから、それを読み取れなかった方が悪いのだが。

標題の「院長の恋」は、話としてはまぁまぁ面白い。しかし、この方89歳でしょ。もう少し表現に慎みというものを出せないのか?
そりゃ、どんな書き方をしようと自由と言えばそうだけど。

あとは、
「離れの人」
「地蔵の眉毛」
「ケヤグの秋」
「沢村校長の晩年」

最後の「沢村校長の晩年」は、息子の嫁が寄越した家政婦もどきに翻弄される、妻を亡くした元校長の悲哀。
いるよね、こういうお節介なおばさん。何ともイライラする嫌な人物。

院長の恋


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009.05.11

イルカ【もうひとりのイルカ物語】

もうひとりのイルカ物語

イルカ〔著〕
出版 マガジンハウス
発売日 2008.3
定価 ¥1,470 (本体 : ¥1,400)
ISBN 978-4-8387-1854-2

夫が病に倒れ、亡くなるまでの20年間、イルカはいつも変わらぬ笑顔で歌っていた。弱音を吐かず、涙を見せず、自分の人生を神様からのプレゼントのようにやわらかく生きるイルカが、亡き夫の一周忌に手向けて綴る。


過日感動したという電話を頂いて、自分でも読んでみたくなった本。
パラパラと拾い読みをしている段階では泣けてくることも多かったのだが、改めて初めから読んでみると、どうも違和感がある。
やがて、気づいた。表紙を始め、掲載写真がすべて若い頃のもので、最近の写真は一枚もないのだった。
それがどうということではないが、著者が書かれたのはごく最近であることを、改めて思う。

全国のファンの前に姿を見せていた頃とのギャップ

もう一つ、やはり文筆家の文章ではないことも、関係あるかもしれない。



もうひとりのイルカ物語


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009.05.01

文庫創刊50周年記念

東京創元社が文庫創刊50周年!

宮部みゆきのコメントがあったり、コナン・ドイルの【四つの署名】は阿部知二の訳だったり。
作家の直筆サイン色紙が貰えたりもする。

作家が選んだ創元推理文庫・創元SF文庫のお気に入りの1冊を選定するフェアを開催─。

《人気作家たちが選んだ1冊》

恩田陸が、ホックの【サム・ホーソーンの事件簿】を選んでいるのが嬉しい。
ブラウンの【真っ白な嘘】は復刊ということだ。
加納朋子は、チェスタンの【ブラウン神父の童心】を選んでいる。
伊坂さんが選んだ【幻の終わり】(キース・ピータースン)というのは、知らないなぁ。

◎芦辺 拓:『チャーリー・チャンの活躍【復刊】』E・D・ビガーズ
◎伊坂幸太郎:『幻の終わり【復刊】』キース・ピータースン
◎上橋菜穂子:『空飛ぶ馬』北村 薫
◎荻原規子:『死者の書』ジョナサン・キャロル
◎恩田 陸:『サム・ホーソーンの事件簿 I』エドワード・D・ホック
◎加納朋子:『ブラウン神父の童心』G・K・チェスタトン
◎神林長平:『時間都市』J・G・バラード
◎貴志祐介:『銀河帝国の崩壊』アーサー・C・クラーク
◎坂木 司:『死ぬまでお買物』エレイン・ヴィエッツ
◎桜庭一樹:『泣き声は聞こえない【復刊】』シーリア・フレムリン
◎西尾維新:『バイバイ、エンジェル』笠井 潔
◎道尾秀介:『まっ白な嘘【復刊】』フレドリック・ブラウン
◎米澤穂信:『七人のおば』パット・マガー
◎森見登美彦:『ラヴクラフト全集 1』H・P・ラヴクラフト
◎山本 弘:『時間衝突』バリントン・J・ベイリー



| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009.04.29

赤木かん子【ミステリーのかげにペットあり】

ミステリーのかげにペットあり

赤木かん子〔編〕
出版 ポプラ社
発売日 2007.3
定価 ¥1,050 (本体 : ¥1,000)
ISBN 978-4-591-09642-0

東西の大御所から国内人気作家まで、ミステリーのおもしろさが堪能できる傑作集。エドワード・D・ホック「マフィアの虎猫」、芦原すなお「おとといのさいふ」ほか、動物がからんでくるミステリー、全3編を収録。

利用対象は、小学生・中学生とある。児童書の分野なのか?
でも三編とも、面白かった。

上記の2編の他に、柴田よしきの【正太郎とグルメな午後の事件】を収録。
正太郎というのは、女流作家に飼われているネコの名前。飼い主に同行して京都へ赴き、彼の地の作家浅間寺竜之介(正太郎言うことろのおやじさん)と同じく同居犬サスケともども、「京都の庶民の味を買い食いする」企画に参加することになる。
このサスケという犬は、多分主の影響か京言葉を話す犬だ。

寄るところ寄るところでであるポメラニアンは、何を訴えているのか?
途中で出会ったレンタカーは、何故フラフラ運転なのか?

といったテーマとは別に、中村軒の麦代餅(むぎてもち)、今宮神社のあぶり餅、そしてふたばの豆餅など、おいしそうなおまんじゅうが登場する。

柴田よしきは、京都在住だったか?以前ニフティのフォーラムでご一緒していた方がこの方と親交がおありだったので、てっきり東京の方だと思っていたが。
そういえば、女性刑事?が活躍するシリーズものも、京都が舞台だった。


最後の芦原すなお【おとといのおとふ】(註)は、「ミミズクとオリーブ」という短編集の中の一編。
作家である語り手の妻が、安楽椅子探偵という趣向だ。
今回は、ふるさと讃岐へ帰った語り手が遭遇した事件を、電話で聞いた妻が解決する。被害者の飼い犬エスのけなげさな忠義ぶりが、かわいい。エスなどという犬の名も、昔はよくあったものだ。

(註)BK1の内容紹介に「おとといのさいふ」とあるが、これは【おとといのおとふ】(おとうふ)の間違い。
いくら読んでいないからと言っても、ひどすぎると思う。


妻が電話で指示したお土産が、全部語り手の好物だったというオチもいい。

この安楽椅子探偵もシリーズになっていて、割烹着を着ておいしい料理を作るのだそう。ちょっと変わった探偵で、もう少し読んでみたくなった。

ミステリーのかげにペットあり
2007年3月第1刷
ミステリーセレクション8


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009.04.28

奥田英朗【町長選挙】

町長選挙

奥田 英朗〔著〕
出版 文藝春秋(文春文庫)
発売日 2009.3
定価 ¥530 (本体 : ¥505)
ISBN 978-4-16-771103-0

離島に赴任した精神科医の伊良部。そこは、島を二分して争われる町長選挙の真っ最中だった。伊良部もその騒動に巻き込まれてしまい…。「空中ブランコ」「イン・ザ・プール」でお馴染みの、トンデモ精神科医の暴走ぶり健在!

【オーナー】は、とある新聞社の会長で某プロ野球オーナーの「田辺満雄」が主人公。
字をご覧になっただけではピンと来なくても、彼が「ナベマン」と呼ばれているというところでは、ハハーンとお判りだろう。
本書でも、球団の合併問題などで「たかが選手が」などと失言?してマスコミの餌食になっている。

その彼が、不眠症になった。そしてお決まりの伊良部先生、登場。
「パニック障害」と診断された彼は、伊良部と付き合ううちに、少しずつ気持ちが変わっていく。
ついには一切の公職から手を引き、あげく生前葬まですると言いだす始末。
生前葬の当日、

田辺さんこそは、サービス精神の塊だったのではないかと、今になれば強く思うわけであります。晩年は東京グレート・パワーズのオーナーとして、数々の乱暴な発言を提供してこられましたが、記者たちの喜ぶまいことか――。田辺さん、あなたはきっと人をよろこばせることが好きだったのでしょう。
といった弔辞を聞いた彼は、一種さわやかな気持ちになる。

帰宅してみると、若い記者の何人かが待っていた。月に一二度話を聞きたいという。まだ強がりをいいながらも、ジンときた彼は彼らを自宅へ上げる。

次の【アンポンマン】は、マンガの主人公ではなく、「安保貴明(あんぽたかあき)」という若手起業家の話。そう、「金が全て」のお方だ。学生時代からパソコンを駆使して会社を興し、『馬鹿がいるうちに稼ぐにかぎる』とばかりに業績を上げていく。そのライブファストの

本社は麻布にできた最先端の超高層ビルに移転し、住まいは誰もが憧れる麻布ヒルズの家賃二百万円の部屋に変わった。

ところが、あるクイズ番組に出演した彼は、簡単な漢字が思い出せなくなる。この兆候は日を追うに従ってひどくなり、遂に伊良部のところへ。
治療なのかどうなのか、伊良部に幼稚園へ連れて行かれてカルタ取りをする羽目になる。平仮名も書けなかった彼は、園児たちに「ばーか、ばーか」と呼ばれてしまう。
しかし、日が経つにつれ彼の意識は少しずつ変わっていく。「大人」な会見ができるようになり、一部のマスコミからは却ってガッカリされる始末。

彼のお方も、早めに伊良部先生に出会っていたらよかったかもしれない。


三編目の【カリスマ稼業】は、若さと美を保ち続けなければならないタレントの悲哀。由美かおるを思い浮かべないでもないが。


最後の【町長選挙】では、伊良部自ら東京都の離島の選挙に巻き込まれるというものだが、少々ドタバタが過ぎて鼻につく。


町長選挙
2009年3月10日第1刷
2009年3月15日第2刷


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009.04.27

牛島秀彦【消えた春】

書きかけのままだが、一応アップ。

消えた春

牛島 秀彦〔著〕
出版 第三書館
発売日 1995.8
定価 ¥1,575 (本体 : ¥1,500)
ISBN 4-8074-9511-9

1945年5月、特攻攻撃を前に生涯最後の「ストライク10本」の投球を投げ終わった名古屋軍(現中日ドラゴンズ)の若きエースは還らぬ機上の人に。戦争と人間を見つめるプロ野球ノンフィクション。

ノンフィクションとあるが、フィクション部分も多いのではないか?著者は、石丸進一の従弟にあたる。

日本のプロ野球の誕生が太平洋戦争中だったのは、なんとなく不思議な気がするが、当時使っていた野球用語がかなり長い間残っていたのではなかったか。

飛行機に乗る前の、本田相手の投球場面は、胸にこみ上げるものがある。


消えた春



| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009.04.26

本 切り取らんといて

「本を壊すな」図書館動く 切り抜き被害にマナー本配布(asahi,com)

 全国一の貸出冊数をほこる大阪市立中央図書館(西区)で、年間2千冊近い本や雑誌が、借り主に切り抜かれたり破られたりして廃棄されている。

被害の具体例としては
・教職員採用試験問題集
答えがすべてボールペンで書き込まれ、使いものにならない。
料理本:レシピが切り抜かれ、貸し出しできない。
新聞の縮刷版:1冊約8万2千円で、買い換えは困難。など

本を無断で持ち出すことは出来ない(ゲートあり)が、一旦借りて帰った本へのこの仕打ち。

都市部を中心に汚破損本は増えているが、同図書館で窓口に立つ女性は「同じ俳優の写真が根こそぎなくなるなど、度の過ぎた被害はよそでは聞いたことがない」という。
これも、大阪人のマナーの悪さだと言われそうだ。
東京練馬区の図書館のように、一定期間ではあっても貸し出し履歴を参照出来るシステムの導入も必要かもしれない。


| | コメント (4) | トラックバック (0)

2009.04.24

松本清張【殺意】

「下書き」を整理していたら、残っていたもの。昨年夏に書いたものだ。別記事としてアップしてもいないので、多分書いている途中で下書き保存したのだろう。
----------------------------------------
過日、家定の悲哀というのを書いた。
それに対してmekaさんがコメントを下さって、見つけ出せた本。

本棚の、二段になった後側にあった。短編集のタイトルが判らなかったら、一つ一つ当たらねばならず見つけ出すのは大変だったろう。この頃の清張ものは、殆ど揃っている。
色は変わり、表紙にもややシミがあるが、やはり、本は捨てないほうがいいのかな?!

殺意


松本 清張〔著〕
出版 光文社(光文社文庫)
発売日 2002.10
定価 ¥890 (本体 : ¥848)
ISBN 4-334-07488-X

松本清張没後10年記念企画の短編全集復刻新版。第4巻は、ホワイトカラーの出世競争にからんで、日常生活の人間心理の深層にある憎悪をテーマに描いた「殺意」ほか7編を収録。1964年初版の3版。


現在手に入れることが出来るのは、第3版。表紙絵は、同じだ。自分が探し当てたのは、昭和39年発行のもの。しかも、何故か「石塚書店」という古書店のシールが貼ってある。それも、寺田町にある店だ。何故寺田町??
思い出した。寺田町に出没していたのは、昭和43年頃だったか?多分、その辺にある古本屋に入って偶然本書を見つけたのだろう。


時代物ばかりの文庫本という風に覚えていたのだが、カッパノベルズで現代物・歴史物が混在していた。
「白い闇」は、印象に残っている。「通訳」と同じ本に収録されていたとは。

松本清張 索引

殺意
昭和39年2月25日初版発行


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009.04.20

松本清張 生誕100年

映像に愛される清張 生誕100年、今年もドラマ・映画続々(asahi.com)

松本清張生誕100年ということで、改めて本も出版されているし、ドラマも多いようだ。
先週(だったかな?)放映された「駅路」は、よくできた作品だったと、yoshiさんが記事になさっていた。

清張が太宰治と同じ年の生まれだとは、ちょっと想像しにくい。
かたや早世し、かたや遅くデビューした。


松本清張初文庫化作品集も全部買って読んだが、以下のものは簡単にアップしている。

【失踪】
(07.05.29)
【途上】(07.06.17)
【月光】(07.06.09)


他の作品
あれ?今も随分読んでいるのに、意外と書いてないなぁ。

【点と線】(05.10.10)鉄道と結びつけて、書いている。
【ゼロの焦点】(05.11.03)やはり、好きな作品。
【球形の荒野 上】(06.01.30)
【球形の荒野 下】(06.02.02)

松本清張 索引


| | コメント (2) | トラックバック (0)

2009.04.18

佐藤多佳子【サマータイム】

サマータイム

佐藤多佳子〔著〕
出版 新潮社(新潮文庫)
発売日 2003.9
定価 ¥420 (本体 : ¥400)
ISBN 4-10-123732-8

進と姉の佳奈、二人の共通の友人、広一。
四つの物語は、三人の独白で進んでいく。全編に流れる、「サマータイム」のメロディ。
広一の母、プロのジャズピアニストの友子さんは、不思議な魅力的な人だ。


夏やすみにプールで出会った進と広一は、帰る途中で雷雨に遭い、進は初対面の広一の家で休ませて貰う。
広一の左手は事故で失われていて、そのため彼はずっと習っていたピアノを片手でしか弾けない。

この友子さんと広一は、不思議な親子だ。しかし、母親が息子に抱く感情も、息子が母親に持つ気持ちも、解るような気がする。

「サマータイム」と題した最初の一編で、登場人物の紹介があり、しかし彼らの交流は、広一母子の引っ越しで一旦終わる。

それから6年が経ち、進は高校生になって、ジャズ研に入っている。
大学生になった広一は、ある日進を訪ねてくる。

自転車に乗ることを怖がって佳奈を怒らせた広一は、片手だけで佳奈を二台に乗せて漕げるまでになっていた。

右腕一本のハンドルさばきで、彼の自転車はぐんぐん加速していく。二つの車輪が八月の光をけちらした。(中略) ぼくの頭の中でふいにピアノの音が踊り出した。 右手だけの力強いサマータイム。

サマータイム


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009.04.06

あまんきみこ【車のいろは空のいろ】

車のいろは空のいろ 1 白いぼうし
あまんきみこ作・北田卓史絵
出版社 ポプラ社
発売日 2000.04
価格  ¥ 1,050(¥ 1,000)
ISBN  4591064425

bk1で詳しく見る オンライン書店bk1
空いろの車を町で見掛けたら、きっとそれは松井さんのタクシーです。手をあげて、車の座席に座ったら、「お客さん、どちらまで?」 それが不思議な旅の始まりです。

「これはレモンのにおいですか?」

しのぶんさんが、マイルドなポンジュースに対して怒りを表明しておられたのを拝見して思い出した本。何という発想だろう(^^;) 昔の本を入れた本棚にはなく、別の部屋に積んでいた。

Oh happy day!「むぅっ、マイルドだ!!(怒)

少し心淋しいときは、思い出してこういう本を読むのがいい。
タクシーの運転手をしている松井さんの元に、田舎にいるお母さんが”速達”で送ってくれた夏みかん。においまで届けたいと、もぎたてなのだ。
「あんまりうれしかったので、いちばん大きいのを、この車にのっけてきたのですよ」と松井さんは問いかけたお客に答える。

やがて子どもが帽子の中に捕まえていた蝶をにがしてやった松井さんは、そのかわりにその夏みかんを帽子に入れておく。

酸っぱい、いいにおいが、風であたりにひろがりました。

そのあと、松井さんが乗せた女の子に連れられて行った小さな野原には、
白いチョウが20も30も、いえ、もっとたくさんとんでいました。クローバーが青あおとひろがり、わた毛ときいろの花のまざったタンポポが、てんてんのもようになってさいています。
その上を、おどるようにとんでいるチョウを、ぼんやり見ているうち、松井さんには、こんな声が聞こえてきました。「よかったね」「よかったよ」「よかったね」「よかったよ」

他には、山猫を乗せる話 空襲で子どもを亡くしたお母さんを乗せて元の住宅を訪れる話など。最後は、松井さんが、キツネに 仲間だと思われてしまう話だ。

これはシリーズになって、あと2冊あるらしい。初版発行当時、小学校の教科書に載っていたはず。

あまんきみこ「車のいろは空のいろ
1972年8月30日発行(上記紹介の絵は新装版)

概要

少し心淋しいときは、思い出してこういう本を読むのがいい。

コメント
涼さん、こんばんは。
この頃、懐かしい本を紹介してくださるので、
とても嬉しく拝見させていただいております。

『車のいろは空のいろ』。
思い出すだけで、夏みかんの香りに包まれるかのようです。
空色の車と、夏みかんの橙色。
色彩と香りとが、子供の頃に連れて行ってくれそう。

懐かしさに、最近『ともだちは海のにおい』を買いました。
これも青く綺麗なイメージの本です。

では、また。お邪魔しました。

投稿: ぽち | 2004.10.08 01:04

ぽちさん、こんばんは。

本の専門家のぽちさんにそう仰有って頂くと、とても光栄です。

自分で読んだ本だけでなく、子ども達と一緒に読んだ本が少しも色あせずにまたチビさん達に読んでやれる、いい本というのは こうしていつまでも読み継がれていくのですね。

「ともだちは海のにおい」工藤直子さんの本ですね。

投稿: 涼 | 2004.10.08 01:33

たけやまようちえん。ふざけるな。人の名字勝手に使うな。誰に名前を使われるか選ぶ権利は俺にある。俺は矢沢あい先生の作品に名前を使われたかった。

投稿: 大崎ナナ | 2008.01.21 13:50
lu.sheeta@ezweb.ne.jp

あまんきみこ。てめえのせいで自分の名前が嫌いになった。教育者なら子どもに自分の名前にほこりを持たせるのが当然だろ。なんで他人の名字を勝手に使いやがった。この屈辱は30年たった今でも消えない。なにがたけやまようちえんだ。ふざけるな。誰に名前を使われるか選ぶ権利はこっちにある。誰に似たいか選ぶ権利はおれのほうにある。

投稿: たけやまようちえん | 2008.01.23 06:16
hirakids.diving@docomo.ne.jp


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009.03.22

「一瞬の風になれ」余話

佐藤多佳子さんの【一瞬の風になれ】(08.04.20)は、第一部「イチニツイテ」と第二部「ヨーイ」まで読んで、第三部は未読のままだ。

昨夜、リスナーから電話あり。

「一瞬の風、よかったですわ」
「そやね、私も好きやわ」
「これ、児童書ですね」
「え?高校生向きでしょ」
「いや、児童書って言うてましたよ。はじめ、児童書送ってきてて思たんですよ。そやけど、クライマックスはよかった。いやー、いい本をありがとうございました。」
「うん、自分がいいなぁと思ったのを勝手に送ってるからね」

これより以前、違うリスナーとこの話で盛り上がっている。
「第三部よかった」
「わー、まだ第三部は読んでへんねんけど。はよ読も」
「僕100メートルしてたから、よけい感動したんやなぁ。ミステリーもいいけど、こんなの聞くといいなぁと思う。」

そのあと少し突っ込んだ話になるのだが、それは……


第二部についても、書いておかないとどんどん忘れていきそう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009.03.06

中井和子さんをしのぶ会

京ことば訳・源氏 中井さんしのぶ(asahi.com)

