2023.02.05

大崎梢 他【ここだけのお金の使いかた】

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著者:大崎梢他
価格:770円
カテゴリ:一般
発売日:2022/12/21
出版社: 中央公論新社
レーベル: 中公文庫
利用対象:一般
ISBN:978-4-12-207291-6

七名の人気作家が「お金」にまつわる悲喜こもごもを描く、書き下ろし

 

それぞれ視点が違うが、楽しかった。

冒頭作【百万円分の無駄】は、新津きよみ。

だれしも、「宝くじが当たったら」と思うことはあるだろう。そして妄想する。
どれくらいだったら、かなり現実的な(?)妄想ができるのか?

ここでも分析しているが、「百万円」というのは妥当な数字ではないか?

ところがここの主婦は、実際に「百万円」を手に入れた。夫や娘にちょっとした不満を持っているので、ナイショで使っていく。
一つ一つが、ささやかなものである。

小さな不満でも、相手に伝わっていないと徒労感が増すのではないか?

 

次の原田ひ香は、最近割合読むようになった。【三千円の使い方】など、面白かった。

今回は、【一生遊んで暮らせる方法】。ぜひ、伝授願いたいものだが……。

学生アルバイトから、卒業してもそのまま非常勤として役所で働いている妻が語り手。正採用になるには試験がむずかしく、非常勤でも福利厚生はついていることに、ほぼ満足している。

その彼女が役所のサークルの交流会で出会った夫は、節約家の堅実なサラリーマンだった。

彼女の語りで話が進んでいくが、途中たびたび夫らしき人物のTwitterが入る。

夫の理想通りの家庭(だと夫は思っている)だったが、この人はかなり独りよがりだ。
会社でうまくいってないのも、ひょっとしたらその性格によるところがあるかもしれない。

でも、やっぱり「自分は家事をしている」と思っていたのがおかしい。ほんの一握りの「手伝い」なのに、家事を担っていると勘違いしているとは。

「一生遊んで暮らせる方法」を編み出した(と思っていた)夫だが、都合の悪いことは「そのうち」で片付けてしまうなど、やはり現実を伴わない机上の空論に近かった。

 

大崎梢【12万円わんこ】では、タレントの犬が意外と薄給(?)なのに驚いた。替わりはいくらでもいるからと。12万円の犬は高いと思うが、ペットショップで売れ残ってしまったわんこの値段だった。
この子、いい飼い主に出会えてよかった。

 

あと

永島恵美【廃課金兵は買物依存症の夢を見るか?】

同じ大学に勤めるアラフォー女子二人の、ZOOMによるやりとりがメイン。40代は、まだまだ若者言葉を使うのか?テンポ良い会話だが、こんなものなのか?
その中で相手の住所を特定したり買物依存症を突き止めたり、ちょっとしたミステリの様相も見せる。

 

福田和代【わらしべ長者のつくりかた】

これは楽してお金を手に入れたい若者の話で、ついていけなかった。

 

図子彗【塾に行かない子どものための五つのクリンクス】

今時の小学生は大変だな。

離婚して小学5年生の息子を育てている薬剤師。4年生の時の学級が崩壊していて、碌に授業が進んでいなかった。
息子の国語力のなさに愕然とする。

それよりも、課金するゲームをしているとは驚きだった。
それを巡ってのトラブルもあって、親も大変だ。

 

松村比呂美【二千万円の差額】

父親が自死して以来、母親は父親のものを片付けることが出来ない。

この「二千万円」というのは、定年後に保険金を「三千万円」から「一千万円」にしようと自分が提案した、その差額だ。
そのために、夫は自死したのではと、今も母親は自責の念に駆られている。

パニック障害を起こし、家の中はともかく、スーパーへも行けないし、乗り物にも乗れない。

ふと見つけたボランティアサイトで、公園の花壇整備を見つけて恐る恐る参加してみる。その時一緒についてくれた女性には、何故か素直に自分の症状を話すことが出来て、少し前向きになれた。

