2023.09.22

西村京太郎【十津川警部 高山本線の昼と夜】

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著者:西村京太郎
価格:916円
カテゴリ:一般
発売日:2016/05/13
出版社: 双葉社
レーベル: FUTABA NOVELS(フタバノベルズ)
利用対象:一般
ISBN:978-4-575-00799-2

飛騨高山の屋台会館で画家の緒方幸太郎が殺害され、彼の描いた「春の高山祭」と題する大作が盗まれた。それから東京で、美術学校の後輩にあたる画家の橋本誠も殺害された。捜査を任された十津川警部は岐阜県警と合同捜査に乗り出し、絵画販売に絡む複雑なからくりと、天才画家と呼ばれた人物の存在をつかむ。

 

高山本線は、郡上へ行っていた頃、必ず利用していた。
といっても、実際には岐阜~美濃太田までだったが。

下呂温泉には泊まったことがあるが、高山へは行ってない。

肝心のストーリーだが、どうもあちこち飛んで、芯が一本通っていない。

メインは緒方幸太郎という画家が殺されたことから始まっているのだが、この動機もおかしな話だ。

また彼が描いた大作が旅館の部屋から盗まれるのだが、誰もが出入り自由なようで、実際にはあり得ない話だった。

しかし「画の価値」というのは、実際にはどういうものなのだろう?
「高いものに価値がある」ような感を受けた。

それよりも、旅館に逗留中の画家がいつも買っていたという、漢方の話が面白かった。
その画家の娘の母親は富山の薬商が実家だった。

画家の常用漢方は、「葛根湯」「芍薬甘草湯」「五苓散」「加味逍遙散」で、結構メジャーな薬だった。

 

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2023.09.20

柴田よしき【猫は毒殺に関与しない~猫探偵 正太郎の冒険5~ 猫探偵正太郎】

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著者:柴田よしき
価格:572円
カテゴリ:一般
発売日:2016/11/09
出版社: 光文社
レーベル: 光文社文庫
利用対象:一般
ISBN:978-4-334-77377-9

珠玉の3編を収録。

 

いつの間にか同居人は神楽坂を引き払い、神奈川県に住んでいた。

冒頭の表題作【猫は毒殺に関与しない】は、その同居人桜川ひとみが語り手を務める。
途中、他の人物も語っているが、それが誰だかは判らない。

そして困ったことに、最後まで読んでも結局犯人が判らなかった。

何だか消化不良なのでAmazonや読書メーターでのレビューを読んでみても、紙本の作りが変わった(字が大きくなって読みやすくなったとか)ことに触れているのが多くて、内容についてはやはり解らないというのもあった。

登場人物をセリフや状況をメモしながら再読するしかないかなぁ。

同居人も正太郎も、もうすっかり関東人なのが、寂しい。それにしては、東京へ住まいを移す直接のきっかけになった大学のセンセについては、全然触れられていないし、著者も忘れてしまっているのでは……??

他に

【猫は三日ですべて忘れる】

【正太郎、恋をする】

 

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2023.09.18

中山七里【おやすみラフマニノフ】

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著者:中山七里
価格:618円
カテゴリ:一般
発行年月:2011.9
出版社: 宝島社
レーベル: 宝島社文庫
利用対象:一般
ISBN:978-4-7966-8582-5

ラフマニノフの名曲とともに明かされる驚愕の真実!美しい音楽描写と緻密なトリックが奇跡的に融合した人気の音楽ミステリー。

 

とあるレビューに、「さよならドビュッシーほどの読後感の悪さも無いが、」とあったので読んでみることに。「が、」のあとは「さわやかな読了感もない」というのが気になったのだが……。

上記の通りだった。

【さよならドビュッシー】とほぼ同じ時期。物語は、ほぼ音楽学校内で進む。

冒頭、秋の大学祭目指して練習していた女子大生が借りていたストラディバリウスが盗まれる。警備は万全の専用室でだ。

彼女は学長の孫で、主人公晶の恋人でもある。

音大で講師を務める岬が、割合早い段階で登場する。それは【さよならドビュッシー】で岬が出たチャリーティーコンサートに、二人とも参加していたからだ。

晶の生い立ちなども織り込みつつ、途中、愛知県を襲った大きな台風の話にも及ぶ。
ここで出てくる2000年の災害や、半世紀以上も昔の伊勢湾台風など、名古屋近辺は意外と台風の被害を受けている。