夕刊の「惜別」を読むまで、知らなかった。1月28日に亡くなっておられたのだ。

源氏物語を京ことばで訳した、「現代京ことば訳源氏物語」の著者だ。発行された年に買って読んでいるはずだが、今見あたらない。

しのぶ会では、山下智子さんが「初音の帖」を朗読したという。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009.03.02

日本鉄道旅行地図帳10号 大阪

今尾 恵介〔監修〕
出版 新潮社(新潮「旅」ムック )
発売日 2009.2
定価 ¥680 (本体 : ¥648)
ISBN 978-4-10-790028-9

ようやく、大阪。

大阪とその近辺で言えば、東西を走る路線は充実しているのに、南北を結ぶには一度大阪に出る必要があった。
それが、縦の線が少しずつだが東側へ延びてきているような気がする。
大阪東線が新大阪駅まで延びたら、当地からは京都駅へ出るより便利になるかもしれない。

関西全体に私鉄が発達しているから、当然本書もJRばかりとはいかぬ。

また、大阪市営の地下鉄は、私鉄と相互乗り入れして郊外まで延びている。かなり東西南北きれいに交差していて、東京の地下鉄と比べると分かりやすい。

今は全廃した大阪市電路線図もある。市内に住んでいた頃は、随分とお世話になった。
そういえば、トロリーバスもあったなぁ。意外と路線は少なかったのだ。「杭全町行き」というのが、読めなかったっけ(正解は「くまたちょう」)。


日本鉄道旅行地図帳:大阪

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2009.02.24

東野圭吾「手紙」派生

東野圭吾 著【手紙】を読んだリスナーから聞いたことなど。

お一人は、立場は違うが差別ということで自分たちと無縁ではないと仰有った。

もう一人は、よく電話をくれる。
自分が精神障害を持っていることで、弟に迷惑をかけていると泣くように言う。

その電話を貰ってからかなり経って、友だちにこの本を薦めたという電話がかかってきた。その友人の言葉を伝えてくれる。

今日の電話は、その友人が東野圭吾の本を全冊図書館に予約を入れたというものだった。

「うーん、たくさん書いていらっしゃるから、まれに外れがあるけどねぇ」などと応える。
「あ、お勧めはやはり『容疑者Xの献身』かな。私は加賀刑事ものが好きだけど。『卒業』も、おすすめ」といった話をする。

この人の読書量は、すごい。リクエスト本 プラス 自分が見繕った本をせっせと送る。



| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009.02.20

清水義範【尾張春風伝 上】

尾張春風伝 上

清水 義範〔著〕
出版 幻冬舎(幻冬舎文庫)
発売日 2000.8
定価 ¥680 (本体 : ¥648)
ISBN 4-344-40012-7

春、という名の男がいた。若い時は通春といい、後に宗春となった。思考が明晰で、楽しげなことが大好き。やることが派手で、どこか常識の枠を突き抜けている男・徳川宗春の生涯。

一ヶ月ほど前に、山田風太郎著【忍者月影抄】について書いた時、takoさんに教えていただいた本。

面白い。痛快だ。

上巻は、まだ通春と呼ばれていた若き頃の話。吉宗が将軍になって享保の改革に乗り出した頃まで。色々なことに興味を持ち、遊び好きでやや羽目をはずすきらいのあるみそっかす若様が、ようやく自分の考えをまとめようとするところまで。通春の考え方が、生き生きと描かれている。

著者の清水氏は、名古屋出身だとか。「名古屋もの」を多く出しておられるようだ。
家臣たちの使う名古屋弁が、楽しい。

下巻は、やがて吉宗と対立していくところが描かれていくのだろうが、吉宗を名君と見る側からはなんとも鼻持ちならない反抗的な人間として写ったことだろう。

上巻でも、通春の異母兄吉道の母が振る舞いにけしからぬところがあるという理由で、蟄居させられている。通春は、この本寿院にも優しい。だが、やがて来る通春の運命を暗示しているようでもある。

所用のため15年ぶりで名古屋へ帰った通春は、名古屋のいいところとつまらないところについて、考える。変化がなく、進歩がない、名古屋。
やがてその名古屋を活性化させるのが自分だとは、このときの通春に想像すべくもない。

名古屋を自由にしてよいと権限が与えられたら、名古屋をそういう花の大都会にしてみせようものを。
そんな権限が与えられるはずもないから、通春はその夢想を夢想として楽しんだ。
そして、元々名古屋にあった、変化や進歩をおそれる勢力によって、通春は表から消されるのだ。


著者のイマジンも、面白かった。


尾張春風伝 上


| | コメント (2) | トラックバック (0)

2009.02.17

村上春樹さん、エルサレム賞記念講演でガザ攻撃を批判

昨日のニュースだが、
村上春樹さん、エルサレム賞記念講演でガザ攻撃を批判(asahi.com)

賞を辞退して欲しいという声もあった中、「メッセージを伝えるため」に授賞式に出席したという村上氏。
「壁」は高く、厚い。


「ノルウェイの森」がブームになったとき読んだが、正直あまり好きにはなれなかった。この人の熱狂的なファンを知っているが、単に「ブームになった作家だから好き」なようだ。


等とマイナーなことを書かず、「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」を読んでみるか。




| | コメント (6) | トラックバック (0)

2009.02.09

東野圭吾【回廊亭殺人事件】

回廊亭殺人事件

東野 圭吾〔著〕
出版 光文社(光文社文庫)
発売日 1994.11
定価 ¥540 (本体 : ¥514)
ISBN 4-08-749596-5

一代で財を成した一ヶ原高顕が死んだ。莫大な遺産の相続にあたって、彼の遺言状が公開されることになり、一族は“回廊亭”と呼ばれる旅館に集められた。その中には親族ではない1人の老婆もいた。やがて起こる殺人、怪事件。回廊亭、そして老婆の謎とは?

その老婆というのが、本書のヒロイン。
珍しく、容姿がよくないという、実際は30代のこのヒロイン。やっと自分を理解してくれる恋人に出会ったのもつかの間、その恋人が殺されるという過去を持っている。その復讐のために変装しているのだ。
例によって東野氏の二重三重のどんでん返しが、しかし本書ではあまりにも悲しい結末になっている。救いがないのだ。

以下、ネタバレあり。

弁護士の助手が実はジローだったということ。この助手は、女性だと思わせる罠がある。だが、
「きれいな人」という表現は、男性であっても使える。
「虫が付かないように」という弁護士の言葉は苦しいが、ギリギリ小説ならごまかせる範囲か?
映像になると、どうだろう。

回廊亭殺人事件


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009.01.30

田辺聖子さん

NHK生活ほっとモーニング「この人にときめき」。
後半を、見てしまった。

ご自宅での収録らしいが、かわいいグッズがいろいろある。80というお歳だが、まぁよくお話しになる。もろ、大阪弁やし。
かもかのオッちゃんの話には、一段と熱がこもる。「芋たこなんきん」のプロポーズ画面も出てくるが、現実のプロポーズもそんな感じだったらしい。やや恥じらいながらも、お可愛らしい。

藤山直美の町子は結構よかったのではと思うが、この可愛らしさは少しちがうかな?

もう25年前になるのか、新聞紙上で「ムフフフ55歳」だったかのタイトルで、55歳になったことを喜んでいらっしゃる文を拝見した。その時は、自分が55歳になったらそんな風に喜べるかなぁなどと思っていた。たしか、「ミッキーマウスの時計をして」という一文があったような気がする。


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009.01.28

森村誠一【黒魔術の女】

黒魔術の女

森村 誠一〔著〕
出版 光文社(カッパ・ノベルス)
発売日 1998
定価 ¥578 (本体 : ¥550)
(画像は徳間文庫のもの)

読み進めるのが辛い本というものがある。本書もそういう一冊で、途中で止めたかった。

表題の黒魔術そのものは、事件との関連性は薄い。むしろ、読者の目をこちらへ引っ張っておく意図があったのか。
最初の犠牲者の犯人が意外と早く判ってしまうのも、少し残念だ。


ただその中でも、サラリーマン刑事の意外な仕事熱心ぶりが面白かった。

また救いだったのは、上記の刑事が休みの日に妻と出かける場面だ。舞台は群馬県で、浅間山の噴火なども重要要素として出てくる。刑事の住んでいるところは、「ちょっと気のきいた買い物には、渋川や、さらには前橋、高崎あたりまで出る」必要がある土地だ。
その刑事が妻と出かけたのが、

翌日、二人は吾妻線に乗りこんだ。たまたま乗った電車が、上野行きの普通だったので、高崎まで足をのばした。
とある。 わぁー、高崎。この間?行ったところだぁ。 さらに
市の南西には烏川をへだてた丘陵がある。頂には、この地方の観光スポットとして有名な巨大なコンクリート製の白衣観音が建っている。
ここへも、連れて行っていただいた。 ただし、この物語は30年以上前のもの。


黒魔術の女
昭和49年8月15日初版発行
昭和52年4月30日44版発行


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009.01.27

内田康夫【喪われた道】

喪われた道

内田 康夫〔著〕
出版 角川書店(角川文庫)
発売日 2000.5
定価 ¥600 (本体 : ¥571)
ISBN 4-04-160750-7

青梅山中で会社役員が虚無僧姿の絞殺死体で発見された。尺八の名人だった被害者は、修善寺由縁の秘曲「滝落」の吹奏を拒んでいたという。調査に乗り出した浅見光彦の前に、「失われた道」という謎の言葉が立ちはだかる。

佐渡に続き、大久保長安の埋蔵金話に端を発したルポを書くことになった浅見光彦。
その彼は、相変わらず出先で事件に巻き込まれる。
「喪われた道」とは何か。

雨の中を、濡れそぼりながら尺八を吹く虚無僧。彼を目撃した人は。


と、いつものパターンではあるが、本書から離れて少し。

亡き父は、尺八を吹いていた。いつかは自分の琴と合わせてみたいなと思っていたのが、叶わなかった。


内田康夫の作品の舞台は、行ってみたいと思うところが多い。
この伊豆地方は、もう25年ほど前に訪れたところだ。

修善寺あたりの風景も、懐かしく思い出す。


喪われた道
平成12年5月25日初版発行
平成20年3月10日10版発行


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009.01.25

山田風太郎【忍者月影抄】

忍者月影抄

山田風太郎〔著〕
出版 講談社(Kodansha novels special)
発売日 1994.5
定価 ¥836 (本体 : ¥796)
ISBN 4-06-181739-6

江戸日本橋の袂で晒し者にされた三人の女の肌に朱書きされた「公方様御側妾棚ざらえ」の文字。将軍吉宗に赤恥をかかせんとする尾張宗春は、甲賀忍者と尾張柳生に密命を下す。対する江戸柳生と伊賀忍群。幻怪眼を奪う忍法戦!
著者の作品は、はじめてだ。そして、少々苦手である。

八代将軍吉宗と、尾張藩藩主徳川宗春との確執が発端になって、江戸と尾張の柳生家の対立、そしてお庭番と忍者の対決がメインの話。
だが、本書に取り上げられている背景は、面白い。


話が本から逸れるが、大河ドラマでは、「八代将軍吉宗」で中井貴一が演じていた。はまり役だった。このときは、天一坊に京本政樹だったと思う。吉宗役が西田敏行で、いかにもの感じ。
「暴れん坊将軍」では、自己保身の強い人物として描かれていたとか。吉宗主役の娯楽番組だからかなぁ。

忍者月影抄


| | コメント (2) | トラックバック (0)

2009.01.22

【お遍路に咲く花通る風】

お遍路に咲く花 通る風元気おばさん お四国を歩く

佐藤 孝子〔著〕
出版 リヨン社 発売 二見書房
発売日 1997.5
定価 ¥1,680 (本体 : ¥1,600)
ISBN 4-576-97060-7

ワケあり本が、続く(苦笑)。

著者を、教師を辞めてまで、四国遍路へ駆り立てた物は何か?
といった、大層な話ではなく、淡々と四国を巡る楽しさを語っていく。
その途中で出会った方たちのこと。「お接待」という地元の方たちの暖かしもてなし。偶然一所になった同じ歩き遍路たち。

バスで手軽に、八十八個所を巡ることも出来る。ここからだと、日帰りで少しずつ参ることも可能だ。
だがこれを読むと、やはり遍路は歩かなければという気持ちになる。

第一章 出会う
第二章 温もる(ぬくもる)
第三章 想う
第四章 お遍路のすすめ

といった、構成。

その地元の人たちとの出逢いでも面白かったのが、「あんたと友達になれそうやな」という一遍。
ちょうど幼稚園帰りの子どもたちと出会った、著者。男の子三人、女の子五人のグループだ。
「あんた、どこから来たん」
「神奈川」
「どこや、それ」
「東京の近く」
と問いかけて来た女の子たちとの話が弾む。というか、質問攻めにあう。彼女たちは、勿論遍路を知っている。あげく、彼女たちが立ち寄る犬のいる家で少し遊び?、阿波踊りも見せてくれる。
著書は彼女たちに認められ、友だちにしてもらう。
彼女らの両親は殆どが働きに出ており、家には祖父母が待っている。

他にも、四国の暖かいもてなしの話が続く。

本書が書かれたのは10年ほど前だが、こうした風情はまだ残っているだろうか。


[歩き遍路]か、いいなぁ!


お遍路に咲く花 通る風


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009.01.20

【御手洗潔対シャーロック・ホームズ】

御手洗潔対シャーロック・ホームズ

柄刀 一〔著〕
出版 原書房
発売日 2004.12
定価 ¥1,890 (本体 : ¥1,800)
ISBN 4-562-03855-1

窓からのぞく巨人の顔、残された足跡、屋根の上の死体…。御手洗とホームズの推理が火花を散らす! 島田荘司著「石岡和巳対ジョン・H.ワトスン」も収録。00年刊「御手洗潔攻略本」等掲載に書き下ろしを加えて刊行。

初めての、作家。文庫本も出ているようだが、これは親本。

短篇4編と、それらを合わせたほどの分量を持つ長編1編からなる。
紹介文にあるのは、その長編部分で【巨人幻想】という。御手洗潔とシャーロック・ホームズがまさに相まみえる。「石岡和巳対ジョン・H.ワトスン」は、解説を兼ねた創作である。

といっている御手洗潔だが、島田荘司が生み出した探偵といった知識しかない。何でも、占星術師であったり、それが昂じて?星占いが趣味の私立探偵という設定であったりするようだ。
その後、探偵が趣味の脳科学者ということになっているらしい。本書は何故か、その設定をそのまま使用している。しかも、どんどん頭が良くなっていくらしい。

本書では、ノーベル賞の対象になるほどの、すごい脳科学者であるという設定。という前提があって、でも何故この著者は、他の作家が作った探偵(とワトソン的記録者)をそのまま使ったのだろう?

表題の「御手洗潔 対 シャーロックホームズ」は、最後の「巨人幻想」だけで、あとは御手洗物とホームズ物が二点ずつ。
以下、タイトル。

青の広間の御手洗
ノーベル賞受賞風景
シリウスの滴
緋色の紛糾
「緋色の研究」のもじり(パクリ?)
ボヘミアンの秋分
こちらは「ボヘミアンの醜聞」
『しゅうぶん』と聞けば原作?の方を思い浮かべそう
巨人幻想

御手洗潔対シャーロック・ホームズ


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009.01.14

時実新子【思いもかけない幸せ】

思いもかけない幸せ

小杉 健治〔著〕
出版 PHP研究所
発売日 1998.8
定価 ¥1,400 (本体 : ¥1,333)
ISBN 4-569-60249-5

これも、ワケありの本。

タカラヅカにはまった嫁、一日郵便局長体験記、必ずスリムになれるシンコサラダなど“思いもかけない幸せ”満載のエッセイ集。一編一編に俳句を付した「産経新聞」連載エッセイをまとめた一冊。

このBK1の紹介文も、おかしい。著者は、日本一と自負していらっしゃった川柳作家である。
初出はサンケイ新聞連載とあるが、時折読んだ記憶がある。実家へ行ったときに、読んだのだろう。

お嫁さんが宝塚に夢中になり、お母さん(著者)にチケットを頼む冒頭の話「はまる」など微笑ましいものからはじまっている。最初の二つの章あたりは、まさに幸せを呼ぶエッセイといったところ。

文体から田辺聖子さんを思い起こしたが、ご本人も田辺さんとは親交があったようだ。だが、田辺さんのほんわか調とはちがい、話題は次第に深刻になってくる。家族との葛藤など、読んでいて時に辛くなる。

特に、子ども時代のイジメに関しては、その小学校から講演依頼があっても、「行きたくない」と断ってしまうほど深刻だった。自殺まで考えた小学時代であったという。
それを救ってくれたのは、転居してくれた両親であり、後年色々とわだかまりが出来ても、やはり親の愛情が著者を救ったのだろう。

同じようなことは夫婦間でも垣間見られ、若い頃の情熱からは遠くなった初老の夫婦のあり方もまた良きかなという印象を受ける。

お聖さん(田辺さん)に比して、何となく生臭いような気がして、ベストセラーになった「有夫恋」も読んでいない。が、何に対しても、真摯で正直な方だったのだろう。

思いもかけない幸せ
1998年8月19日第1版第1刷発行


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009.01.09

◆有栖川有栖【女王国の城】

女王国の城

有栖川有栖〔著〕
出版 東京創元社
発売日 2007.9
定価 ¥2,310 (本体 : ¥2,200)
ISBN 978-4-488-01227-4

【本格ミステリ大賞(第8回)】大学に姿を見せない江神を追って信州入りした英都大学推理研の面々。「城」と呼ばれる新興宗教の総本部で江神の安否は確認したものの、思いがけず連続殺人事件に遭遇し…。江神シリーズ第4弾。
第4弾とあるが、第5弾はあるのか?

それぞれの部分は面白かったのだが、何しろ長い。もう少し冗長な部分を切り詰めて描くわけにはいかなかったのだろうか。
江神ものは、これを含めて4編とも、山の中であったり(月光ゲーム)、孤島であったり(孤島パズル)する。
今回も、村に閉じこめられるという、二重の密室だ。

本書で描かれた謎は、三つ。

まず、連続する殺人事件の犯人は?
総本部は、なぜ警察に届けないのか?
江神は、どういう目的で神倉村に入ったのか?

事件の犯人は、判りっこない。
江神の目的も、最後にさらっと触れられているだけ。

だが、総本部の決心については、西塔の様子からして想像がつく。


途中の冗長さに比べて、最後があっさりと終わりすぎ。
江神がなぜ  村へ来たのか、そして江神の影ある過去はどうだったのかの描き方があまりにもあっさりとしていて、こんなに長く引っ張ってきた意味がないのではなかろうか。

それにしても、江神の過去が明らかにされたということは、やはりシリーズはこれで終わりなのだろうか?

有栖川有栖 索引

女王国の城
2007年9月28日初版


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009.01.05

フレディ松川【フレディの遺言】

優しい笑顔がすてきな、大好きなあなたに、この本を送ります。

フレディの遺言

フレディ 松川〔著〕こころ美保子〔絵〕
出版 朝日新聞出版
発売日 2008.12
定価 ¥1,155 (本体 : ¥1,100)
ISBN 978-4-02-330406-2

「もし私が認知症になったら…」 何千人もの患者を診続けた老人病院院長の願い事とは? すべての人に送る介護バイブル。介護に向き合い、認知症に備える、静かな心構えと確かな知識が身に付く。

12月30日付けで紹介した天声人語で、知った本。
元旦に届いた。

前半は、著者がもし認知症になったときに、接して欲しい希望を絵本にしてある。

後半は、「家族がボケたときのために」と「自分のボケを防ぐために」、著者からのアドバイス。

その中から、元気な80代に共通する10の習慣について。

・ 天気のよい日には散歩をする
・ 魚が好き
・ 生活習慣病の治療をしている
・ 心がときめく人がいる
・ 栄養状態がよい
・ よく外に出かける
・ 好きな趣味がある
・ 寝たきりになっていない
・ 自分なりのストレス発散法をもっている
・ 心身だけでなく、経済的にも自立している

いくつ○がつくだろうか。このうち9つ実践できれば、ボケることはないという。
当然、80代になってからと言うのではなく、元気な80代になるために心がけようという意味合いだ。

さて、その為には三つの自立が必要だという。

(1) 身体の自立
(2) 精神の自立
(3) 経済的な自立

一つずつの詳細については、次で。

2月1日 追記
あざみさんの「フレディの遺言」に、トラックバックさせて頂きました。


フレディの遺言
2008年12月30日第1刷発行


| | コメント (2) | トラックバック (0)

2009.01.03

【16歳の教科書】1時間目:国語

国語担当は、金田一秀穂氏。

国語というのは、なかなかやっかいな教科だと説明した上で、国語という科目は、言語能力とコミュニケーション能力のうち、「測れるもの」だけを取り出してつくられたものと考えてもいいかもしれないと、続けられる。
繰り返すが、国語というのは、やっかいで難しい教科なのだ。

そして、「ほんとうの国語力を身につける」というテーマにとって大切なのは、「美しさ」よりも「正しさ」だと仰有る。
さらに、本当の「国語力」を身につけるために絵筆のように言葉を使おうと提唱なさる。

具体的には、「一枚の絵を言葉で書いてみる」という作業。
これは実際に、自分たちに求められる技術?なので、すんなり納得できた。
絵に限らない。

まわりの風景
何かの会場の様子
グラフが表しているもの

そういったものを、「きれい」だとか「グッとくる」といった主観を入れないで、相手が聞いて解るように説明してみる。

一度おやりになってみませんか!