娘一家が支えてくれているのが、救いだ。

 

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Kindleが壊れた

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非常に便利に使っているKindleだが、ある日突然画面が真っ白になった。

こんな時の、「再起動」。
しかしその後も、真っ白画面になるのは防げず。

買ってから、まだ4ヶ月くらいしか経っていないのになぁ。

参考にしたサイトも、色々試してダメなら「壊れたのだろう」というつれないお言葉。

 

軽くて、色は珍しいデニムにしていたのだった。

 

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2023.02.04

三國青葉【福猫屋 お佐和のねこだすけ】

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著者:三國青葉
価格:682円
カテゴリ:一般
発売日:2022/11/15
出版社: 講談社
レーベル: 講談社文庫
利用対象:一般
ISBN:978-4-06-529856-5

江戸時代のペットショップ「福猫屋」が始まるきっかけは……?

 

思った以上に、楽しい本だった。

【ねこだすけ】から始まって、

【ねこまみれ】になり、

【ねこづくし】で終わる。

その間、一時は20匹ほどの猫がいた」福猫屋」だったが、少しずつ里子に出していく。
一方、「ネズミ退治」に貸し出される猫もいて、その猫たちはこの家の猫だ。

お佐和は色々工夫して、売るための小物なども作るが、こちらは今ひとつ。
そこで、甘味を出したりもする。

「猫茶屋」として、猫とのふれあいも可能にする。
ペットショップというより、「猫カフェ」だ。

弟子だった自分の甥や野菜を売りに来た少女も、家族のようになる。
亡くなった夫の兄弟子だった人も、色々と面倒を見てくれたり、まわりの人に支えられて、夫の一周忌の頃にはいろいろうまくいっていてよかった。

こういう本は気軽に読めるし、気持ちが楽になる。

 

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2023.02.02

山本甲子【迷犬マジック】

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著者:山本甲子
価格:770円
カテゴリ:一般
発売日:2021/09/09
出版社: 双葉社
レーベル: 双葉文庫
利用対象:一般
ISBN:978-4-575-52495-6

日々の生活がイマイチ冴えない人々の前に現れる黒柴の迷い犬。

 

帯には、「犬が笑えば福来たる」と書いてある。

四つの季節に合わせて、四つのストーリーが語られる。

それぞれの話に、突然現れる迷い犬。迷い犬は、首輪に「マジック」と書かれていた。犬の名前か?
おとなしく、一通りの芸も出来る。

名犬ならぬ迷犬のマジックが、色々なマジックを見せてくれる。

圧倒的(?)猫派だが、こういうワンコものも、微笑ましくていい。

 

【春】

定年退職後、妻に先立たれた七山高生。
比較的近所に住む長男一家とは、つかず離れずの関係だが、最近長男から「認知症の検査に行け」と言われて複雑な思いでいる。

そんな時、家の敷地内に黒柴が迷い込んできた。

飼い主が見つからぬまま、高生はチラシを作ったり、散歩に連れて行ったりする。
しだいに、ご近所の人たちとも会話が生まれ、長男一家ともいい関係になっていく。

そのマジックが思わぬ手柄を立てたあと、自分の役割は終わったとばかり去って行く。

 

【夏】

この回は、高生が駅近くで出会ったストリートミュージシャンの尾形將騎が主人公。

いつかは売れるようになりたいとがんばっている。

そこへやってきた、マジック。
マジックと一緒に歌っている内に……。

というストーリー。

マジックがいなくなっても、しっかりと歩み出せてよかった。

 

【秋】

両親とも亡くなって、一人ではやらない理髪店を経営している岩屋充。自堕落な生活で、メタボ生活まっしぐら。

そんな時に、お約束のマジックとの出会いがあり、マジックは今度は充の健康管理をしてくれたようだ。

マジックとの別れの後で犬を飼う気になったのは、充が初めてだった。

 