最後の謎解きが、やはりあまりスッキリとはいかなかった。

このあとショパンとベートーベンがあるが、少し間をおこう。

 

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2023.09.17

村山早紀【不思議カフェ NEKOMIMI】

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著者:村山早紀
価格:1,760円
カテゴリ:一般
発売日:2023/01/25
出版社: 小学館
利用対象:一般
ISBN:978-4-09-386668-2

毎日こつこつと働き、余暇には本を読み、紅茶を淹れて音楽を聴く。つつましく生きてきた律子に人生の終盤、ある奇跡が訪れる。

 

表紙に描かれた黒猫の後ろ姿がなんともかわいくて、多分この子が出てくるであろう不思議なカフェを想像したのだったが……。

紹介文のように、つつましく生きてきた律子が突然の死を迎え、一緒に死んだ愛猫と一緒に、魔法使いとして登場する話。

全体に、あり得ない(そりゃ「不思議なカフェ」関係の本はみんなそうだけど)、あり得なさすぎる話に付いていけなかった。

これも「表紙絵かわいい」からの本なのに中身が好きになれず、残念だった。

 

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2023.09.16

塩田武士【罪の声】

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著者:塩田武士
価格:1,012円
カテゴリ:一般
発売日:2019/05/15
出版社: 講談社
レーベル: 講談社文庫
利用対象:一般
ISBN:978-4-06-514825-9

「ギンガ萬堂事件」の真相を追う新聞記者と「男」がたどり着いた果てとは。渾身の長編小説

 

実際の事件を下敷きにしている。
被害に遭った会社の名前も、見当が付くものばかりだ。

当時は、結構毎日ニュースを追いかけていた。実際に市井の人たちにも影響が及ぶことが、懸念されたから。

あの「キツネ目の男」の似顔絵は、随分ながく駅前に置いてあった。

 

本書では、自分の声が脅迫に使われていたのではと疑い始めた敏也と、別のルートから事件の真相を探っている事件記者の話が、ほぼ交互に語られる。

話を聞きに立ち寄った先から敏也の存在を知った記者は、ついに彼に会いに行く。

 

実際の事件もこうだったかと思わせられるような力作だった。

 

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2023.09.14

芦沢央、阿津川辰海、伊吹亜門、斜線堂有紀、白井智之【斬新 THE どんでん返し】

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著者:芦沢央・阿津川辰海・伊吹亜門・斜線堂有紀・白井智之
価格:726円
カテゴリ:一般
発売日:2023/04/12
出版社: 双葉社
レーベル: 双葉文庫
利用対象:一般
ISBN:978-4-575-52657-8

 

いずれの作家さんも、多分初めてだと思う。
「どんでん返し」というからには、スマートな騙し方をしてほしいものだが……。


芦沢 央 【踏み台】

罠を仕掛けたつもりが、相手の方が上手だった。
少々足りないのではとバカにしていたツケが回ってきたのであろう、冒頭作。

 


阿津川辰海 【おれ以外のやつが】


伊吹亜門 【遣唐使船は西へ】

実際に遣唐使船が大変だったとは知っていたが、こういう状況もあったろう。
しかし、これはミステリ(しかも密室もの?)とは、ちょっと違うような。

「どんでん返し」ということなら、最後の最後はそうとも言えるか?
希望が、一転して絶望に変わりそう。

 


斜線堂有紀 【雌雄七色】

全編、手紙文からなっている。

虹の七色に掛けた七色の封筒に入っている、捨てられた妻からの夫への手紙。
恨みがましい文章で、正直面白くなかった。

ではあったが、冒頭の息子から、母親の手紙を同封するとの父親への手紙だけは、彼の怒りが感じられてよかったが。


白井智之 【人喰館の殺人】

これは文字通りの作品で、非常に気持ち悪かった。

舞台が北海道で、昨今ニュースになっているヒグマ関連はまだしも(??)、そのあとの展開は付いていけない。


著者は、(多分)同じようなのを書いているようだ。

 