関連記事
【16歳の教科書】(09.01.01)


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009.01.01

【16歳の教科書】

16歳の教科書

7人の特別講義プロジェクト&モーニング編集部〔編〕
出版 講談社(講談社新書)
発売日 2007.6
定価 ¥819 (本体 : ¥780)
ISBN 978-4-06-214095-9
利用対象 : 中学生 高校生

きみたちはなぜ、勉強しているのだろう。受験勉強を始める前、志望校を決める前に、中高生必読の特別講義。「なぜ学び、なにを学ぶのか」というテーマで、7人の講師が熱いメッセージを送る。

毎年もっと本を読もうと思いながら、目先の用向き優先でなかなか目標達成とはいかない。
今日はつれあいがチビさんたちを初詣に連れて行ったので、静かに本を読むことが出来た。


さて本書だが、「ドラゴン桜」というのは、桜木という教師が勤める龍山高校が舞台のコミックの題名らしい。
ドラマにもなっていたようだ。(桜桃さんが触れていらっしゃったかな?)
その桜木先生が「開講の辞」というまえがきを書き、各担当教科の教師たちが紹介したすごい講師陣の授業が並ぶ。
利用対象が中高生とあるのだが、大人が読んでも面白い。もう一度勉強したくなること、間違いなし。
とは言っても、特段目からウロコ的なことが書いてあるのではないが、それぞれに説得力はある。


時間割と、各教科の担当教師の紹介による講師陣。

1時間目:国語
金田一秀穂(気鋭の日本語学者) ← 芥山龍三郎
2時間目:数学(計算問題)
鍵本聰(計算力の達人) ← 柳鉄之助
3時間目:数学(図形問題)
高濱正伸(行列のできる塾講師) ← 柳鉄之助
4時間目:英語
大西泰斗(「感じる英語」の提唱者) ← 川口洋
5時間目:理科
竹内薫(ベストセラー科学作家) ← 阿院修太郎
6時間目:社会
藤原和博(教育改革の旗手) ← 桜木健二
課外授業:心理
石井裕之(カリスマ・セラピスト) ← 桜木健二


教科によっては別記事にしてみようと思う。

16歳の教科書
2007年6月20日第1刷発行
2008年11月4日第17刷発行


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.12.20

「ビルマの竪琴」水島上等兵のモデル 死去

「ビルマの竪琴」水島上等兵のモデル 中村一雄さん死去(asahi.com)

 小説を書いた竹山道雄さんの教え子が同じ隊に所属していた縁で、中村さんとコーラス隊のことを竹山さんに伝えたことから、同小説の主人公のモデルになったとされる。

小説からの印象では、現地で僧になったような気がしていたが。これも、記憶が定かではない。


関連記事
竹山道雄【ビルマの竪琴】(05.02.24)


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.12.19

内田康夫【佐渡伝説殺人事件】

佐渡伝説殺人事件

内田 康夫〔著〕
出版 角川書店(角川文庫)
発売日 1987.2
定価 ¥483 (本体 : ¥460)
ISBN 4-04-160707-8

「事件」を隠蔽する権力。それに抗う小さな魂…。政界・マスコミをも巻き込み推移する事件の真相を追い、浅見光彦は佐渡の「願」の地へ。

黒幕については、途中で(多分浅見より早く?)わかってしまう。
浅見を襲ったのを女性ということにしたのは、佐渡で花を手向けた女性と混同させるためだろうが、いささか無理があるのではなかろうか。

佐渡出身の方が本書を読むと、悲しくなってしまわないだろうか。
それほどまでに、佐渡は悲しい土地として描かれている。

プロローグがが、いつものように関係者のモノローグというのとは違って、浅見自身の書いたものだというのが これまでと少し趣向が違うようだが、やはりこれが伏線になっている。

長く忘れていた「賽の河原」の話を、思い出すことになった。幼くして亡くなった子どもたちが、賽の河原で石を積む。夕方になると鬼が来て、せっかく積んだ石を崩してしまう。
『ひとつつんでは ちちのため』
『ふたつつんでは ははのため』
こうした仏教説話を、子どもの頃よく聞かされた。
子ども心にも、仏様の慈悲というよりは逆に無慈悲に感じたのは、何故か。


佐渡伝説殺人事件


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.12.14

ノンタン

「ノンタン」の作者キヨノサチコさん、6月に死去

ノンタンの本はたくさんあったはずだがと思って二階へ探しにいったが、見つからなかった。
チビさんのところへ、行ってるのだろうか?

最初の「ノンタンぶらんこのせて」は、一体どれだけ読んで聞かせたことか。

かわりに、徹也の小学一年生の時の教科書が見つかった。



| | コメント (2) | トラックバック (0)

2008.12.13

変しい変しい……

朝日新聞朝刊天声人語は、今年の漢字「変」を取り上げていた。
「亦」と書き出すとノーヒントで判る字で、「恋」と間違うこともなかろうと続く。

ふいに、石坂洋次郎の「青い山脈」を思い出した。
そう、「戀しい戀しい」と書くべきところを、「變しい變しい」と書いた、ラブレターのことである。

最初の映画は知らないが、池辺良の高校生姿なんか想像もつかなかった。伝説の原節子が島崎先生役だった。
本を読んだのは、高校生になってからだったか?全集ものの一冊だったことは、覚えている。

石坂洋次郎の小説では、「陽のあたる坂道」が好きだ。
本の中で引用されていた、三好達治の「乳母車」も好き。これは、発表会で朗読させていただいた。

時はたそがれ 母よ 私の乳母車を押せ 泣きぬれる夕陽にむかつて りんりんと私の乳母車を押せ
この本は、石原裕次郎をイメージして書かれたと言われているが、裕次郎のさわやかな笑顔が懐かしい。この映画でも、北原三枝と共演している。

この頃は日活映画をよく見ていた。同じ作者でやはり裕次郎主演の「あいつと私」も、本を読んでから映画をみている。このときの相手役は、芦川いずみだった。


と、連想は果てしなく続く。師走の土曜日、こんなことしている涼は、やっぱり「変」?



| | コメント (0) | トラックバック (0)

奥野宣之【読書は1冊のノートにまとめなさい】

奥野 宣之〔著〕
出版 ナナ・コーポレート・コミュニケーション
発売日 2008.12
定価 ¥1,365 (本体 : ¥1,300)
ISBN 978-4-901491-84-6

多読・速読より、一冊ずつきちんと頭に落とすことが大切。「読みっぱなし」を解消して、読んだ内容を確実に自分のものにできる、ノートを使った知的生産リーディングの方法を紹介。

同じ著者の【情報は1冊のノートにまとめなさい】の、続篇のようなもの。
これも、よく売れているようだ。
読書記録も、【情報は1冊のノートにまとめなさい】で紹介された、常に持ち歩くノートに書こうという。専用の読書ノートを作るから、続かない。ふと気がついたことも、本を読んで感じたことも、何もかもノート1冊に書き込んでいく。
但し書きっぱなしではなく、あとで検索できるようにパソコンを使って検索用のファイルはキチンと作っておくべし。

読書を特別なことと考えないで、日常インプットしてきたことを書き留め、アウトプットに繋がるメモを残しておく。
実は専用ノートを使っていても書く内容は大差ないような気がするが、なるべくその場で書いて忘れないうちに形にしておこうというものだ。

オヤッと思ったのだが、本の表紙を剥いてそのまま持ち歩くのは、自分もしている。気に入ったブックカバーはあるのだが、持ち歩くのに少しでも軽量化を図りたいという、単純にそれが最初の理由だった。
剥いた表紙や帯は、バスケットに入れているので、(常に複数ある)現在読んでいる本のカバーや帯が、そこに収まっている。
今チラッと見てみると、随分たまっているなぁ。読みさしで読了していない本の、何と多いことよ。

最終章に著者が使っている様々なツールが紹介されているが、その中で「これはいい」と思ったものを注文してしまった。
その辺に起きっぱなしになっている本の整理に役立つか、それともものが一つ増えたに留まるか。


読書は1冊のノートにまとめなさい


| | コメント (4) | トラックバック (0)

2008.12.10

内田康夫【薔薇の殺人】

薔薇の殺人

内田 康夫〔著〕
出版 角川書店(角川文庫)
発売日 1994.10
定価 ¥483 (本体 : ¥460)
ISBN 4-04-160731-0

浅見光彦の遠縁の大学生緒方聡が女子高生誘拐の嫌疑をかけられた。人気俳優と「宝塚」出身の女優との秘めやかな愛の結晶だった彼女は、遺体で発見された。浅見は悲劇の真相を追い、乙女の都「宝塚」へ。

女の園である宝塚歌劇団では、華やかな半面妬みや嫉妬も多いと聞いたことがある。
本書はそうした抜擢や人気への妬みではなく、人が本来持っている「愛されたい」という感情が招いた悲劇かもしれぬ。

光彦の母雪江夫人が、熱烈な宝塚ファンだったというのが、微笑ましい。
雪江夫人が挙げた宝塚出身の女優の中に、乙羽信子の名前があったのは、当時のスタートしては当然だが、少し笑える。
そういえば、母も「100万ドルのえくぼ」の持ち主、乙羽信子のファンだったっけ(映画女優としての乙羽さんだが)。


浅見光彦と言えば、色んなタレントがテレビで演じているが、何故か水谷豊が印象的だ。その際の雪江夫人役が乙羽信子で、兄は高橋悦史だった。お二人とも、鬼籍に入っていらっしゃる。


さて、本書でも光彦の執拗なまでの調査によって真実が明らかになるのだが、最後はあまりにも悲しい。

薔薇の殺人
平成6年10月26日初版発行
平成20年7月15日31刷発行


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.12.07

【このミステリーがすごい! 2009年版】

このミステリーがすごい!


出版 宝島社
発売日 2008.12
定価 ¥500 (本体 : ¥476)
ISBN 978-4-7966-6716-6

やったー、一位が伊坂さんの【ゴールデンスランバー】。
しかし、単行本を買ったものの、未読状態。家ではなかなか、読む時間を見つけられないのだ。
正月中に、がんばって読んでしまおう。

海外物でも、S・J・ローザンの【冬そして夜】が、7位に入った。


裏表紙に、過去20年間の「このミス」1位作品が掲載されている。
以下、読んだ本。

原りょう【私が殺した少女】(89年版)
これで、沢崎ファンになった。

大沢在昌新宿鮫(91年版)

高村薫【マークスの山】(94年版)

高村薫【レディ・ジョーカー】(99年版)

天童荒太◆【永遠の仔】(00年版)

宮部みゆき◆【模倣犯】(02年版)

横山秀夫【半落ち】(03年版)

歌野晶午葉桜の季節に君を想うということ(04年版)

そして
東野圭吾容疑者Xの献身(06年版)

こうしてみると、あまり読んでないなぁ。


このミステリーがすごい!


| | コメント (2) | トラックバック (0)

2008.11.19

私本管理プラス

昨日紹介した【私本管理】ですが、プラグインを入れることで、Amazon以外の検索も可能なようです。
さらに、CDやDVDの管理も出来るみたい。

ということで、バーコードリーダーをお持ちの方には、かなりお勧めです。

TRC検索がしたいのですが、今のところ導入する気になれないでいます。
でも、TRC検索にはたいおうしているのかな?



| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.11.18

私本管理

バーコードリーダーを買った。
私本管理なるものをするためだ。

フリーのソフト【私本】をインストールして、書籍のカバーにあるバーコードを読み取る。Amazonにリンクしていて、そこから瞬時(とは言えないが、)「しばらくお待ちください」というメッセージが出て、やがてタイトル名や著者名はもとより、内容紹介までが入力される。

あとは、自分でそれぞれ好きなことを入れていくという寸法。

ちょっと残念なのは、リンク先が指定できないこと。備考欄の一つを使ってここで書いた記事のURLを入れておく。

これで、一応自分が所有した本をデータベース化出来るし、過去の記録として本を処分していくことが出来る(だりろうか???)


他にも、「図書管理システム」で制作した蔵書の管理にも使えるかな。


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.11.14

日経パソコン11月10日号

Nikkeipc0811

今号の特集1は「キーボード&マウスの極意」で、特集2は「ミニノート購入ガイド」だ。

キーボードのテクニックについては、特に目新しいものはない。
新しいソフトを使う時、極力キーボードからの操作を見つけるよう努めているから?

さて、「ミニノート購入ガイド」について。
先日ある人と、「メールとWebのチェックだけなら、ミニノートもありかな」などという話をしていた。
ところが、この特集で見る限り、大きさはともかく 重さはあまりメリットがあるとは言えないのだ。それに、バッテリーの持ちもあまりいいものは、ない。

1300gだと、レッツノート(W)の方が軽い。バッテリーのことを考えれば、さらに軽さでのお得感がある。

ということで、結論としては今のところあまり魅力を感じない。

それよりも、先月号で紹介されていたレッツノートの新シリーズ【F】。いいなぁ!


「ピリ辛ソフト」で、「縮小専用」というフリーソフトが紹介されていた。
ブログなどへアップする際に、ドラッグ・アンド・ドロップで縮小された画像(JPEG)がつくられるというもの。
なかなかすぐれもののようだし、入れてみようかな。


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.11.12

星新一【午後の恐竜】

午後の恐竜

星 新一〔著〕
出版 新潮社(新潮文庫)
発売日 2007.11
定価 ¥420 (本体 : ¥400)
ISBN 4-10-109811-5

人が一生を終える時、それまでのことが幻影として駆けめぐることがあるという。
それでは、地球が滅びる前兆としては、どんなことが起きるのだろう。
地球滅亡を測る人物が、水爆をたくさん持って姿を消した。そして街中には恐竜が現れた。
子どもたちは無邪気に喜んでいるが……

という話の表題作【恐竜の午後】を始め、単に近未来の話としてではなく、ブラックユーモア的なちょっと怖い話が続く。

買い物一つするにも、いちいち契約をしなければならない。しかも様式は(弁護士会の陰謀によって)クルクルと替わる。都度、弁護士を雇うしかない。そうでないと、いつ落とし穴にはまるか判らない【契約時代】。


夢はどうして見るのだろう。
それは、夢を見せる一座がいて、俳優が演じてくれているから。
という話の【俺の一座】。


【華やかの三つの願い】は、自殺志望の女性が悪魔に出会って、三つの願いを聞いて貰うというもの。
二つまでは、夢が実現してもガッカリすることが多かった。
そして三つ目の彼女が最後に選んだ願望とは……


といった、ショートショートよりは少し長い11編を収録。


果たして、文明は進化したのか?

午後の恐竜


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.11.11

星新一【にぎやかな部屋】

にぎやかな部屋

星 新一〔著〕
出版 新潮社(新潮文庫)
発売日 2007.11
定価 ¥380 (本体 : ¥362)
ISBN 978-4-10-109820-3

著者にしては珍しく、ショートショートではなく、中編だ。

マンションらしきところの一室。住民は、三人。父と母と娘。
ところが、それぞれの背後には、霊がとりついている。
娘の霊は、まだ霊になったばかりの老人。現世では、会社の社長だったようだ。
父母についているのは、現世で結ばれず心中をした若い男女。

父親の仕事は、金融業。というより、金貸しだ。母親は、占いを業としている。
このマンションの一室がそれぞれの職場で、お客によって暗い神秘的な部屋にもなれば、明るいビジネスの場にもなる。

そこへ登場する、お客たち。それぞれ自分たちの霊を連れてくる。当然、生身の人間には霊は見えないし、声も聞こえない。


と、まるで舞台を見ているような展開だなと思って読んでいたのだが、著者自身のあとがきによると、戯曲を書いて欲しいと言われて完成した作品のようだ。

こうして、一幕ものの舞台には、様々な人たちが入れ替わり立ち替わり現れ、消えていく。

登場人物それぞれに、イメージする俳優を当てはめて読めば、又違った楽しみ方が出来よう。


にぎやかな部屋


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.11.06

星新一【ふしぎな夢】

ふしぎな夢

星 新一〔著〕
出版 新潮社(新潮文庫)
発売日 2005.9
定価 ¥500 (本体 : ¥476)
ISBN 4-10-109852-2

没後の作品集『気まぐれスターダスト』を再編集。 星新一の異次元ワールド満載の一冊!
星さんシリーズ?の、二作目。

表題作の【ふしぎな夢】が、楽しめた。

昭一は、毎晩ふしぎな夢を見る。
その夢には、いつも同じ少年が登場し、昭一と彼は仲良く遊ぶ。だが、夢で見るその少年は昭一が知っている友だちの中にも、有名人の中にもいない。

ある日、近所の子を遊園地へ連れて行った昭一は、観覧車乗り場で夢の中の少年と出会う。少年も又、昭一を夢で見ていたという。
話をしているうちに、乗る予定だった観覧車は出発してしまうが、その観覧車は……

という話。

もう一つ、東京を舞台にしてふしぎな光をあやつる犯罪が起きる【黒い光】が、面白かった。これも、少年二人が活躍して事件の解決へと導く。

あとは、近未来のロボットや他の星の宇宙人が出てくる話ばかりで、正直この手の話には弱い。

まだまだ、現実は星さんの予知世界には到達していない。

ふしぎな夢
昭和60年9月25日発行
平成18年3月20日21刷


| | コメント (2) | トラックバック (0)

2008.11.04

星新一【ノックの音が】

ノックの音が

星 新一〔著〕
出版 新潮社(新潮文庫)
発売日 1985.9
定価 ¥380 (本体 : ¥362)
ISBN 4-10-109833-6

サスペンスからコメディーまで、「ノックの音」から始まる様々な事件。意外性あふれるアイデアで描くショートショート15編を収録。

ちとワケありで、読んだ本。
「ショートショートの神様」星新一は、本書の刊行時である20年以上前に読んでいた。
今読んでも、あまり古くささは感じない。
それは、著者の表現上の心づかいの賜だろう。安心して笑って読めるものが多い。


一つだけ、ネタをばらしておこう。

【和解の神】

些細なことからケンカをして、夫の「出ていけ」という言葉に妻が家を出て行った夫婦。
性格が似ている二人は、どちらも自分から謝るのが嫌で、事態はなかなかよくならない。夫は、ただ神に祈るのみ。

そんな時、夫のところへ妻から手紙が届いた。自分が悪かったと謝り、新婚旅行で泊まったホテルで再会しようという誘いだ。
夫は誠意を見せるため、約束の時間より早く着いて、妻を待つ。

やがて、ノックの音と共に妻が現れる。
すっかり仲直りした二人だが、妻のところへも夫からの和解の手紙が来ていたという。夫は、神に祈ったからではと思う。

実はそれは妻の策略で、夫に手紙を出すと同時に、夫の名前で自分宛にも出していたのだ。
双方のプライドを尊重しつつ、円満解決!


ノックの音が
昭和60年9月25日発行
平成18年3月20日21刷


| | コメント (6) | トラックバック (0)

2008.11.03

岡田淳【フングリ コングリ】

みなさんこんばんは、ニャムです。
今日は、みなさんに ボクがとびきり面白い本をごしょうかいします。母さんは、この本を読みながらケラケラ笑っていました。

フングリ コングリ

岡田 淳〔作・絵〕
出版 偕成社
発売日 2008.10
定価 ¥1,050 (本体 : ¥1,000)
ISBN 978-4-03-610150-4

ぼくは小学校で図工の先生をしている。ある日、放課後に資料づくりをしていると、シジミチョウに話しかけられて…。放課後の図工室を訪れる、ふしぎなお客たちとは? 表題作ほか全6話を収録。

この本を書いたのは、もと図工の先生です。ご自分のたいけんかなぁ。ふしぎな力を持った先生で、動物の話す言葉がわかるのですよ。
全部で六つのお話しがありますが、ネコも聞き手の一人として、とうじょうします。でも、ざんねんながら、登場人物?には出てこないの。

本の題名にある「フングリ コングリ」というのはね。

右手の親指と左手の人さし指をくっつけて、それよりもすこし上のところで、右手の人さし指と左手の親指をくっつける。それと同時に、さきにくっつけていた右手の親指と左手の人さし指をはなし、つながっている人さし指と左手の親指よりもすこし上の位置で、もういちどくっつける。
すると、だんだん手が高いところへあがっていくから、がまんしてがまんして、手がのぼっていくのを出来るだけおくらせるんだって。

そのうちに、からだがスッーと上へあがりはじめるの。でも続けて「フングリ コングリ」をしていると、からだはてんじょうをつきぬけて、にかいのてんじょうも屋根もつきぬけて、どんどん上っていくの。
えっ?つかれたり、おりたくなったらどうしたらいいかって?

それはね、この本を読んで下さいね。


母さんが一番好きだったのは、「かっくんのカックン」だって。
「カックン」という遊びは、皆さんもしたことがあるでしょ。ほら、ボヤッと立っている人の後ろへ回って、ひざの後側をチョコッとつつくの。すると、つつかれた方はガクッとひざをおる、あの遊びのことです。

かっくんはね、とてもふしぎな少年で、かっくんがカックンをすると、相手の人は「かっくんのカックン」と言って笑い出してしまうの。
そして、怒っていた人は「まぁ、いいか」なんて言いだすし、みんながやさしくなるの。

かっくんは色んな人に「かっくんのカックン」をして、まわりがなごやかになるというお話しです。

これを読むと、かっくんがいなくても、「かっくんのカックン」と言ってみるだけで、おだやかな気持ちになれるって、母さんが言ってました。

他にも、クラスのみんながじゅもんをとなえてとうめい人間になるお話しだとか、席取りをする遊びの「フルーツバスケット」のお話しだとかがのっています。

小学生の子どもがいるお父さんやお母さんは、ぜひ子どもさんといっしょに読んでみてくださいね。
あ、大人が読んでも面白いよと、母さんが言ってます。

フングリ コングリ
2008年10月初版第1刷


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.10.31

「砂の器」と「氷の華」

昨日の氷の華で、何だかモヤモヤとしている旨、書いた。

以下、ネタバレあり。

本の中でも和歌子と隆之の「道行き」で、「砂の器」になぞらえて証拠の紙を細かくちぎって車外(註)に撒く場面がある。
(註)列車と車からという時代の違いがうかがえる

また、ラストシーンで「砂の器」を連想するという文にも出会った。

しかし、なにか納得できない。

そう、「砂の器」の場合、主人公に肩入れできるのに、「氷の華」の場合はそれがないことだろうか。
恭子は「何処までも凜として」とあるが、先の二人も含めた自分勝手な三人に、同情の余地がないと思うのだ。


ドラマのラストシーンは、少しちがうのだろうか?


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.10.30

天野節子【氷の華】

氷の華

天野 節子〔著〕
出版 幻冬舎(幻冬舎文庫)
発売日 2008.6
定価 ¥720 (本体 : ¥686)
ISBN 978-4-344-41155-5

結婚12年の隆之と恭子は、誰もが羨む夫婦生活を送っていた。ある日、恭子のもとにかかってきた夫の愛人と名乗る女からの電話。そこで告げられた事実が、彼女を殺人へと駆り立てる。罠が罠を呼ぶ、本格ミステリー。

なによりも、著者のデビュー作品で、しかも刊行当時60歳というのに驚く。
最初は自費出版だったという。
それを、周囲の編集者たちが作品に惚れ込み、手直しをして昨年出版されたのだという。


本書もいわゆる犯人は判っており、カバーに書かれている粗筋を知ってから読むと、途中で罠を仕掛けたのが誰かは見当が付く。
しかしその後の持っていき方もうまく、最後まで一種のどんでん返しが待っている(とはいえ、最終部分は当然予測の範囲内だが)。

心理サスペンスというには、何だかちょっと物足りないものを感じる。
かといって、単純な謎解きのようなワクワク感にも乏しい。うーん、何なのだろう?

刑事戸田の描き方は面白かったが、そのいわゆる「勘」も、(話の筋という)あらかじめ決まってしまっているところから逆に導き出されるような不自然さ(戸田の推測=既成の事実)が弱いような気がする。

婚家に置いてきた子どもと暮らすことだけを楽しみにつましく生きてきた関口真弓、孫の喜ぶ顔見たさにパチンコの景品にチョコレートを選ぶ、ひき逃げされた加賀作治郎。
恭子、そして瀬野隆之や「和歌子」の身勝手の犠牲になったこの二人が、ひたすら哀れである。

最終部分の恭子のセリフ

……わたくし、誰にも屈しません。もちろん、警察という権力にも。……
有り余る資産を持ち、友人たちに羨まれていても、真に幸せだったのかどうか……


朝日新聞の書評欄は、

本書により恭子と著者、2人のヒロインが誕生した。
と、結んでいた。


米倉涼子主演でのドラマでは、舞台は病院であり、ヒロイン恭子は病院の理事長であり ピアニストという設定のようだ。
しかも、ひき逃げの犠牲者は恭子の叔父だ。この方がインパクトが強いのかもしれないが。
ここでも、所轄の若い刑事に替わって、女性刑事が登場しているようだ。

氷の華
平成20年6月30日初版発行
平成20年7月10日2版発行


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.10.29

【男の隠れ家 12月号】

男の隠れ家12月号男の隠れ家12月号
定価:680円
出版社:あいであらいふ

本屋でボンヤリ棚を眺めていて、発見。
勿論、特集の「落語春秋」に反応したもの。
そして、お目当ては「襲名特別インタビュー桂米團治」だ。


いつも枕で父上である「人間国宝」について触れられるが、偉大な親を持った宿命を背負って、やはり30年間の忸怩たる思いというのはおありだったようだ。

意外というか、いや当然だったのだろうが、関学在学中に弟子入りするまで稽古場へは入れて貰えなかったという話。
階段の下で、稽古の様子を聞いていたという。
弟子入りしても退学せず大学生活との二足のわらじを続けていた。そしてそれが縁で、四代目米團治や父米朝の関学での関わりを知ることになる。

……見えないつながりが見えてきて、ひとつにつながった。関学に行った意味も、米朝の家に生まれた意味も、他の一門に行かなかった意味も全部つながってきて、米團治を名乗るために今までがあったのか、ということで、腑に落ちたんです


先日、「情熱大陸」で、襲名披露公演に焦点をあてていた。
受けなかった「百年目」に悩み、襲名披露に出すものに悩み、結局結論を出した。ジンとくる最後だったが、このインタビューでもそうした面がうかがえる。

八坂神社では、子どもの頃父から教わった「五十五円」という小咄を奉納した五代目米團治。大きなプレッシャーではあっても、決して他のものが手にすることが出来ない恵みを得て、そうした環境・運命をこれからも良い面で出していって欲しい。


(落語家として)本気になるのが遅かったという声もあるが、いえ、人間本気になるのに遅いということはない。


本誌の他の記事については、割愛。



| | コメント (2) | トラックバック (0)

2008.10.13

内田康夫【十三の墓標】

十三の墓標

内田 康夫〔著〕
出版 角川書店(角川文庫)
発売日 1991.8
定価 ¥504 (本体 : ¥480)
ISBN 4-04-160721-3
(画像は実業之日本社のJOY NOVELS)


警視庁捜査一課、岡部警部の部下・坂口を5歳の姪が訪ねてきた。両親が帰ってこないと言う。やがて姉夫婦は他殺体で発見された。姪が聞いた「イズミ」という言葉を手掛かりに、坂口は真相究明に乗り出す…。岡部警部シリーズ。

著者のあとがきに、取材にエネルギーを使ったとある。さもありなん!和泉式部の墓所が舞台で、その数十三。
全部は無理として、佐賀県有明町、京都府宮津の天の橋立、兵庫県の余部大鉄橋、長野県諏訪市の温泉禅寺、栃木県矢板市、福島県石川町など、十ヶ所近くを取材なさったそうだ。

同じ旅情ミステリーでも、内田作品はその地方のことを丹念に調べてあると思う。それだけに、事件の方がやや影が薄くなるのは、高田崇史の作品と共通するところがある。

せっかくの和泉式部の墓標という背景を得ながら、この使われ方が少々残念だ。
しかし、ちょうど余部鉄橋の事故があった1986年が舞台で、丹後地方の描かれ方は綿密だった。


岡部警部シリーズとして、テレビドラマになっていたようだ。原作とは違って、マッチ演じる岡部警部が主役だったという。
本書の警部は、やや年上の感じだし、マッチ的岡部警部なら、この主人公坂口が相応しいのだろう。


十三の墓標
平成3年8月10日初版発行
平成20年8月30日39版発行


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.10.07

【おくりびと】

滝田洋二郎〔監督〕小山 薫堂〔脚本〕百瀬しのぶ〔著〕
出版 小学館(小学館文庫)
発売日 2008.7
定価 ¥460 (本体 : ¥438)
ISBN 978-4-09-408284-5

何だか感動が薄いなぁと思いながら読んでいたが、これは映画の原作ではなくて、ノベライズだった。
原作無しの、オリジナルなのかな?

それでも、映像で見ると違った感情が沸いてくるのかもしれない。
みーんな、いい人。
でも、子どもの問題をそのままに、解決したと言えるのだろうか。


チェロの演奏が流れるなか、庄内平野や白鳥の映像は美しいだろう。

何ヶ所か、隣り合わせの生と死を対比させて描いた個所もあるようだ。

「たいていの生き物は、自分の命を保つために他の命を犠牲にする。そういう死にはみんな目をつぶるんだよ」


モックンのチェロ演奏がなかなか堂に入っていると、yoshiさんが書いておられたっけ。

2月23日追記
ココログの瞬ワードにトラックバック

おくりびと


| | コメント (4) | トラックバック (0)

2008.10.05

東野圭吾【容疑者Xの献身】

容疑者Xの献身

東野 圭吾〔著〕
出版 文藝春秋(文春文庫)
発売日 2008.8
定価 ¥660 (本体 : ¥629)
ISBN 978-4-16-711012-3

【直木賞(第134回)】【本格ミステリ大賞(第6回)】天才数学者でありながらさえない高校教師に甘んじる石神は、愛した女を守るため完全犯罪を目論む…。数学だけが生きがいだった男の純愛ミステリー。『オール讀物』連載を単行本化。

このような献身があり得るのか?
最後は、それが報いられたとは思えないが、しかし受け入れられるものでもなかろう。

最良のライバルは、真の友人になる。
その湯川が好敵手と認めた同期生が、今回の容疑者である。彼の苦悩は、計り知れない。
同じく同期の草薙との友情を終わらせてでも、湯川は容疑者Xを守ろうとする。


冒頭、石神がわざわざ職場(高校)への道を遠回りして河川敷を歩いていく。
そして、この河川敷に住まうホームレスたちの暮らしぶりを丹念に描いていく。この石神の観察力が、実は伏線になっている。

次にこの場所が登場したときの描き方で、オヤと思わされる。この辺の描写はうまい。ここがずっと引っかかっていたのだが、やはりそれが最後の謎解きと結びついていた。

このトリック?を使っての完璧なアリバイ作りによって、石神は、生きる希望を与えてくれた靖子母子に報いようとする。まさに、献身である。


石神が容貌を気にすることで、彼の恋心に気づいた湯川は、やはり朴念仁ではない。
何とも切ない、ミステリーではある。


コロンボ式(犯人が判っていてそのアリバイ等を崩す)やり方に見えて、著者はもう一ひねりしている。いつもの、東野ワールドである。


映画が封切られた模様だが、テレビと同様女性刑事が登場するようだ。
容疑者Xの献身


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.10.01

【日経パソコン 8月11日号】

Nikkeipc080811
かなり古い号だが、特集の一つが「ブラウザー三刀流」というものだった。

現在、またもココログの閲覧ができないという状態が、今回はかなり多くのブログで起きている。
ココログが9月始めに行ったメンテナンスの副作用で、しかもその経過報告が全くなされていない。
一旦回復したかに見えても、時間を於くと再び見えなくなる。
これでは、更新する意欲もなにも失せてしまう。なにより、自分のブログが見えないのだから、いただいたコメントにお返しもできないと嘆くブロガーさんもいらっしゃる。

しかし、これはIEだけであって、他のブラウザで見る限りは問題ない。

そこでこの特集だが、いつまでもIEに頼るのではなくて、他のブラウザを試してみようというお勧めだ。
本書では、TPOでFireFoxなどIE以外と IE、それに特定サイト専用ブラウザーなどを使い分けようと、様々な使い方を紹介している。

IE以外で紹介されているのは、FireFox 3、Opera、Safariと2チャンネルやYouTubeなどの専用ブラウザー。ヤフオク専用ブラウザーというのもある。

Safariは、iTunesを入れると自動で入ってくる。しかし、XP以上でないと使えないので、ここ(デスクトップ、まだ2000Pro)ではFireFoxを入れている。


もう一つの特集は、「オンラインストレージの住み心地」で、これも今使っているサービスも含めて面白かった。



| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.09.29

S・J・ローザン【冬そして夜】

冬そして夜

S・J・ローザン〔著〕直良和美〔訳〕
出版 東京創元社(創元推理文庫)
発売日 2008.6
定価 ¥1,365 (本体 : ¥1,300)
ISBN 978-4-488-15309-0

タイトル通り、暗く重い一冊。BGMは、バッハ。

11月の深夜、警察署へ呼び出された私立探偵ビル・スミスは、甥のゲイリーと思わぬ再会を果たす。なぜニューヨークへ来たのか話さぬまま、再び姿を消した甥を捜すため、甥一家が住む町ワレンズタウンを訪れたビルと相棒のリディアは、アメリカン・フットボールの盛んな町が抱える歪みと秋分に、否応なく直面するのだった。私立探偵シリーズ第8弾。

高校生は、大人か子どもか?
アメリカで一番人気のあるスポーツは、フットボールだ。そして、フットボールで活躍する選手は、皆の憬れである。
そのことと、何をしても許されるかということは、当然別の次元の問題である。
むしろ、英雄であればこそ身を正してというのは、大人の勝手な言い分か?

本書ではまた、ビルの甥が係わった事件ということで、否応なく彼の過去にまで触れられている。
なぜゲイリー(甥)の父、ビルの妹の夫はこれほどまでビルを嫌うのか。これまでビルが過去の話をしなかったのは、何故か。

自分の若い頃を見るような思いで、ビルはゲイリーを案じ、探し続ける。

事件が一応の解決を見たとしても、街は変わらずフットボールを崇め続けるのかもしれない。ちょうど、22年前の事件が尾を引いていたように。


そうした暗い背景にあっても、ビルとリディアのかわす会話の、何と洒落ていること。
彼らの関係に、多少の進展が見られるのか。


2003年度「アメリカ探偵作家クラブ(MWA)最優秀長編賞」受賞

冬そして夜


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.09.28

◆高田崇史【鬼の城伝説】

鬼の城伝説

高田 崇史〔著〕
出版 講談社(講談社文庫)
発売日 2008.3
定価 ¥770 (本体 : ¥733)
ISBN 978-4-06-276002-7

岡山県総社市の外れ、鬼野辺家に伝わる釜には、鳴ると主が死ぬという言い伝えがあった。そして、不吉の釜が鳴り、土蔵に長男・健爾の生首が。事件に遭遇した崇は、事件の核心「桃太郎伝説」の騙りを衝く! 「QED」第9弾。

皆さんは、「桃太郎」をご存じですね。

もーもたろさんももたろさん
おこしにつけたきびだんご
ひとつわたしにくださいな
やりましょうやりましょう
これからおにのせいばつに
ついていくならやりましょう
(著作権消滅)

そして、最後の場面は鬼の金銀財宝を積んで、村に凱旋する桃太郎一行。

さて、その鬼は、どんな悪いことをしたのでしょう?


ここから、本書について

いつものように、棚旗奈々は(そしてこのところは妹の沙織も)、出かけた先で事件に巻き込まれる。
総社へ出かけてきて、その歴史的な解説を担当するのは、地元の二人の女性という設定。奈々たちの観光と事件とを交互に語っていく手法も、これまでと同じ。ただ、その事件の関係者の一人が、案内役の女性たちの友人である。

従って、先の二篇(「鎌倉の闇」と「龍馬暗殺」)よりは、多少事件への関わりは深くなる。

そして、頃合いを見て崇(タタル)登場。

「たたら」について触れていたのは、どの話だったか?奈々がよく、「崇が話していたが、忘れてしまった」とつぶやいているが、まさにその通りだ。つながりがあることも、どの本の中のどの話で出てきたのか、よく思い出せない。

古の神話的世界の絵解きにはいつもながらの切れ味を認めても、現代の事件における実行犯の一連の凶行にはどうしても納得しがたい点を感じる向きもあるかもしれない。
という解説氏の言葉に賛意を表するものだが、げに恐ろしきは刷り込み教育と言えるかもしれない。

実行犯もまた、被害者なのだ。


「鬼」に対する認識が変わるかもしれない、という点で評価できるかもしれない。
そして、権力に対する崇のズバッとした物言いは、小気味よい。

鬼の城伝説


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.09.16

◆高田崇史【龍馬暗殺】

龍馬暗殺

高田 崇史〔著〕
出版 講談社(講談社文庫)
発売日 2007.3
定価 ¥840 (本体 : ¥800)
ISBN 978-4-06-275676-1

高知の山奥にある蝶ヶ谷村。嵐による土砂崩れで麓への一本道が塞がれる中、殺人と自殺の連鎖が十人の村人たちを襲う。巻き込まれた事件の最中、崇たちは竜馬暗殺の黒幕を決定づける手紙の存在を知り…。「QED」第7弾。

これまでのQEDシリーズの中で、もっとも年代的に近いもの。そう、たかだか100年ちょっと前に起きた話だ。
今回は、先日(といっても8月20日だから1か月近く前)書いた鎌倉の闇の、一つ前のもの。どうやらこの回から、奈々の妹沙織が登場している。

いつもは崇の独壇場になる歴史の説明だが、今回はそれに龍馬フリークの沙織が加わり、更に奈々の後輩美鳥も一緒に解説に廻る。
ところは、高知の山奥。そこに美鳥の実家がある。美鳥に招かれて奈々たちはその過疎村へ赴く。村人たちは余所者に冷たい。
その中で起きる殺人事件。道路が通れなくなった深夜、奈々たちは龍馬暗殺の謎を話し合う。どうやらこの村に、その謎を解く鍵になる文書があるということがわかる。

龍馬暗殺の謎は、これまでも(これからも?)多く語られてきたことだし、本編の話もその範疇を出ない。美鳥が丹念に調べた資料を元にした話は、新鮮みはないが面白い。


話が京都中心ではあるが、幕末のことでもあり、「お江戸オフな皆さま」にも充分楽しんでいただける一編ではなかろうか。
但し、今回は少し薄まったとはいえ、崇の言動には慣れないと少々驚かされるのでそのおつもりで……

龍馬暗殺


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.08.31

岡田斗司夫【脱デブ】

脱デブ
なぜ芸能人はレコーディング・ダイエットにはまるのか
なぜ1年以上たってもリバウンドしないのか

岡田 斗司夫〔著〕
出版 ソニー・マガジンズ(ソニー・マガジンズ新書)
発売日 2008.8
定価 ¥819 (本体 : ¥780)
ISBN 978-4-7897-3323-6

食べたものと体重をメモするだけ! 運動もがまんもしない、心理ゲーム的ダイエット「レコーディング・ダイエット」。1年で減量50キロの成功体験から導かれた、やせるコツ100を紹介。

いつまでもデブと思うなよの姉妹篇。

朝日新聞8月24日付書評欄「話題の本棚」にも掲載。

男性向けに書かれたものだったが、意外と女性読者が多かったので姉妹編として出版されたのだという。
要点を100にまとめて順にステップを踏んで実践していけるようになっている。

今年始めて、ドックで「腹囲」の測定があった。メタボリックシンドロームという言葉に戦々恐々としている方もおられるかもしれない。

しかし自分が本書を購入したのは、先の書評にあった、

「記録」で部屋も片づくという。
という「ひとこと」かもしれない。

内容は、「いつデブ」と殆ど同じ。
5つのステップを、焦らず毎日実践しようということ。一遍ずつが独立したコラムのようになったいるので読みやすいし、元の本を読んでいなくてもいい。ただ、著者の背景など、楽しめる要素が前書には多かった。今回は実践編?と言えるかもしれない。

しかし、言うまでもないことだがこうした本に過剰に反応することもないと思う。自分は一種の娯楽感覚で読んでいる。

体重は公開しませんが(苦笑)、体脂肪率はドックで23.5だったので、まぁまぁかなと……

脱デブ


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.08.20

◆高田崇【鎌倉の闇】

鎌倉の闇

高田崇〔著〕
出版 講談社(講談社文庫)
発売日 2007.9
定価 ¥600 (本体 : ¥571)
ISBN 978-4-06-275821-5

銭洗弁天、鶴岡八幡宮、御霊神社…鎌倉をそぞろ歩く奈々、沙織の棚旗姉妹に、桑原崇が説く「鎌倉=屍倉」の真実! 源三代にまつわる謎の答えが、闇の中に白く浮かび立つ!「QED」第8弾。

武家政治を開いた頼朝は傀儡であったことや、源家三代(頼朝・頼家・実朝・公暁)の悲劇と共に、鎌倉の歴史的暗部を崇に語らせている。

並行して、鎌倉市内のとある会社で起きた事件の話とが、交互に展開する。
あまり大部でない本書の半分が、鎌倉の暗部についての話で占められている。
そして、これまでのシリーズと違って、崇達は直接事件に係わってはいない。最後部、崇は言う。