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2023.09.13

石田祥【猫を処方いたします。】

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著者:石田祥
価格:924円
カテゴリ:一般
発売日:2023/03/10
出版社: PHP研究所
レーベル: PHP文芸文庫
利用対象:一般
ISBN:978-4-569-90288-3

京都市中京区の薄暗い路地にある「中京こころのびょういん」。
心の不調を抱えてこの病院を訪れた患者に、妙にノリの軽い医者が処方するのは、薬ではなく、本物の猫だった!?

 

まず、表紙絵の猫の可愛いこと!
こんな猫を処方してほしい、少しの間だけでもいいから。

ただ、実際の中身は同じパターンの繰り返しで、さほど目新しいものではなかった。

奥田英朗の「いらっしゃーい」シリーズ(伊良部先生)の真似かなとも、チラッと思ったりしたのだった。

 

珍しく、「表紙絵が好き」から入ったので、これは残念だった。

 

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2023.09.12

中山七里【さよならドビュッシー】

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著者:中山七里
価格:618円
カテゴリ:一般
発行年月:2011.1
出版社: 宝島社
レーベル: 宝島社文庫
利用対象:一般
ISBN:978-4-7966-7992-3

ドビュッシーの調べも美しい、第8回『このミス』大賞・大賞受賞作。

 

岬洋介シリーズの第一作目というので読み始めたのだが、岬の登場は、ピアニストとしてだった。
ああ、このシリーズはミステリではないのねと思いながら進むと、何と父親は高名な判事で、自身法学部出身で試験には合格しているのだった。

さて途中からは殺人も起きて、それらしくなってくる。

そして朧気ながらも犯人の目星はついてくるが、動機は何だろう?などと考えたのは、浅はかだった。
さすが、どんでん返しの帝王。そうたやすく見破らせては貰えなかった。

 

それにしても、あまりにも哀しい最後だった。
事故と事件の犠牲者が哀れでならない。

 

 

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2023.09.11

絲山秋子【袋小路の男】

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著者:絲山秋子
価格:440円
カテゴリ:一般
発売日:2007/11/15
出版社: 講談社
レーベル: 講談社文庫
利用対象:一般
ISBN:978-4-06-275884-0

川端康成文学賞を受賞した表題作の他、「小田切孝の言い分」「アーリオ オーリオ」を収録。(講談社文庫)

 

絲山秋子さんは好きだが、この本はダメだった。

人を翻弄する人間は嫌いだが、翻弄される人間は、もっとダイッキライだ。
表題作【袋小路の男】は、こういう本だ。

 

その、男の方の言い分というのが、ずばり【小田切孝の言い分】なのだが……。

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2023.09.10

西村京太郎【北海道新幹線殺人事件】

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著者:西村京太郎
価格:660円
カテゴリ:一般
発売日:2019/09/21
出版社: KADOKAWA
レーベル: 角川文庫
利用対象:一般
ISBN:978-4-04-108735-0

売れない作家・三浦に、出版社の社長から北海道新幹線開業を題材にしたミステリーの依頼が来る。前日に刊行してベストセラーを目指すと言うのだ。脱稿した三浦は開業当日の新幹線に乗り込むが……。

 

北海道新幹線が開業したのは、2016年3月26日。
東京発新函館北斗行き始発列車には、実際に乗車した人がいたはずだ。

本書の最初の刊行がいつかは知らないが、自分が乗車した座席だと、ちょっと気持ち悪いだろうな。

で、この開業日に合わせて出版した本の通りに殺人が起き、十津川たちも巻き込まれる。

 

以下、ネタバレあり。

この出版社のしていることは、到底許されるべきではない。
こういうのは、発覚した時点で犯罪と見なされて取り調べの対象になるのでは?

 

実際には「北海道新幹線」は新函館北斗と新青森間で、新青森から東京は「東北新幹線」と今でも呼んでいる。
だから、本書の事件は「東北新幹線」内ということなのだが……。

 

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