これから起こりそうな事件を未然に防ぐためならば、いくらでも協力を惜しまないが、すでに起こってしまった事件の解決ならば、専門家に任せておいた方がいい。

崇の話の中には杉本苑子氏の考証といった言葉も散見され、単に小説としてというだけではなく、かなり事実に近い部分が多いように思う。
杉本苑子氏と言えば、「新とはずがたり」で鎌倉を描いている。

『五名水』や『鎌倉七口』と呼ばれる切り通しのことなど、以前から関心のあった興味深い話も多い。


しかし、スペースの関係もあるのか、肝心の事件については、ややおざなりな感がある。
社長ではなく副社長が実質的な権力者で、社長は傀儡に過ぎなかったというあたりで、頼朝と北条家との類似性を持たせようとしているのかもしれぬが。
両者とも『名前さえあれば存在していなくとも良かった――』

最後にひとり「ほくそ笑む」関係者にしても、あまりにも唐突な感がある。


本書の前作「龍馬暗殺」から参加しているらしい奈々の妹沙織が騒々しく邪魔である。

鎌倉の闇(くらやみ)


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.08.17

ヴェルヌ【十五少年漂流記】

ジュール・ヴェルヌ〔著〕波多野完治〔訳〕
出版 新潮社(新潮文庫)
発売日 1990
定価 ¥420 (本体 : ¥400)
ISBN 4-10-204401-9

中学時代、全集ものでスティーブンソンの「宝島」を読んだ時、後ろに(おまけのように)ついていたのが、「二年間の休暇」だった。両書ともダイジェストではそれまでに読んでいたのだが、(おそらく)完訳で読むのは初めてだったろう。
そして、メインである「宝島」よりも、「二年間の休暇」と題された、それまで「十五少年漂流記」としてストーリーのみを知っていた物語の面白さに引き込まれたのだった。

その時は、フランス人の少年が極めて「かっこよかった」ことが非常に印象に残っている。ストーリーの方は、少年たちの乗った船が漂流して無人島に流れ着き……といったことしか覚えていないのだが。

今回再会したその少年ブリアンは、ずっと抱いてきた期待を裏切らない、魅力的な少年だった。
前回あまり印象に残っていなかったが、最年長(5年生で14歳)のアメリカ少年ゴードンも、思慮深く素敵な少年だ。
敵役の少年の描き方など多少類型的なところはあるが、彼らは協力して「共和国」を「建設」していく。そこで選ばれるのが「大統領」というのも、メインがイギリスの少年たちであるにしては少し不思議な印象はある。著者がフランス人であるから、当然なのかもしれないが、学校も当然 イギリス式であるだろうに。
また「大統領選挙」の投票数が14票で1票足りないが、黒人少年コックのモーコーは、当然のように数に入っていないのだった。


波多野完治氏の訳は、シンプルで読みやすい日本語になっている。地図の矛盾を修正するなど、多少の改変もあるという。
こうしたワクワクする翻訳物を、もっと読みたくなっている。
それは、宿題のことなど忘れて読書にふけっていた、中学時代の夏やすみの記憶とも繋がるのだ。


十五少年漂流記
昭和26年11月18日発行
平成2年5月25日66刷改版
平成20年6月15日94刷


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.07.25

家定の悲哀

堺雅人さん演ずる(演じた?)、「篤姫」の家定役が好評だったようだ。テレビの横を通りかかったときが家定登場場面だった時は、思わず見入ったりしていた。

表向き暗愚な将軍だが、実は……という設定のようだ。

それで思い出したことがある。
松本清張の歴史物短篇で、この家定と側近を取り上げていた。タイトルも内容の詳細も忘れてしまったが、家定は話していることもよく伝わらないという人物に描かれていたような気がする。
その側近が何もかも将軍の代理として、意思を伝えていた。

ところが家定の臨終近く、ふと彼は何もかもわかっていたのではなかったかと、愕然とするという話だった。
その、愕然としたところで、話は終わっていたと思うのだが……。

うーん、はっきりさせたいなぁ。
ご存じの方は、いらっしゃらないだろうな。


| | コメント (2) | トラックバック (0)

2008.07.24

ハリーポッター 最終巻発売

一昨日夜、リスナーからの電話。

「あのー、あしたハリーポッターの最終巻が発売されるのですよ。」
「そうですねー。でも、うちでは翻訳物は作らないので、どこかで完成したらすぐオンラインでリクエストかけますね。」
「お願いします。それから、今読むもの無いんですけど。」
「ゴメンナサイ、明日の朝送りますから。」

この方には、三日に一冊くらいで、見繕ってお送りしている。よく電話で、感想をいただける。
ありがたい読者である。


今日も暑くなりそうだ。


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.07.16

東野圭吾【犯人のいない殺人の夜】

東野 圭吾〔著〕
出版 光文社(光文社文庫)
発売日 1994.1定価 ¥580 (本体 : ¥552)
ISBN 4-334-71826-4

「小さな恋」が負担になって「小さな故意」を仕掛けた冒頭の「小さな故意の物語」をはじめ、7編の短編集。

昨日書いた大阪嫌いの東京の女性の話は、「エンドレス・ナイト」という。

小さな店で働きながら新体操の練習をしていた少女を描いた、「踊り子」がよかった。この踊り子に憧れる受験生は、最後まで真実を知ることはないのだろう。

他に、継母との複雑な関係に悩む中学生を描いた「闇の中の二人」。アーチェリーに青春をかけた女性の愛と復習を描いた「さよならコーチ」。
二転三転しつつ、「さよならコーチ」と同じく男のエゴを描いた表題作「犯人のいない殺人の夜」など。

何編かは、少年ものとも言える。


受動喫煙が原因で流産した女性が出てくる「白い凶器」は、彼女の死んだ夫の弟の役割がいい。この弟も、少年と言える年だ。


少年ものとはいっても、宮部みゆきの描く純な少年たちとはかなり違う印象を受ける。

初出はそれぞれ、1985年の「小説現代」や「小説宝石」など。といっても、古くささは感じられない。
いわゆる理系ミステリの分野は、最後の元医学生が出てくる表題作くらいだろうか。


犯人のいない殺人の夜
1994年1月20日初版第1刷発行
2007年12月20日34刷発行


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.07.15

大阪嫌いの東京人

来るときに読んでいた本に、大阪を嫌悪している東京の女性が出てきた。

東京で結婚し、近くで洋裁の教師をしたり趣味の習い事をしながら、幸せに暮らしていた女性の話だ。
ところが、兄の店を手伝っていた夫が、大阪で支店を任されることになった。だが、彼女は夫と一緒に大阪へ移ることを拒否する。

――おまけに大阪なんて。 いいイメージなどひとつもなかった。金に細かく、隙がなく、おまけに下品――そういう印象だ。
と、大阪出身の東野圭吾さんは、あらゆる悪態を主人公につかせる。

そこで別居生活が始まったのだが、ある日夫が殺されたという報せが届く。

やむなく大阪へ行った彼女に、大阪府警の刑事は心斎橋や道頓堀など、夫が生前通っていた街を一緒に歩くことを求める。

手足を動かすカニの看板を見て、彼女はなにかしら不思議な気持ちを抱く。
『心をひかれるような、それでいて不愉快なような、ちぐはぐな気持ち』
それは、「食いだおれ」の太郎を見たときも、同じだった。(当然、この時点で太郎の運命など判るはずがないのも、何かおかしい。)

これ以上書くとネタバレになるのだが、なぜ彼女が大阪を嫌うのかが切ない話だ。


この短編集は、他にもちょっと切ない物語が多い。


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.07.09

伊坂幸太郎さん 直木賞選考辞退

静かになりたい…伊坂幸太郎氏が「直木賞」選考辞退

本屋大賞・山本周五郎賞と続けて、三冠なるかと注目されていた「ゴールデンスランバー」。

 伊坂さんは8日、夕刊フジの取材に、「僕の方から言えることはあまりありません。ただ、他の賞と比べて(直木賞は)注目度が違う。今は精神的にまいってしまってもいるので、執筆に専念するため静かになりたいという思いが強かった」と話した。

受賞作だからといって買う人よりも、本当に自分の作品が好きな人のために書きたいという思いが伝わってくる。

やはり、文庫を待たずに、買おう!



| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.06.22

矢口敦子【償い】

償い

矢口 敦子〔著〕
出版 幻冬舎(幻冬舎文庫)
発売日 2003.6
定価 ¥680 (本体 : ¥648)
ISBN 4-344-40377-0

探偵役は、ホームレスになっている元エリート医師。妻と子を亡くすという過去を持つ。

今は名前を失っているこの日高が流れてきたのは、かつて誘拐犯から赤ん坊を救った少年の住む街だった。
そこでは、ホームレス襲撃や車椅子の女性殺害など、次々と事件が起きる。
偶然自分が助けた少年と出会った日高は、一連の事件の犯人が少年真人ではないかと悩む。自分が救ったがために、彼は凶悪な犯罪者になってしまったのでは……

日高を引き込んで事件の真相に近づこうとする警察官山岸も、なにやら曰くありげだ。
その山岸や、彼の親戚であるナースの三井。彼らもまた、日高が赤ん坊を救った事件の関係者だった。

標題の「償い」は、日高が妻子を亡くしたのは自分のせいではないかと思い悩み、それへの償いをしようとしているというところから。

両親と弟が火事で亡くなってしまい、長男だけが残される。その彼が自分を取り戻し、成長を見せる場面がいい。

人間関係がやや入り組んで、しかもかなり狭い範囲で重なり合っている偶然性が惜しいが、一気に読ませる佳作である。
最終章「生きていていいんだ」は、やや唐突な感がないでもない。

償い
平成15年6月15日初版発行
平成20年4月20日16版発行(版ではなく刷だと思うのだが)


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.06.16

東野圭吾 編集長

6月ももう半ばを過ぎているのに、知らなかった。第4(あるいは最終?)金曜日に更新らしい。

「今月の角川文庫編集長」というのがあって、二人目が東野さんなのだ。

本屋によってはこのことを取り扱っているとのことだが、見てないなぁ。
「さまよう刃」は、手にとって「まだ未読がいっぱいあるぞ」と、また置いたのだった。フェアをしているのが判っていたら、買っていたのに。

やはり、あちこちの本屋を探索していないとダメだなぁ>と、これが結論?

東野作品索引


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.06.14

飢餓状態

どんな土地でも、いい。

物語を構成しているのは、人だけではない。人が生きている土地も、重要な要素だ。
主人公たちが生活している土地を想像し、つかの間そこの住人になる。

そうした贅沢な、(本を読むという)時間がほしい。



| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.06.08

東野圭吾【黒笑小説】

東野 圭吾〔著〕
出版 集英社(集英社文庫)
発売日 2008.4
定価 ¥580 (本体 : ¥552)
ISBN 978-4-08-746284-5


同情を集めるかわいそうなシンデレラの素顔とは? メル友に会うには写真と実物のギャップがありすぎ! 苦節30年、売れない作家は初めての選考会へ勇んで望むが…。笑いのマエストロが贈る、超ブラックな13の短編を収録。

作家と編集者を描いた、最初の四編「もうひとつの助走」「線香花火」「過去の人」「選考会」が、興味深かった。
作家たちも編集者たちも、互いにリンクしている。

「もうひとつの助走」は、賞の発表を待つ作家と編集者たちのそれぞれの思いを描いて面白い。最後のオチは、予想範囲でちょっと通俗的。
しかしいつも思うのだが、このシステム?は残酷だ。ノミネートされた作家と担当編集者たちが一緒に発表を待つ。入ればいいが、落選した場合の話は何とも言いようがない。どなただったか、発表と同時に編集者や記者たちがドッと退席し、あとには大量の寿司が残ったという話も聞いたことがある。

とある新人賞に選ばれ、親戚中から祝宴の席まで設けて貰って有頂天になるサラリーマンの話「線香花火」。上司と喧嘩をして、会社を辞めてしまったが……。タイトル通りの話である。

新人賞を得てあちこち引き回されている作家でさえ、賞を貰った途端に「過去の人」と見なされるというのも、怖い話ではある。

究極のブラックが、「選考会」。最初の三編を読んでいると、途中でハハーンと見当が付く。何とも残酷な「選考会」ではなかろうか。選考されたのは、ノミネートされた作家ではなく選考者たちだったのだ。


「巨乳妄想症候群」「インポグラ」「みえすぎ」「モテモテ・スプレー」などは、変わった症状を抱えてしまった男たちの、笑えない悲喜劇。
こうしてみると、『ガリレオ』等の話も、一歩間違えれば(いや、視点を変えれば)、こうしたお笑いネタにならないでもなかったのではと、おかしかった。

ほかに、「シンデレラ白夜行」「ストーカー入門」「臨界家族」「笑わない男」「奇跡の一夜」を、収録。


解説が、奥田英朗氏だ。

「キャリアは二十年だが、十四年間は売れなかった」(本人談)という東野圭吾は、当然のごとく人間を見ている。それは周囲がてのひらを返す瞬間だ。『秘密』がベストセラーになるや、編集者たちが揉み手をして「東野詣で」をするようになった。冷たかった人物までが愛想を振り撒くようになった。見たわけではないが、そうに決まっている。

勿論、編集者側からの反論もあろう。いや、誠実な編集者の方が多いだろう。
だが、全作家を代弁しているといっては、過言だろうか。


takoさんも、面白かったと仰有っていました。東野圭吾/黒笑小説に、トラックバックさせていただきます。


東野作品索引

黒笑小説
2008年4月25日第1刷


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.06.04

東野圭吾【毒笑小説】

東野 圭吾〔著〕
出版 集英社(集英社文庫)
発売日 1999.2
定価 ¥630 (本体 : ¥600)
ISBN 4-08-747013-

おぞましい笑いは毒よりも強く、不可思議な笑いは人の心に静かに染み込む。「誘拐天国」「エンジェル」「マニュアル警察」など、身の毛もよだつおかしさ、思わず吹き出すおそろしさ、奇妙な味わいの12篇。

昨日の新幹線で、読了。
紹介文通り、奇妙な味わいの短編集。「怪笑小説」と「毒笑小説」の間にある一冊。

巻末の著者と京極夏彦氏との対談が楽しい。

対談でも仰有っていたが、筒井康隆氏の影響があるようだ。

笑いの教科書はそんなにないのですが、筒井康隆さんは、数少ない教科書の一つなんです。よく芸人が「つかみ」っていうじゃないですか。「つかみ」なんかのテクニックはやっぱりすごい。一行目をムダにしないとか。

一番面白かったのが、冒頭の「誘拐天国」。さる財閥の跡取りである孫となかなか遊べないと嘆く福富豊作に、仲間の宝船満太郎と銭函大吉が知恵を授けて誘拐を企てる話。
名前から判るように、三人とも大金持ちだ。従って、その誘拐話にしても、スケールが違う。警察を煙に巻いてきりきり舞いさせ、その間、福富は孫たち(複数であることにご注目を?)と存分に遊べたか?
最後のオチは、まぁそんなもんだろう。学歴社会を風刺しているとは言っても、ノベルズの発行からは12年が経過しており、多少事情は違うかもしれぬ。

幼い頃脳梁を切断した中年男性が、家族の白い視線をものともせずピアノの練習に励む「つぐない」がよかった。右脳、左脳といった言葉も出てくる。(未読だが)「変身」への関連もあるのか?

夫の上司の夫人に、手作りの料理や小物を次々と押し付けられて困っている部下の夫人たちを描いた「手作りマダム」。
上司夫人は、まったく気づかないふりをして、夫人たちの心を読み取っていたのかも知れない。最後の手作りは、ゾッとするものだった。
映像で言えば、画面が暗くなり、真っ青になっている応接間の夫人たちの場面で終わるのだろう。


切り口を変えてくるし、取り上げてあるジャンルも様々なのだが、さすがに幾つか一気に読むと疲れる。

それでも、出だしの一行目はどれも「オッ」と思わせるものがあり、最後に読んだお二人の対談で納得できた(引用部分をご参照ください)。

秘密」が、この手のお笑いにいく話にしようと思っていらっしゃったというのも、意外ではない。著者の思惑?からどんどん外れて、深刻でしんみりした話になってしまったが。


心温まる話や深刻な話を書いていらっしゃても、こうしたユーモア精神が根底にあるというのは、小説にピリッとした薬味が効いてくる素になっているのではなかろうか。


東野作品索引

毒笑小説
1999年2月25日第1刷
2008年4月29日第24刷


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.05.31

◆有栖川有栖【白い兎が逃げる】

有栖川有栖〔著〕
出版 光文社(光文社文庫)
発売日 2007.1
定価 ¥680 (本体 : ¥648)
ISBN 978-4-334-74178-5


ストーカー行為に悩む劇団女優清水玲奈。彼女を変質者から引き離すプランは成功した筈だった。ところがストーカーの死体が発見され、事件は思わぬ展開に。臨床犯罪学者火村英生の論理的思考が冴える4編。『ジャーロ』等掲載。

takoさんに教えて頂いて、購入。
表題作の他に、【不在の証明】【地下室の処刑】【比類のない神々しいような瞬間】の三編を収録。
いずれも、アリスと火村助教授に、大阪・京都府警が登場。

これも、なじみの土地が出てきて、判りやすい。
「私も阪急百貨店の地下でお弁当を仕入れてから新大阪に向かおうかな」などというセリフも出てくる。


【白い兎が逃げる】だけで、ほぼ半分を占めている。これだけで、(やや薄いが)独立した一冊になりそうだ。

【不在の証明】は、双子の兄弟が出てくる。双子が出てきて不在証明と来ればマジックミラーを思い出すが、今回は二人の協力ではなかった。

【比類のない神々しいような瞬間】とは、死の瞬間のことのようだ。アリスがダイイングメッセージを使った小説を書くという設定は、実は著者そのものの話ではなかろうか。
はじめてダイイングメッセージを用いたといわれる【Xの悲劇】を、大いにくさしている。あれは、誰が読んでもこじつけも甚だしいが、ダイイングメッセージというのはそもそもあり得るのだろうか?

さて、【白い兎が逃げる】は、一種の鉄道ミステリー。
関空行きの南海特急「ラピート」と、JRの「はるか」、それにJR特急「白兎」などが登場。
ミステリーとしては、割合早く犯人が判る。だが、動機が判らない。
それに、この時刻表トリックは、少々、いやかなり苦しい。難波から新大阪までタクシーを使うというが、地下鉄を使う方が確実かなという気もする。しかし、南海の難波から御堂筋線の難波までは、5分以上かかる。それに、スイスイとは歩けないし。
また、新大阪で地下鉄を降りても、スッとJRの駅には入れない。
タクシーなら、駅の真ん前につけてくれるが、新御堂筋が混んだらお手上げだ。危険なトリックだと言えよう。

それにしても、兎と亀ですからねぇ。


takoさんの、有栖川有栖/白い兎が逃げるに、トラックバックさせていただきます。

有栖川有栖 索引

白い兎が逃げる
2007年1月20日初版1刷発行


| | コメント (2) | トラックバック (0)

2008.05.29

風野真知雄【谷中黒猫殺人事件】


風野真知雄〔著〕
出版 大和書房(だいわ文庫)
発売日 2007.8
定価 ¥680 (本体 : ¥648)
ISBN 978-4-479-30117-2

黒猫に反応して、何気なく買った一冊。

美人姉妹が住む谷中の「猫屋敷」で事件が発生した。 火付け盗賊改方の長谷川平蔵(鬼平)が処理した事件に、「猫屋敷」は関係あるのか――。

奇談集『耳袋』を書き記した赤鬼奉行根岸肥前が、江戸に起きる怪事件の謎を次々解き明かす。
著者の名前ははじめてだが、これはシリーズものらしい。文庫書き下ろしとある。

『耳袋』というのは実在する奇談集のようで、たしか宮部みゆきの小説にも出てきたと思う。
鬼平は亡くなっているが、寛政の改革を行った松平定信も登場。

5話から成る短編集の体裁を取って一話ずつ一応完結させているが、(事件に関係した)登場人物も「猫屋敷」に関連してふたたび出てくる。

表に出てくる話の筋から裏をあぶり出す赤鬼奉行の腕は、鮮やかだ。
正反対の性格である、奉行の家来と同心の掛合が面白い。

江戸の街が活写されているが、悲しいことにピンとこない。.
久々に、東京時代MAPを取り出す。

お江戸オフな皆さまなら、きっとより楽しむことがお出来になるのではと思った次第。


谷中黒猫殺人事件
2007年8月15日第1刷発行
2008年1月20日第4刷発行


| | コメント (2) | トラックバック (0)

2008.05.27

小杉健治【絆】

小杉 健治〔著〕
出版 集英社(集英社文庫)
発売日 1990.6
定価 ¥560 (本体 : ¥533)
ISBN 4-08-749596-5

法廷ミステリー。
昨日、新幹線内で読了。家族の絆について、考えさせられた。

゛夫殺し"の起訴事実を、すべて認めた被告弓岡奈緒子。執拗に無実を主張する原島弁護士。 だが、裁判の進行につれて明らかになる秘められた意外な真実とは。

突然襲いかかってきた災難と対するに、この家族に他の道はなかったのか?


物語の進行は、新聞記者の「私」が語っていく形を取っている。裁判を傍聴し、被告や次々と現れる証人の話を聞く。
実は「私」は、子どもの頃 告人奈緒子の近所に住んでいたのだった。
奈緒子の上の弟寛ちゃんは、少しチエ遅れ。だが、優しくて近所の大人からも子どもからも愛されていた。その寛ちゃんを、家族は心底愛していた。

寛ちゃんは、ある日突然いなくなったのだった。裁判の進行の合間に「私」の少年時代の思い出を絡ませながら、それがまた真実への緒になっている。このあたりの話の展開は、うまい。

二重三重に張り巡らされた真実への壁を、原島弁護士は次々と破っていく。


並行して語られるのは、「私」の妻が流産のあとやっと身ごもった子どもが、先天的な障害があるかもしれないということ。「私」自身の、子どもへの対し方も問われているのだった。


この原島弁護士のものは、他にもあるようだ。




| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.05.25

西村京太郎【鉄路に咲く物語】

鉄路に咲く物語

鉄路に咲く物語西村京太郎〔選〕日本ペンクラブ〔編〕
出版 光文社(光文社文庫)
発売日 2005.6
定価 ¥560 (本体 : ¥533)
ISBN 4-334-73897-4

表紙の絵は、以前はどこにでもあった鉄道駅。ホームに立つ後ろ姿は、涼です(笑)。
いえ、冗談ではなく、夏になれば降り立った越美南線(現 長良川鉄道)の某駅そっくりです。(夏は白い服をよく来ていたし)
左側は、吉田川へと続いています。ベンチに腰掛ければ、目の前に 白山が見えます。


さて本書は、11の短編から成る「鉄道小説アンソロジー」。
西村京太郎氏選だが、いわゆる鉄道ミステリーばかりではない。

トップは、芥川龍之介の「蜜柑」。

汽車というものは都会の電車と違って、全てロマンスシートだと思い込んでいた。当然この車輌もそうだとして、著者と小娘の位置関係に悩んだっけ。


疲労と倦怠を抱えている都会に住むインテリが、一人の娘が汽車の窓から投げた蜜柑によって、「不可解な、下等な、退屈な人生」を忘れられるというもの。

冒頭の

とうに電燈のついた客車の中には、珍しく私のほかに一人も乗客はいなかった。外を覗くと、うす暗いプラットフォオムにも、今日は珍しく見送りの人影さえ跡を絶って、ただ、檻に入れられた子犬が、一匹、時々悲しそうに、吠え立てていた。
と、人生の倦怠を描写した著者は、最終部分で

暮色を帯びた町はずれの踏切りと、小鳥のように声を挙げた三人の子供たちと、そうしてその上に乱舞する鮮な蜜柑の色と――
と、今度は明るい色を持ってきている。


いずれも胸に響く短篇ばかりだが、好きだったのは、村田喜代子の「鋼索電車」だ。鋼索電車とは、ケーブルカーのこと。
近くの山にケーブルカーが通るようになり、それは麓に住む姉と弟の暮らしに多少影響を与えていく。

U山は尾根を長くひいた、ケーブルカーの似合う山である。春さき、青むらさき色に霞んだ山腹に、あちこち桜のまだら模様が混じる。その長い斜面にY字形のケーブルカーの線路が光り、静かに昇降するケーブルカーの姿が見えた。
こんな景色が、まさに目の前に浮かぶではないか。

なぜ、弟は家族と離れて遠く貰われていかねばならなかったのか?
わたし(姉)と弟は、それ以来会うことがかなわなかったのだ。
鋼索電車は、何を暗示していたのだろう。


消えゆく都電の沿線で写真館を営む一家を描いた、浅田次郎の「青い火花」もよかった。


ほかに、綾辻行人「鉄橋」 北村薫「夏の日々」 黒井千次「子供のいる駅」 志賀直哉「灰色の月」 西村京太郎「殺人はサヨナラ列車の中で」 宮本輝「駅」 山本文緒「ブラック・ティー」。
最後が、H・ヘミングウェイの「汽車の旅」。



鉄路に咲く物語
2005年6月20日初版1刷発行


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.05.17

海堂尊【医学のたまご】

医学のたまご海堂 尊〔著〕
出版 理論社
発売日 2008.1
定価 ¥1,365 (本体 : ¥1,300)
ISBN 978-4-652-08620-9

僕は曾根崎薫、14歳。ひょんなことから大学の医学部で研究をすることになっちゃった! 中学生なのに医学生なんてムリムリ。なのに、しょっぱなからすごい発見をしてしまったらしい…。コミカルで爽やかな医学ミステリー。

これも、ご縁があった本。朝日新聞の書評欄2月10日付「著者に会いたい」で登場。ちょっと惹かれて、本購入リストメモには、「文庫化待ち」と書いている。
すっかり忘れていたのを、先日パラパラと見ていて目に留まった。ちょうど「チームバチスタの栄光」を読んだ時だったので、文庫化を待たずに購入。

利用対象は、 「小学生 中学生」と ある。

だが、お子さま向きだといってバカにしてはいけない。「チームバチスタの栄光」と同じく、今度は少年が見た医学の矛盾を突いている。


主人公の中学生 薫の父は、高名なゲーム理論学者。そしてアメリカに住んでいる。
その為薫は、家政婦の山崎さんと二人暮らしをしている。

ひょんなことから全国テスト一位になった薫は、中学在学のまま 大学の研究室に通うことになる。薫は、通学に使うバスの中で、眼帯をした少年カイに会う。

大学には、研究医桃倉さんとスーパー高校生医学生の佐々木さんがいた。


大人に翻弄され、危うく崩れそうになる薫を救ったのは、アメリカから適切な助言を与えてくれたパパだった。
薫は勿論、桃倉さんやカイも、ゲーム大好きだ。最後には、そのゲームを解くようにして、薫は窮地から救われる。

しかしその為に、薫は大事な人を失った。成長する過程で必ず訪れる、人との別れ。
パパは、メールでこう伝えてくる。

君は大切な人を失ってしまったかもしれない、と言った。それは仕方のないことだ。何かをしたら、何かを失う。それが怖くて人は何もしなくなっていく。でもそれは間違いだ。
カオルは大切な人をうしなってしまったと考えているかもしれない。でもそれは、ほんの束の間、君の前から姿を消すだけ。
その人の心の中には、カオルが勇気を持って立ち上がった姿がずっと生き続けるだろう。君の心の中で、大切なその人の勇気ある姿がいつまでも燦然と輝いているのと同じように。


悪役と善人がスパッと描き分けてあって、大変判りやすい。
カイと佐々木さんの秘密も、比較的容易に想像がつく。

ゲームの要素を取り入れながら、専門的な説明も(多分)手抜きをせずに描いてある(と思う)。

薫が通った大学は、「チームバチスタの栄光」や「東京二十三区内外殺人事件」の舞台だった 東城大学。勿論、スカイレストラン「満天」も、おいしいうどんを提供してくれる。
そして、あの高階学長も登場して、最後の審判をする。


理論社の「ミステリーYA!」というシリーズの一冊のようだ。
横書きだというのも、現代風と言えるかもしれない。


医学のたまご
2008年2月第3刷発行


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.05.16

伊坂幸太郎さん、山本周五郎賞に

山本周五郎賞に今野さん、伊坂さん(スポニチ 05月15日 20:46)
「ゴールデンスランバー」は、この4月 本屋大賞も受賞している。

伊坂幸太郎さん、おめでとうございます。

朝日新聞の「ひと」欄に、登場。
内容は、ご本人によれば、

「逃げるためのアイデアを考え抜き、ハリウッド映画のような娯楽小説の直球を投げ込みました」
とある。

なぞの陰謀によって首相暗殺の濡れ衣を着せられた男が、仙台の街を逃げ回るというお話。
ゴールデンスランバー、黄金のまどろみ。彼の逃走を支えるのは、学生時代に一緒にまどろんだ、恋人や友人たちだという。こうした優しいつながりを描くのも、伊坂さんらしいなと思う。
きっと、最後までハラハラドキドキが続くんだろうな。

記事は、

「今日も小説が書けるんだという喜びをいつまでも大事にしたい」
で、結ばれている。

やっぱり、文庫化待たずに買おうかなぁ!

伊坂幸太郎 索引


| | コメント (2) | トラックバック (0)

伊坂幸太郎さん、山本周五郎賞に

山本周五郎賞に今野さん、伊坂さん(スポニチ 05月15日 20:46)
「ゴールデンスランバー」は、この4月 本屋大賞も受賞している。

伊坂幸太郎さん、おめでとうございます。

朝日新聞の「ひと」欄に、登場。
内容は、ご本人によれば、

「逃げるためのアイデアを考え抜き、ハリウッド映画のような娯楽小説の直球を投げ込みました」
とある。

なぞの陰謀によって首相暗殺の濡れ衣を着せられた男が、仙台の街を逃げ回るというお話。
ゴールデンスランバー、黄金のまどろみ。彼の逃走を支えるのは、学生時代に一緒にまどろんだ、恋人や友人たちだという。こうした優しいつながりを描くのも、伊坂さんらしいなと思う。
きっと、最後までハラハラドキドキが続くんだろうな。

記事は、

「今日も小説が書けるんだという喜びをいつまでも大事にしたい」
で、結ばれている。

やっぱり、文庫化待たずに買おうかなぁ!

伊坂幸太郎 索引


| | コメント (2) | トラックバック (0)

東野圭吾【秘密】

秘密東野 圭吾〔著〕
出版 文藝春秋(文春文庫)
発売日 2001.5
定価 ¥660 (本体 : ¥629)
ISBN 4-16-711006-7

【日本推理作家協会賞(第52回)】妻と小学生の娘が事故に。妻の葬儀の夜、意識を取り戻した娘の体に宿っていたのは死んだはずの妻だった。運命は愛する人を二度奪っていく…。切なさ溢れる長篇ミステリー。

最後のどんでん返しにはちょっと納得できないものの、幽霊刑事を思い出し、切なくて困った。多分、他の方にはお解りいただきにくい心境だと思う。

平介は、妻 直子と娘 藻奈美との平和な三人暮らしをしていたサラリーマンだ。その平和な暮らしは、直子と藻奈美がバス事故にあうことによって崩れる。
直子は藻奈美をかばうようにして覆い被さって亡くなり、藻奈美は奇跡的に助かる。だが、意識が戻った藻奈美が発した言葉は、直子のものだった。

なかなか受け入れられない事実を二人だけの秘密にして、直子は藻奈美として生きていく。

途中夫婦としての色々な問題を孕みつつ、直子は自分が授かった命を 悔いない生き方で生き直そうと、医学部を目指す。

ところがある日、藻奈美が戻ってきた。彼女は自分が眠っていたと思っている。そして時間が経つと、また直子に戻る。こうしたことを繰り返しつつ、次第に藻奈美は藻奈美でいる時間が長くなり、それに伴って直子は消えていくことが予想される。


「ミステリーではないな」と思いつつ読み進めて、このあたりへ来たところで、この入れ替わりについて妙な考えが浮かんだ。

もし、長男の身体に徹也が乗り移っていることがあったとしたら……。そして、交互に生活出来ていたら……。
そんなことを考えながら読了して、より切なくなっていったのだった。


広末涼子と小林薫で映画にもなっていたようで、広末が映画のことを書いていた。

東野作品索引

秘密
2001年5月10日第1刷
2008年1月25日第32刷


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.05.15

重松清【ブランケット・キャッツ】

ブランケット・キャッツ

ブランケット・キャッツ重松 清〔著〕
出版 朝日新聞社
発売日 2008.2
定価 ¥1,575 (本体 : ¥1,500)
ISBN 978-4-02-250397-8

2泊3日、毛布付き。我が家にレンタル猫がやってきた−。リストラされた父親が家族にささやかな夢として猫を借りてきた「我が家の夢のブランケット・キャット」など、いまを生きる孤独と救済を描いた、猫とひとの物語全7編。

いくら写真を見ても、あのダッコした時の感触を味わうことは出来ない。こんなネコがいるのなら、ためしに借りてみたい。

一番最初の「花粉症のブランケット・キャット」
子どもが授からないまま、キレイな暮らしをしてきたディンクスの紀夫と有希枝。しかし、そんな日々に寂しさを感じて、動物を飼おうと思いつく。やって来た猫は、花粉症だった。しつけがよく行き届いていて可愛い猫だが、公園で遊ばせているとネズミを捕ってきた。そんな猫の習性が受け入れられない有希枝。
おとなしいと思っていたアン(ブランケット・キャット)だったが、とつぜん……

二番目は、「助手席に乗るブランケット・キャット」
これまでの人生がずっと「ふしあわせ」だったたえ子。縁起がよくないとされる黒猫を「ふしあわせ」(通称クロ)と名づけて借りる。チマチマと暮らしてきて、年に4回、クロを連れて旅行に行くのが楽しみだった。
その彼女は……
ここでは、クロに幻を見せられる。

ブランケット・キャッツ


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.05.11

東野圭吾【魔球】

魔球

魔球東野 圭吾〔著〕
出版 講談社(講談社文庫)
発売日 1991.6
定価 ¥580 (本体 : ¥552)
ISBN 4-06-184931-X


昭和39年。オリンピックの年、東海道新幹線が開通した年。

冒頭、その年の春、場所は甲子園。9回裏二死満塁。開陽高校の天才投手須田武志が崩れる。そして、捕手は魔球を見た。

その少し前、開陽高校のある町の東西電機で、爆破物が置かれるという事件が起きる。
そして選抜高校野球後、須田武志の珠を唯一受けることの出来た開陽高校野球部の捕手 北岡明が殺される。

一見関係なさそうな二つの事件には、巧みにはられた伏線があった。

著者は何故、敢えて舞台を昭和39年に持ってきたのだろうか。「三丁目の夕陽」で懐かしがられているこの時代は、まだ戦後のドサクサを引きずってもいたのだ。


傲岸不遜とも言える須田武志の、孤独とやさしさ。母への愛と、兄弟愛。
ふと、宮部みゆきの「パーフェクトブルー」を想起させもするが、それよりも時代を背負った彼らの生き方の方が、より厳しいものがあったろう。
ミステリーでありながら、それを超えるものを持っているのは、著者の優しい目線であろうか。

縦糸にこれらの事件を置き、横糸には野球部監督と同窓の刑事、高校教師の恋人が絡む。

高校野球を描いた、秀作である。


最終部分、24年後の須田有樹の日記は必要だっただろうか?

東野作品索引

魔球
1991年6月15日第1刷発行
2007年7月20日第45刷発行


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.05.09

海堂尊【東京都二十三区内外殺人事件】

このミステリーがすごい!2008年版








縁というのは、不思議なものだ。
処分しようと取り上げた本書(このミス)の表紙に、海堂尊という名前を見つけた。年末に読んだときには、全く気に留めなかったのに。
勿論、チーム・バチスタの栄光(08.04.24)を読んだからなのだが。

田口医師と厚労省のお役人様白鳥コンビが送るドタバタ。
東京都と神奈川県の警察は、仲が悪いものと決まっているのか?県境を越えて死体を転がしておくと、検案書の書き方が違うことで、殺人がばれないのを暴くというのがストーリー?

しかし、長編だと白鳥のはしゃぎぶりもかなり希釈されるのだが、短編だと濃厚に出過ぎて胸焼けする。
いずれ、何かと一緒に短編集に入るのだろうか。

チラッと出てきた、東城大学病院最上階のレストラン「満天」が、懐かしかった。ここでは、うどんが美味しいとは書いてないが。
この東城大学のある場所は、どこを想定しているのだろう?新幹線で冨士山が見えるところより西なのは確かだが。

実は、著者の他の作品を只今読んでいるところ。


それより、あらためて「このミス」を見てみると、「女王国の城」(有栖川有栖)の評価が高い。今すぐにでも読みたくなる。しかし、もう3時までも読んでいるのは止すことにしているので、本を開くことが出来ない。

やはり、楽しみはとっておこう!


このミステリーがすごい!


| | コメント (2) | トラックバック (0)

2008.05.08

昭和タイムズ 56年

昭和タイムズ  56年表紙は、中国残留孤児初訪日調査。写真の真ん中は、母と姉に会えた残留孤児だ。
他に、「FOCUS」創刊や「北の国から」放送開始など。


殆どのニュースを知っているのは、休職中だったからだろう。
だが、その内容は殆ど覚えていない。

いや、ただ一つ、向田邦子さんが台湾航空機の事故で亡くなられたことには、衝撃を受けていた。惜しい方を失ったものだ。


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.05.01

奥野宣之【情報は1冊のノートにまとめなさい】

情報は1冊のノートにまとめなさい

情報は1冊のノートにまとめなさい奥野 宣之〔著〕
出版 ナナ・コーポレート・コミュニケーション
発売日 2008.3
定価 ¥1,365 (本体 : ¥1,300
ISBN 978-4-901491-76-1

分類・整理しても、使えなければ意味がない。日記帳、行動記録、本の感想、家計簿といった「書きもの」「貼りもの」をすべて管理できる万能のノートを作る方法を紹介し、実際に情報を使うための「一元化」管理術を伝授する。

さて、本書はかなり面白かった。いつものように、ネタの一つ(つまり物語の一つ)として購入したのだが、樋口健夫氏の 出来る人のノート術とも相通ずるところがある。
また、最近実践していることとかなり近かったのも、親しみを持った理由かもしれぬ。

著者は、業界紙記者。フリーペーパー向けに原稿執筆、写真撮影なども行っているという。
驚いたのは、1981年生まれだということ。上記のように、樋口氏の考え方と似ているところから、もっと年長者かと思っていたのだ。

さて中味だが、A6(またはA5)の ノートを一冊もって、とにかく何でも書き込んでいく。

と、一見ずぼらな管理方法のようだが、実はそうでもない。給与明細から健康診断の結果までこのノートに貼り付ける。その為の文房具については結構凝っている。
また、索引をパソコンで管理するという方法も、アナログ人間には敷居が高いところだろう。

それから一番の問題は、これらのノートを全て保存しておくことかもしれない。こうした小さなノートに、氏のようにかなり大きな字で余白も空けて書いていると、すぐになくなってしまうだろう。
チラッと出ていた写真でも、すでに大量の保存ノートがあるようだ(この辺から、もっと年長者かと思ったのかもしれぬ)。


だが 著者は、決してこれが最良の方法だと言っているわけではない。
カリスマの説くノート・手帳論は、その人にはよくてもなかなかマネが出来ない。それならば自分でカスタマイズして使いやすい方法を編み出せということだ。

取り入れるかどうかは別にして、読んで楽しい本である。表紙からして、愉快ではないか!小さくてお見えになりにくいだろうが、著者の名前は、無造作に貼ったインデックス部分に書かれているのだ。


情報は1冊のノートにまとめなさい
2008年3月20日初版第1刷発行


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.04.28

【チーム・バチスタの栄光 下】

チーム・バチスタの栄光 下

チーム・バチスタの栄光 下海堂 尊〔著〕
出版 宝島社
発売日 2007.11
定価 ¥500 (本体 : ¥476)
ISBN 978-4-7966-6161-4

下巻は、厚生労働省大臣官房秘書課付技官という肩書きを持った役人 白鳥の登場から始まる。
これがまた騒々しい男で、しばらくは田口のみならずこちら(読者)も振り回されることになる。
最初に紹介した高階病院長曰く「不愉快なことを言われても、お気になさらないように。気に触ることがあったら、思ったことをどんどん言っちゃって構いません。」ではあるが、全く無神経に相手の弱点を突いてくる。
(この二人がコンビでシリーズものになっているらしいが)

しかし この白鳥、田口の聞き取り調査を元に鮮やかに解決へと導く。

その間、天才桐生の思いもかけない病気の話などが出てくる。


だが、一番の功労者は、優柔不断に見える病院長高階だろう。その素早い対応があって、事件が解決したといってもいい。

途中、桐生の病気の話が出たときにオヤッと思い、そこである意味納得するのだが、白鳥がアメリカ出張から即病院へ来ていたのにはわけがあったのだ。


映画では、本書が出た頃とは手術がより進歩しているということで、最新のものを取り入れているという。

手術が、すべてビデオに撮られているというのは、知らなかった。


途中のちょっとしたドタバタを我慢すれば、面白い本だった。


本書を読んでいた頃、3年前のJR事故で最後に助けられた青年とそれに係わった医師の話を放映していた。
医師の「命を救う」という言葉が重い。

だが本書の犯人は、それをせせら笑うことだろう。


関連記事
海堂尊【チーム・バチスタの栄光】(08.04.24)

チーム・バチスタの栄光 下


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.04.24

海堂尊【チーム・バチスタの栄光】

チーム・バチスタの栄光 上

チーム・バチスタの栄光 上海堂 尊〔著〕
出版 宝島社
発売日 2007.11
定価 ¥500 (本体 : ¥476)
ISBN 978-4-7966-6161-4

【『このミステリーがすごい!』大賞(第4回)】医療過誤か殺人か、不定愁訴外来担当の万年講師と厚生労働省の変人役人が、患者の死の謎を追う。現役医師だからこそ描きうる医療現場のリアリティとコミカルな展開が魅力のミステリー。

映画になったようで、帯には竹内結子と阿部寛の写真が掲載されている。

読み進む内に、田口役が阿部かと思ったのだが、違うようだ。キャラは合っているような気がするのだが。

出世街道から外れ、「グチ外来」と呼ばれる不定愁訴外来の医師をしている 田口は、ひょんなことから病院長に頼まれ、病院の華 チーム・バチスタ と呼ばれて心臓手術をする英才たちを調査することになる。
田口が病院長とのやりとりを、心の中で野球の攻防に例えているのが面白い。それがまた、的を得ているのだ。

実は調査を依頼してきたのは、そのチームの中心桐生助教授だった。単なる医療事故ではない何かがありそうで、しかし漠としたまま確信を持てない。

田口は、バチスタチームの各人と面接し、手術の現場を観察する。上巻は、力不足を感じた田口が、リスクマネジメント委員会へかけることを依頼したところで終わる。

関連記事
【チーム・バチスタの栄光 下】(08.04.28)

チーム・バチスタの栄光 上
2007年11月26日 第1刷発行
2008年2月29日 第7刷発行


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.04.21

原リョウ【愚か者死すべし】

愚か者死すべし

愚か者死すべし原 リョウ〔著〕
出版 早川書房(ハヤカワ文庫)
発売日 2007.12
定価 ¥735 (本体 : ¥700)
ISBN 978-4-15-030912-1

銃声が2発。1発は容疑者に、もう1発は彼を庇おうとした刑事に当たった。沢崎が巻き込まれた狙撃事件は、思わぬ方向へ発展する…。「さらば長き眠り」から9年、伝説の男が帰ってきた。待望の第2期新・沢崎シリーズ第1弾。

9年間の空白を経て、帰ってきた沢崎探偵。
相変わらずテンポよく、


愚か者死すべし


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.04.20

佐藤多佳子【一瞬の風になれ】

一瞬の風になれ1 イチニツイテ

一瞬の風になれ佐藤多佳子〔著〕
出版 講談社
発売日 2006.8
定価 ¥1,470 (本体 : ¥1,400)
ISBN 4-06-213562-0

【吉川英治文学新人賞(第28回)】【本屋大賞(第4回)】サッカーに限界を感じた新二と、やる気のない天才スプリンター連。とくに強豪でもない春野台高校陸上部に入部した幼なじみの2人。それがすべての、始まりだった−。思わず胸が熱くなる、とびきりの陸上青春小説。

珍しく、文庫を待たずに買った。非常にさわやかな本だ。つくづく、自分は こういうのが好きだなと思う。
同じ(中高生の)母親世代が書いた「バッテリー」と違う青春群像。
かといって、葛藤がないかといえばそうではなく、むしろ周りとの違いに悩む高校生を描いている。

新二は、天才的なサッカー選手の兄を持ち、一家を挙げてサッカー家族という家に生まれた。当然のようにサッカーをするものという育てられ方をされ、高校もサッカーの強いところへ行くのが当たり前という家庭。
その中で、兄とのギャップに悩み、違う道を模索する 新二。

物語は、すべて新二のモノローグで語られる。

その新二に、もう一人 ライバルがいた。幼なじみの 連である。これまた天才スプリンター。

新二は、兄の勇姿にみとれ、いままた連の走りに感嘆する。

サッカーではさほど目立たなかった新二の走りだが、結構速い。高校入学後知り合った根岸に誘われて見学に行った陸上部に、新二と連は その日のうちに入部する。

と、ここまでで本書の六分の一ほど。

あとはひたすら、陸上部の練習風景と部員達の交流が描かれていく。
一風かわった、顧問の三輪。それぞれ個性的な、先輩連。


連は嘘のない男だ。友達にも世の中にも、言葉も行動も。ガキっぽくて、やっかいなほど。適当なことも余計なことも一切言わず……。だから、たまにまじめにコメント出されると、心がしんとしてしまうのだ。
「俺はおまえを抜くぞ、いつか」
宣言した。

新二は、連を抜くことができるのだろうか?


絵では非常に薄くて判りづらいのだが、シンプルな表紙が またいい。


一瞬の風になれ
2006年8月25日第1刷発行
2007年5月24日第11刷発行


| | コメント (2) | トラックバック (0)

2008.04.18

林茂【イタリア式 少しのお金でゆったり暮らす生き方】

これも、ワケありの本。

イタリア式 少しのお金でゆったり暮らす生き方一年240万円の豊かな生活術

イタリア式 少しのお金でゆったり暮らす生き方林 茂〔著〕
出版 講談社(講談社+α新書)
発売日 2003.11
定価 ¥924 (本体 : ¥880)
ISBN 4-06-272227-5

タイトルから受ける印象ほど、過激?な本ではない。
著者は、サントリー株式会社ワイン事業部に勤務。計13年間、イタリアに駐在。
日本人としてはじめてイタリアでのソムリエの資格を習得するなど、日伊の食文化交流に貢献している。

そうした著者の、イタリアへの思いと魅力についての話。

タイトルに関する部分は、イタリア人の暮らしへの姿勢とそれを取り巻く環境について述べられているのだが、本書は料理に触れた記述も多く、それがとても面白かった。

イタリア料理と日本食との意外な類似点についても記述されており、「地中海式ダイエット」が、和食が健康にいいというのとよく似たニュアンスで語られたりする。
どうしても質量共にヘビーな食事を想像してしまうのだが、意外とそうではないよということだ。

和食とワインの合わせ方など、ワイン好きの方にはおおいに参考になろう。

桜桃さん、現地ではいかがでしたか?


もう一つ、ワインとキリスト教についての記述も面白かった。
ワインというのは聖書でも特別な飲料のような印象を受けるが、イタリア人(に限らず)は子どもの頃からワインを飲むのはごく自然に身についているのだろう。
仏教の戒律とは違うものがあるような気がする。


イタリア式 少しのお金でゆったり暮らす生き方
2003年11月20日第1刷発行


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.04.15

伊坂幸太郎さん「本屋大賞」に

伊坂幸太郎さん、ついに本屋大賞に

「本屋大賞」が出来て、5年目。1回目からノミネートされていた伊坂幸太郎さんが、ついに大賞を射止めた。

いわば「ミスター本屋大賞」(実行委員の高頭佐和子さん)の受賞に授賞式には全国の書店員がつめかけた。
受賞作は、「ゴールデンスランバー」。考えること、生きること、信頼とはなにか、といった他の伊坂作品にも共通するテーマで書かれているという。

mixiのコミュではずっと話題になっているし、本屋で現物も見た。
文庫になるまでには、2年以上かかるだろう。でもこの方、文庫化される時にかなり大幅な書き直しがあるんだわ。
勿論、単行本と文庫本 両方買えばすむ話だけど。

さて、どうするか!


本屋の店員さんによる手書きのポップが、静かなブームなのだろうか?モール街の本屋にも、東野圭吾さんの本がズラッと並べてあって、手書きのカード?もあった。


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.04.07

◆有栖川有栖【モロッコ水晶の謎】

モロッコ水晶の謎

モロッコ水晶の謎有栖川 有栖〔著〕
出版 講談社(講談社文庫)
発売日 2008.3
定価 ¥620 (本体 : ¥590)
ISBN 978-4-06-275988-5

推理作家・有栖川有栖の眼前で起きた毒殺事件に、臨床犯罪学者・火村英生が超絶論理で挑む表題作ほか、クリスティの名作「ABC殺人事件」をモチーフに書かれた連続挑戦予告殺人を追う「ABCキラー」など、全4編を収録。

久しぶりの ◆ 印。

有栖川氏の本は、舞台が関西であるのが親しみやすい。登場する殆どの土地について、知っているからだ。

最初の「助教授の身代金」で、少々ギョッとする。解説でも述べられているとおり、これは火村のことだと思ってしまう。
ここは誘拐された助教授夫妻の住んでいた石切が懐かしかった。まさに坂の街。大阪の夜景が綺麗だ。坂の下の方から見上げたとき、助教授の住まいの灯りが見えるかというのがポイントで、ここから真相がわかる。石切を知っている人には納得できる、うまい持っていき方だ。

次の「ABCキラー」は、アンソロジー「ABC」殺人事件で読んだもの。ABCの頭文字を持つ人たちが次々とターゲットに挙がるというもの。これも、吹田・神戸・木津・門真から高石とあちこち関連のなさそうな地名が出てくる。アルファベットが付く地名については、架空の場所だということだ。
以前読んだときにも思ったのだが、少々こじつけっぽくてあまり面白くなかった。
クリスティの「ABC殺人事件」は読んでいるのだが、まったく思い出せない。

ちょっと息抜きという感じの「推理合戦」。犯罪研究家と二人の推理小説作家の知恵比べ。これは、楽しかった。
ホームズの昔から、黙って相手のことを当てるのは、名探偵の大事な要件か?

最後が、表題作「モロッコ水晶の謎」
予言者を信じ切っての犯行は、怖い。だが解決に導いたのは、その予言者ではなく火村だった。

国名シリーズではあるが、少々物足りなかった。

有栖川有栖 索引

モロッコ水晶の謎


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.04.03

石井桃子さん 死去

児童文学者の石井桃子さん死去 101歳 (asahi.com.2008年04月03日01時17分)

「ノンちゃん雲に乗る」は、叔父が買ってくれた本だったと思う。
ノンちゃんが木に登っていてバランスを崩して落ち、そのまま雲に乗って不思議な体験をする物語だ。このフワーッとした感覚は、何故か覚えている。

ノンちゃんが成績表を「全甲」というのが、とても不思議だったこの本は、いつ頃の時代のものだったのだろう。
成績優秀なノンちゃんと、のんびりやのお兄ちゃんの話だったような記憶がある。

最後の、飼い犬の(タロウだったかな?)の死についても、淡々と書かれていたっけ。


映画は、学校から観にいった。鰐淵晴子は覚えているが、原節子のことはまったく記憶にない。お母さん役だったのだろうか。


石井さんと言えば、クマのプーさんを紹介した方でもある。そうそう、最近お名前を見たと思ったのは、昨年朝日賞を受けられたのだった。


「三月ひなのつき」について、2004年に書いている。これは毎年、春になるとかなり検索されてくる。この本も好きだ。子どもの頃読んだという方からのコメントがついたのも、嬉しかった。

レビュー:石井桃子【三月ひなのつき】


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.03.27

東野圭吾【放課後】

放課後

放課後東野 圭吾〔著〕
出版 講談社(講談社文庫)
発売日 1998.7
定価 ¥600 (本体 : ¥571)
ISBN 4-06-184251-X

著者のデビュー作だという。「卒業」よりも以前の作。

冒頭、いきなり頭上からゼラニウムの鉢が降ってくる。直撃すれば……
数日前には、ホームから突き落とされそうになった。プールのシャワー槽で感電死しそうになる。
静かな女子校の数学教師、「私」に襲いかかる悪意。

その「私」を語り手兼探偵役にしているので、他の人物の心理描写などが少々不足気味である。

そうこうしているうちに、いわゆる「密室殺人」が起きる。心張り棒は、外からはかからない。古典的な「ヒモを使って心張り棒を落とす」手法は、否定される。だが……

トリックについては、面白い。
しかし、動機がどうにもやりきれない。


「私」が、刑事大谷に聞かれる場面での大谷の言葉。

「ほんの小さなきっかけで先生のことを見直し好意を持つ人がいるのなら、当然その逆もありうる。つまりほんの些細な事から、先生を憎むということもあるのではないか……」


その逆のパターンが、意外なところに潜んでいたのだ。これは読者には容易に想像がつく。だが、「私」は気付いていなかったようだ。

そして、長い放課後がやって来る……

荒削りだが、最後まで引っ張っていってくれる作品である。


親本が出たのが、昭和60年。20年以上昔だ。当時からもう、女子高校生たちは教師にああいう物言いをしていたのだろうか?

東野作品索引

放課後
1998年7月15日第1刷発行
2007年12月3日第62刷


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.03.23

成毛真【本は10冊同時に読め!】

本は10冊同時に読め!

本は10冊同時に読め!成毛 真〔著〕
出版 三笠書房(知的生き方文庫)
発売日 2008.2
定価 ¥560 (本体 : ¥533)
ISBN 978-4-8379-7691-2

勿論著者の場合は、我々凡人が読む本とは一線を画すのだろう。だが意味合いは違いはするが、同時進行で複数の本を読んでいる。

よく、「一つのことをすまさないと違うことへ移れない」と言う人がいる。確かに一理あるし、着実に仕上げていくことも必要だ。だが、そう言う人たちの仕事が早いかといえば、必ずしもそうとは言えない。
「学生時代には、複数の授業を同時期に受けていたでしょ」と反論するのだが。

そう言えば、連載漫画は同時に幾つも読んでいるのだから(→同時に出来ないことはない)という説にお目にかかったことがある。それもよかろう。

さて本書だが、サブタイトルが「生き方に差がつく「超並列」読書術 本を読まない人はサルである! 」だ。
「庶民」から脱するための本の読み方教授であって、自分のように単純に楽しんで読書しているものとは視点が違う。

ただし、「本は最後まで読む必要はない」ということで、本書もじっくりと読んだわけではない。だから、著者のいわんとするところを完全には理解していないだろう。

本とは人生そのものである。(中略) 読書をすればするほど、人生のあらゆる可能性が広がるのだ。(中略) あらゆる場面で「生きる知恵」を与えてくれるのは本である。
は、その通りだと思う。


一番共感したのが、「本は捨てない、借りない、貸さない」であった (^_^;)


本は10冊同時に読め!


| | コメント (2) | トラックバック (0)

2008.03.22

樋口健夫【できる人のノート術】

できる人のノート術

できる人のノート術樋口 健夫〔著〕
出版 PHP研究所(PHP文庫)
発売日 2003.3
定価 ¥620 (本体 : ¥590)
ISBN 978-4-569-66762-1

〔「図解仕事ができる人のノート術」(東洋経済新報社 2003年刊)の改題〕

こうした本は、自分にとってはハウツー物と言うよりは一種の物語だ。 少々ワケありのものも含めて、何冊か読了。
小説が、著者によって色々な切り口があるように、これら手帳術や整理術の本もあれこれ読み比べるのが楽しい。
もはや参考にすると言うより、「ははぁー、そう来ましたかー」といった感じ。

さて本書は、グンちゃんから教えていただいた本。
樋口健夫さんというお名前に惹かれて読んでみた。BUN2で「書きも書いたり」を連載されている。

非常に面白いノート術が展開されている。
また、語学の勉強法もユニークだ。BUN2でも拝読したのだが、隣席の女生徒に魅力を感じて貰うために一生懸命英語の勉強をしたことなど。

また、氏のノートそのものがユニーク。奥様によると「世界一不細工なノート」だそうだが。


最近、午後になると頭痛に悩まされている。風邪だと思うのだが、昼食後頭痛薬を飲んで凌いでいる。
年に一度くらいはひどい風邪を引くのだが、この冬は風邪をひいても何とか寝込むほどのことはなかったのに。
暖かい日と寒い日が日替わり?でくるから、からだがついていかないのだろう。


できる人のノート術


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.03.16

入江敦彦【秘密の京都】

秘密の京都京都人だけの散歩術

秘密の京都入江 敦彦〔著〕
出版 新潮社
発売日 2004.4
定価 ¥1,470 (本体 : ¥1,400)
ISBN 4-10-467501-6

「葵橋」の桜、夏の「拾翠亭」、中村軒の栗ちゃきん、冬の「糺の森」など、京都の四季を味わう散歩コースのほか、京都人だけが知っている散歩術を地域別に紹介。西陣生まれ、生粋の京都人が京の奥座敷をディープに案内。

関西をよく知らない人に、京都の穴場を案内しようと思って購入していた一冊(究極のアホ!)


いつだったか「イギリス式」の暮らし方を読んだとき、そのあまりの「イギリスが一番」に少々辟易したものだが、京都人の京都自慢にも、それと少々通じるものがある。

何も京都に限らず、(失われつつあるとはいえ)ちょっとした穴場はどこにでもある。誰にでも、紹介したい自慢の場所はあるのではなかろうか。京都だけが秘密を持っているわけではない。


とはいえ、小学校三年生までを過ごした彼の地のこと。昔住んでいたところの近くを始め、紹介されている(観光地ではない)そこかしこの話は、懐かしく思い出すことが出来た。

掲載地の詳細については、(案内ではなく)一人歩いた記録など、又ポツポツと挙げていく予定。


秘密の京都
2004年4月25日発行
2005年5月10日第3刷


| | コメント (4) | トラックバック (0)

伊坂幸太郎 索引

【アヒルと鴨のコインロッカー】(07.04.29)

【オーデュボンの祈り】(06.01.15)

【死神の精度】(08.03.08)

【重力ピエロ】(06.08.27)

【終末のフール】 (07.01.31)

【陽気なギャングが地球を回す】(06.10.10)

【ラッシュライフ】(05.05.26)


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.03.13

絲山秋子【イッツ・オンリー・トーク】

イッツ・オンリー・トーク

イッツ・オンリー・トーク絲山 秋子〔著〕
出版 文藝春秋(文春文庫)
発売日 2006.5
定価 ¥410 (本体 : ¥390)
ISBN 4-16-771401-9

【文學界新人賞(第96回)】東京、蒲田−。下町でも山の手でもない、なぜか肌にしっくりなじむ町。げない、媚びない、イジケない、それが「私」、蒲田流。おかしくて、じんわり心に沁みる短篇集。

著者のデビュー作だという。
芥川賞受賞作沖で待つ併録の「勤労感謝の日」とやや似た作風。


本作よりは、併録の「第七障害】が面白かった。
「沖で待つ」や「海の仙人」と通じるところがある。

障害レースで人馬転倒して馬を安楽死させなければならなかった順子は、それがトラウマとなってなかなか立ち直れない。
高崎から東京へ出てきたのも、そんな痛手を忘れるためだった。

そんな時再会したかつてのライバル篤は、ゆっくりと順子を回復させていく。

順子が思い出す馬 ゴッドヒップの様子に、心なごむ。
袖についたセロテープを剥がして、口にくわえたまま嬉しそうに顔を振る。しばらくするとまた催促するから、袖口にセロテープを貼ると、剥がして頭を振る。
情景を想像すると、自然に顔がほころんでくる。

篤に連れてきて貰った場所で、順子は「馬が買いたいな」と言えるようになった。

「なんだかこの世の果てみたい」
「俺は逆だな。ここが世界の始まりだよ」
「そう?」
「何度来ても昨日生まれたような感じがするんだ」(中略)
馬の天国というのはこんな場所かもしれない、と順子は思った。湖畔のなだらかな草原で草を食んでいるゴッドヒップの姿が浮かんだ。その光景を順子はほほえましく胸の中にしまった。


イッツ・オンリー・トーク
2006年5月10日第1刷
2007年2月15日第2刷


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.03.10

日経パソコン3月10日号

日経パソコン

これまでウインドウズ一辺倒だった印象があるのだが、前回から「Mac指南書」が前後編で掲載されている。
Win&Mac共存のテクニックというわけだ。


1月から始まった「ネットでコミュニティ」では、前回からSNSを取り上げている。
こんな風に利用して、こんなに楽しいよといった内容で、代表的なSNSミクシィを紹介している。


ところがミクシィは、突然4月から 利用規約改定をすると発表した。

ユーザーは弊社に対して、当該日記等の情報を日本の国内外において無償かつ非独占的に使用する権利(複製、上映、公衆送信、展示、頒布、翻訳、改変等を行うこと)を許諾するものとします。
というもの。

捉え方は色々あるようだが、自分が書いたものを勝手に使われるのは困るから退会するという方も多いようだ。
株価にも影響を与えているらしい。

もともと、会員からの招待がなければ入れないところで、かなり安全だと言われていたこともある。
ところが最近、複数のアカウントを用いての 勧誘まがいのことをする利用者など、モラルが低下している。
また、コミュニティでのバトルもひどいところがある。

ミクシィ側では、この騒ぎを受けて改訂について検討するという姿勢を出してきている。


ということで、せっかく面白いよという紹介があったのだが、時期的に合わないような気がしたもので……
標題と関係なくなってしまったが。


ちょうど一週間前に、今号の「焦点」担当の久保田裕氏と著作権のお話などしていたのだった。
氏は、社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会の専務理事・事務局長でいらっしゃる。ちょうどその時の議題に感激したと仰有ってくださったのだった。


昨日とはうって変わって、冷たい雨が降っていた。
つれあいの山行きは中止で、仕事がはかどらなかった (-_-;)

楠葉へ

春遅遅と
たためる傘の滴れり
蓬田紀枝子


| | コメント (2) | トラックバック (0)

2008.03.08

伊坂幸太郎【死神の精度】

「長生きすればするほど、周りが死んでいくんだよね、当たり前のことだけど」
死神の精度

死神の精度伊坂幸太郎〔著〕
出版 文藝春秋(文春文庫)
発売日 2008.2
定価 ¥550 (本体 : ¥524)
ISBN 978-4-16-774501-1

【日本推理作家協会賞短編部門(第57回)】「俺が仕事をするといつも降るんだ」 クールでちょっとズレてる死神が出会った6つの物語。音楽を愛する死神の前で繰り広げられる人間模様。

伊坂さんらしい暖かさとユーモアに包まれてはいるが、気の滅入る話ではある。

「死神」という仕事をしている?「私」が語る6編の物語。
この死神の仕事とは、不慮の死が予定されている人間と7日間付き合い、8日目の死を「可」と判断するか「見送り」とするかというもの。殆どの死神があまり調べもせずに「可」と報告する中、彼は実直に しかしクールに仕事をこなす。

以下、ややネタバレあり。

その彼が「見送り」にしたのが、一番最初の『死神の精度』だ。対象者の未来に賭けたのか? その答えは、最後に出てくる。

いずれも「オール読み物」に掲載された独立した短編ではあるが、最後の『死神対老女』で見事に相関関係を描く。ここに「重力ピエロ」の春が出てくるのも楽しい。

この老女は、『恋愛で死神』の古川朝美だろう。
彼女は、「私」が登場するやいなや、正体を見破っている。そして、自分の周りには事故で死んだ者が多いと言う。

「そりゃ、死ぬのは怖いけどさ」と恐怖の欠片(かけら)も滲まない口調で続け、「もっとつらいのは」と首を振った。「まわりの人間が死ぬことでしょ。それに比べれば自分が死ぬのはまだ、大丈夫だってば。だから、一番最悪なのは」
と、冒頭に書いた言葉へ繋げていく。


最初の『死神の精度』から最後の『死神対老女』までは50年ほど経過している。最後の一編はやや未来の時代を設定しているようだが、この50年間の変化を考えると矛盾もある。

他に、『死神と藤田』『吹雪に死神』『旅路を死神』。


これは映画化されて、3月22日から公開される。主演は、金城武。いい雰囲気だ。黒ラブが共演している。
金城武が心優しき死神に 映画「死神の精度」(asahi.com.2008年01月31日)


冒頭の言葉は、「長生きすればするほど、別れも多くなるんだよね」と言い換えることが出来るかもしれない。


伊坂幸太郎索引

死神の精度
2008年2月10日第1刷
2008年2月25日第2刷
わずか半月で、2刷が出ている。


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.03.05

東野圭吾【悪意】

悪意

悪意東野 圭吾〔著〕
出版 講談社(講談社文庫)
発売日 2001.1
定価 ¥660 (本体 : ¥629)
ISBN 4-06-273017-0

犯人が捕まってからが始まりのような、ちょっと不思議なミステリー。
東野ファンの中でも、この犯人に嫌悪感を持つ人は多い。

何故犯人は、動機を語ろうとしないのか?
この事件の根は当事者たちの中学時代にあると思った刑事加賀恭一郎は、丹念に過去を調べ始める。
そこで明らかになってくる、それぞれの背景。

冒頭、ネコのことで瞞されたという人が多いようだが、これはむしろ注目点というか違和感を持てるところというべきか。

犯人の悪意の芽生えが、母親のいわれ無き偏見であったとすれば、彼もまた「悪意」の被害者であろう。


もう一点、本書では加賀が教師を辞めたいきさつが語られる。
事件の真相を知るために過去を尋ねていく加賀だが、その中で否応なく自分自身の過去とも向き合わなければならない。辛い過去と。

加賀は、教職を辞めたことを、「逃げた」と言っている。だが、そうした経験を踏まえて教師は成長していくのだろう。しかし、教師にとっては一つのステップではあっても、子どもにとってはただ一度の学生時代だ。
勿論、刑事に転身したからこそこれらの小説が生まれるという前提を抜きには出来ないのだが。


犯人にとっても、加賀にとっても、読者にとっても、辛い小説ではある。

東野作品索引

悪意
2001年1月


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.03.02

本屋さん

明日持っていく本を買いに、モール街へ。

いくらネットで簡単に本が買えるからと言っても、本屋へ行くのとはわけが違う。
今日はお目当ての本を買っただけだが、時間がある時は、いくら徘徊していても飽きない。


中学時代からひきこもりで全てネットで事足りていた少女が、紀伊国屋へ連れて行って貰って泣き出したという話を読んだ。真偽のほどは判らないとのことだが、ことほどさように 本屋というのは魅力的だ。

出かけた先でも、本屋へ入る。小さな本屋さんでも、店員さんのちょっとした工夫を凝らした並べ方に嬉しくなる。


さて、明朝は早く出て京都へ帰ってくるのが21時頃になりそう。只今から予習をしよう。自分たちに関係のある議題もあって、「ぜひご出席を」と事務局長からのメールにあった。勿論出席予定だったが、嬉しい報告を頂ける。


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.02.15

奥田英朗【空中ブランコ】

空中ブランコ

空中ブランコ奥田 英朗〔著〕
出版 文藝春秋(文春文庫)
発売日 2008.1
定価 ¥500 (本体 : ¥476)
ISBN 978-4-16-771102-3

【直木賞(131(2004上半期))】人間不信のサーカス団員、尖端恐怖症のやくざ、ノーコン病のプロ野球選手。困り果てた末に病院を訪ねてみれば…。「イン・ザ・プール」から2年、トンデモ精神科医・伊良部が再び暴れ出す!

このところ「間接読書」が多くて、直で読んだのは久しぶりかもしれない。

takoさんの奥田英朗/空中ブランコを拝読して、即購入。


表題作「空中ブランコ」をはじめ、ハリネズミのように自分を防御した若頭が尖ったものに恐怖する「ハリネズミ」、逆玉で結婚した岳父のカツラを取ってしまうのではないかと畏れる「義父のヅラ」、ゴールデングローブ賞に輝く名サードは制球が効かなくなったのか「ホットコーナー」。そして「女流作家」。

いずれもその道のエリート?たちが主人公。自分の力量に自信を持って、その世界で生きてきた。
ところが、どこかで歯車が狂ってしまい、彼らは様々な精神的症状をあらわすようになって伊良部先生のところを訪れる。

「いらっしゃーい」という明るい声。愛想のない看護婦マユミ。無理矢理注射をされる患者。その様子を食い入るように見つめる伊良部先生。
やがて患者の世界へ入り込んでその世界を体験する。患者は戸惑うばかり。

そのうち、そうした伊良部を眺めていた彼らは、自分自身で何かを感じて立ち直っていく。

ちょっと甘すぎるかなという気もするが、読んでいて楽しい。


その中で、最後の「女流作家」はちょっと異色な作品だ。
主人公が作家であることと、関係あるのだろうか。

同じようなパターンで恋愛小説を書いてきた愛子は、主人公の設定が過去に使ったものではないかと、何度も自作を見直す。そのメモをとっても、次にはまた不安になって書けなくなる。

作家なら必ず陥るであろうこの不安感は、ひょっとしたら著者にもあったのではなかろうか?売れる作家であることと、自分が納得できる良いものを書きたいという思いとの葛藤。そして、簡単に体験することも叶わない職業だけに、この回の救い主は伊良部ではなく愛子の友人 さくら だった。


自分のことを知らない看護婦マユミに、会心作「あした」も含めた自著を持ってきた愛子。マユミに軽く
「そのへんに置いといてくれますかぁ」と言われて傷つくのだが、ここで最後の泣かせどころが判ってしまうのが惜しい。

しかしそれでも、 さくらの言葉には泣かされる。


こうしたエリートではなくても、人間心理の奥底に潜む弱さは、誰しもが持っているものだ。そして、どの作品にも主人公の周りには伊良部以外の心を許せる存在があるのも救いだ。


上記、takoさんの記事にトラックバックさせていただきました。


空中ブランコ
2008年1月10日第1刷


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.02.12

昭和タイムズ 40年

昭和タイムズ  40年

少々 記念すべき年なのだが、それはさておき……

日本人で二人目。朝永振一郎博士が、ノーベル賞を受賞された。


今では当地の駅にさえある「みどりの窓口」が開設されたのも、この年だとか。新幹線開通は、前年のオリンピックに合わせたのだったような。


映画配信一位は「007」。
「マイ・フェア・レディー」「わんわん物語」「サウンド・オブ・ミュージック」は見ている。
邦画では「網走番外地」など、高倉健のものが三つ入っている。


単行本では、前年東京オリンピックでの東洋の魔女の活躍の影響か、「なせば成る」や「おれについてこい」が二位と三位。一位は「人間革命」だった。
「白い巨塔」「妻の日の愛のかたみに」「氷点」などは読んでいる。


ヒットシングルは、丸山明宏の「ヨイトマケの唄」が一位に来ている。以下、
ひばりの「柔」、田代美代子の「愛して愛して愛しちゃったのよ」、山田太郎の「新聞少年」、
高倉健自身が歌ってたんだ「網走番外地」が五位。

都はるみのデビュー曲「涙の連絡船」、
和田弘とマヒナ「涙くんさようなら」、倍賞智恵子「さよならはダンスの後に」、北島三郎の「兄弟仁義」と続き、
鹿児島での公演で警官が殉死したという西郷輝彦の、「星娘」 が十位。

「網走番外地」以外は、歌える。


テレビでは、「ザ・ガードマン」が始まっている。これは、毎週楽しみにしていた。製薬会社がスポンサーなので、薬殺はないとか言われていたっけ。宇津井健や川津祐介、藤巻潤たちがかっこよかった。


こうしてみると、挙げた以外に映画へもよく行っているし、テレビも観ている。歌番組も聞いていたし、本は 勿論今の比じゃなく読んでいる。

それでも何か物足りなかった、青春まっさかり!


| | コメント (4) | トラックバック (0)

2008.02.08

BUN2

Bun216cover1

特集は、「手書きの魅力再発見」で手書きの両雄?鉛筆と万年筆を取り上げている。
お勧めの鉛筆・万年筆の他、達人が鉛筆削りの極意を伝授してくださる。また、「万年筆の深みに墜ちる」と題して萬年筆研究会の紹介も。

きれいに削られた鉛筆を見ると、何となく幸せな気分になる。ホルダーを使って極々短くなるまで使ったものだ。今もステッドラーのホルダーを持っているが、鉛筆の出番は少なくなった。バカにしていた?シャーペンの方を多用している。


イロブンのきだてさんのコラムがはじまった。
「色物文具で楽しめ」の第一回は、スナック菓子の香りを再現したマーカーだ。菓子メーカーから本物のお菓子の香料を使わせて貰っているという、「とっても!うマーカー」の紹介。


文具王高畑正幸氏の「違いがわかる文具講座」は15時間目に入った。
今回はペンケースの紹介。サンスターのリバーシブルペンケースというのが楽しそうだ。


ほしいなと思ったのが、学研のTheNote-TakingSystemというノート。ノートの1ページを分割して使うことはよくすると思うが、あらかじめフォーマットがあるもの。
アメリカのコーネル大学のノート術を採用したという。


樋口信夫氏の「書きも書いたり」も楽しかった。アフリカ駐在中には待たされることがあたりまえ。本を用意しているのだが、それでも読む本がないときもある。
そんな時は、カバンを下敷きにひたすら書くことをしたという。本号の特集「手書き」とリンクしているのか?

今は思いつくまま順番も考えずにワープロ(ソフト)で書くのがあたりまえになっているが、手書きで考え考え書いていた頃がなつかしい。


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.02.05

東野圭吾【眠りの森】

眠りの森

眠りの森東野 圭吾〔著〕
出版 文芸春秋(文春文庫)
発売日 1992.4
定価 ¥580 (本体 : ¥552)
ISBN 4-06-185130-6

「ローザンヌ国際バレエコンクール」で決選が3日、スイス・ローザンヌ市内で行われ、ボリショイ・バレエ学校留学中の高田茜さん(17)が入賞したと、今朝のニュースで知った。

東京の高田茜さん、ローザンヌ国際バレエ5位入賞(asahi.com 2008年02月04日10時56分)

17歳と言えば、まだ少女。
本書は、少女の頃の体型を維持することの難しさも、一つのテーマになっている。


そして、加賀恭一郎ファンが多いことに納得。

「眠りの森」とは、チャイコフスキーのバレエ曲「眠りの森の美女」を指す。それはまた、閉鎖的なバレエ団のことでもある。
冒頭、正当防衛での殺人から始まる。
しかし、真相は別のところにあった。


加賀は卒業のヒロイン沙都子のことを「大学時代の恋人」と言っているし、自分が少しの間教師をしていたことも話している。
まだまだ経験の少ない刑事のようである。

捜査員とやがて容疑者として浮かび上がってくる女性との恋だから、今回も成就することはないのだろう。

文庫本の初版が1992年だが、帯には新しいコピーが書かれていた。

刑事、加賀恭一郎は進化する。 あなたは何を見る。 献身的な恋の行方に――

「進化する」の部分は、一緒に買った他の二冊にも同じことが書かれていた。

東野作品索引

眠りの森
1992年4月15日第1刷発行
2007年10月3日第50刷発行


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.02.04

羽田綏子【首相公邸】

羽田 綏子〔著〕
出版 東京新聞出版局
発売日 1996.10
定価 ¥1,325 (本体 : ¥1,262)
ISBN 4-8083-0547-X

夫は総理大臣、私は掃除ダイジン−1994年4月首相公邸に入居、羽田孜元首相の妻、綏子夫人が振り返る64日間の公邸の住みごこち。

羽田孜氏が首相になっていた間 公邸で過ごした64日間に、いかに住み心地よくしていったかという懐旧談。その間、勿論首相夫人としての公務もあるわけで、とても忙しかったようだ。

この公邸は、2002年に取り壊されて 只今改修中とのことで、外観は残して内装を住み心地のいいものにするらしい。

公邸完成依頼歴代42人の首相のうち住宅にしていたのは18人だけだったという。
佐藤首相は大きなゴキブリにビックリし、細川首相夫人は下見に行ってショックを受けたという。

羽田夫人も、霊が見えるという話にお払いをして貰ったとか。そのあとも、ご長男が家のまわりに塩を撒いていらしたという。

ただ、一生懸命お掃除をして少しでも住み心地よくしたという話だが、前任者は放っておいたようにとれなくもない表現もあり、ちょっと気になる。(そんなこと、どうでもいいんだけれど……)

一番便利そうな場所にあるが、買い物にはとても不便をされたことや、ちょっとした改修にも予算を取って貰わなければならないなど、トップの暮らしも大変なのだろうと察することは出来る。


1996年10月4日 初版印刷
1996年11月30日 2刷発行


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.02.03

【昭和天皇の料理番】

昭和天皇の料理番

昭和天皇の料理番谷部 金次郎〔著〕
出版 講談社(講談社+α新書)
発売日 2004.8
定価 ¥820 (本体 : ¥781)
ISBN 4-06-272270-4

17歳のときに大膳に上がり 崩御で退職した著者の、昭和天皇が召し上がった和食についての記述。それにレシピも。

「真土不二(人間が足で歩ける身近なところ(三里四方、四里四方)で育ったものを食べ 生活するのがよいとする考え方)」を信条として心を込めて作られた数々の料理や、それにまつわるエピソードが興味深い。

食に関するさまざまなニュースが飛び交う昨今だからこそ、こうした話に触れると考えてしまうことも多い。
一方で、食料自給の難しさもあろう。

せめて、余すところなく調理して使いきるという姿勢だけでも学びたいと思う。

(もう少し追記したい)

昭和天皇の料理番


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.02.01

「エピデミック」など

最近届いた本から

標題にあげた「エピデミック」は、川端裕人著。今週の朝日新聞書評欄で、大きく取り上げられていた。
エピデミック [著]川端裕人/感染地図―歴史を変えた未知の病原体 [著]スティーヴン・ジョンソン

この本は読もうと思っていたのだが、合間合間でチョコチョコというわけには行かない。じっくり腰を据えてという時間が取れず、未購入だった。
疫学という、ちょっと引いてしまう分野だというのもある。


他に
福岡伸一「生命と無生物のあいだ」
yoshiさんのブログを拝見して
奥田英朗「空中ブランコ」
takoさんのブログで文庫になっているのを知った
茂木健一郎「脳 整理法」
大野誠・牧野直子「いますぐ5キロやせるDiet」
これは、ダイエットに興味があるからということではない。
前回大野氏の「自宅入院ダイエット」も少々わけあり。
牧野直子氏は、ちょっと関心があった。

原りょう「愚か者死すべし」
探偵沢崎 新生

などなどと、書いてないものも(苦笑)
積読(つんどく)本 たまるばかり。


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.01.28

東野圭吾【嘘をもうひとつだけ】

嘘をもうひとつだけ

嘘をもうひとつだけ東野 圭吾〔著〕
出版 講談社(講談社文庫)
発売日 2003.2
定価 ¥520 (本体 : ¥495)
ISBN 4-06-273669-1

東野圭吾はミステリーをさらに掘り下げた! 正直に生きていきたいと望んでいたのに、落とし穴にはまりこみ、思わぬ過ちを犯してしまった人間たち。そして、それを隠すために、さらに新しい秘密を抱えこむ。

表題作はじめ5つの短編を集めたもの。
いずれも、加賀恭一郎もの。先日購入したうちの一冊だが、もっとも新しいものだった。
加賀は30代半ばか、既にベテランの刑事になっている。

5編とも、加賀がはじめて接する人物が犯人。
動揺を隠して必死に隠そうとしてついたウソを、加賀は見事に暴いていく。小さな質問一つにも、綿密な細工が施されている。

卒業」で感じた加賀とは、かなり印象が異なる。そりゃ卒業して15年も経てば、しかも刑事という仕事をしていれば、変わるのはあたりまえか。

三編目「第二の希望」での子どもは、怖い。二人三脚でオリンピックを目指してきた母子だったが、子どもは冷静に母親の所行を見ていたのだろう。相手への憎しみも込めて。

四編目の「狂った計算」は、哀しい。
横暴な夫から逃れようと愛人と巡らせた計画は、誤算に終わってしまった。
最後の加賀のセリフ

「男には、いろいろなタイプがいるんです。ふだんは横暴で、無神経そうなのに、いざとなると何もいえないというのはよくあることです。相手が自分の愛している人間であれば、なおのことね」
男の見栄っ張りが、悲劇を招いたのだろうか?
それにしても、嫌な男だ。


09年2月23日追記
takoさんの東野圭吾/嘘をもうひとつだけに、トラックバックさせていただきました。


東野作品索引

嘘をもうひとつだけ
2003年2月15日第1刷発行
2007年12月12日第25刷発行


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.01.25

大野誠【自宅入院ダイエット】

自宅入院ダイエット

自宅入院ダイエット大野 誠〔著〕
出版 集英社(集英社新書)
発売日 2005.10
定価 ¥693 (本体 : ¥660)
ISBN 4-08-720312-3

糖尿病、高血圧、高脂血症など、生活習慣病対策の決定打は「宅配治療食」! 中高年男女の豊富な事例をもとに、肥満治療の権威が、ノウハウをやさしくわかりやすく解説。


著者が勤務する病院で肥満外来を設けた時、患者は殆ど来なかったという。
昨今はメタボリックシンドロームを心配する患者が増えた。

本書は豊富な事例をもとに、肥満について考えていく。若い女性がよくしている一品だけ食べるダイエットが何故続かないのか、また何故リバウンドするのかといったことの説明も説得力がある。

カロリー計算など面倒がって続けられない人に著者が薦めるのは、宅配の糖尿病治療食だ。これは勿論ダイエットが目的の食事ではないが、ダイエットもある種の治療と考えて取り組むのだ。
宅配食には、毎日配達して貰うものからレトルト食までいろいろあるようだ。確かに高くつくかもしれない。しかし、著者は言う。

もしもあなたが入院したら、経済的にも時間的にも大きな制約を受けます。この『自宅入院ダイエット』ならば仕事を休まないで、しかも入院したのと同等の効果を期待できるのですから、安いものだと思いませんか。

治療食と捉えなくても、栄養にも配慮した食事だと考えれば、子どもが巣立って夫婦二人だけの場合や、単身赴任の場合など、ひょっとしたら部分的に取り入れるのもいいかもしれない。


また、著者が薦めているのが記録を取ること。
そう、仰有っていることがあの岡田斗司夫氏の【いつまでもデブと思うなよ】とほぼ同じなのだ。


タイトルが(昨今は長いのが流行?のようだが)のネーミング効果もあって?ベストセラーになった素人の本の方がインパクトが強いのは、ちょっと皮肉な気もするが。


本書