【冬】

今回は、最初に犬(マジック)が鷹取苺の家の敷地に座っている。これまでとは少し違った展開だ。

苺は会社を辞めて、そのことで父親と気まずくなり、祖母の家だったところで一人暮らしをしている。

突然現れた犬に戸惑いつつ、保護犬ボランティアをしている友だちを思い出し、助けを借りる。

マジックはそのまま居続け、登校中の小中学生と話したり(?)、孤独そうな老人の相手をしている。

そのうちマジックの魔法が効いて、色々な奇跡が起きる。

マジックが去った後、苺は保護犬譲渡会の手伝いをして、その中の一匹を貰って帰ろうと思っている。

その譲渡会には、「春」と「秋」にマジックの面倒を見ていた家族も来ていた。それぞれ、譲渡会からの犬を連れて。
お互いに何を知らないまま、挨拶を交わし合う。

「夏」のサムライミュージシャンとは、彼のことが出ているyoutubeを通してメールを交わしていたが。

 

ちょうど一年、それぞれの家庭に幸せを届けて、マジックは今どこにいるのだろう?
続編も出たようだが、話の展開は同じようなのだろうな。

 

初めての作家参加と思ったが、以前一冊読んでいたようだ。

関連記事

山本甲子【ひなた弁当】(19.06.15)

 

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2023.02.01

1月の読書メーター

1月の読書メーター
読んだ本の数:24
読んだページ数:6637
ナイス数:2681

森は生きている (岩波少年文庫)森は生きている (岩波少年文庫)感想
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2023/01/post-84f899.html
舞台を観てみたいものです
読了日:01月31日 著者:サムイル マルシャーク


天使たちの探偵 (ハヤカワ文庫JA)天使たちの探偵 (ハヤカワ文庫JA)感想
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2023/01/post-666e38.html
冒頭の「少年の見た男」が一番好きかな。
読了日:01月30日 著者:原 りょう


おいしい旅 想い出編 (角川文庫)おいしい旅 想い出編 (角川文庫)感想
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2023/01/post-bf8fb9.html
「糸崎駅」という、自分が子どもの頃に覚えた駅名もでてきました。
読了日:01月27日 著者:秋川 滝美,大崎 梢,柴田 よしき,新津 きよみ,福田 和代,光原 百合,矢崎 存美


とっておきのおやつ。 5つのおやつアンソロジー (集英社オレンジ文庫)とっておきのおやつ。 5つのおやつアンソロジー (集英社オレンジ文庫)感想
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2023/01/post-a73280.html
たい焼きの話がよかったなぁ。
読了日:01月26日 著者:青木 祐子,阿部 暁子,久賀 理世,小湊 悠貴,椹野 道流


10品を繰り返し作りましょう~わたしの大事な料理の話10品を繰り返し作りましょう~わたしの大事な料理の話感想
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2023/01/post-81b170.html
個性的な作り方で、炒め物はそれぞれ別々に火を通してから合わせるという方法を取ります。
読了日:01月24日 著者:ウー・ウェン


三千円の使いかた (中公文庫 は 74-1)三千円の使いかた (中公文庫 は 74-1)感想
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2023/01/post-e8b041.html
ドラマはかなり原作に忠実だと判りました。以前読んで時から半年も経っていないのに、こんなに忘れていたのかと、その方がショックでした。
読了日:01月23日 著者:原田 ひ香


おいしい旅 初めて編 (角川文庫)おいしい旅 初めて編 (角川文庫)感想
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2023/01/post-ec23d0.html
7名の作家による、七つの旅物語りです。どの旅も、面白かったです。
読了日:01月22日 著者:近藤 史恵,坂木 司,篠田 真由美,図子 慧,永嶋 恵美,松尾 由美,松村 比呂美


漢方小説 (集英社文庫)漢方小説 (集英社文庫)感想
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2023/01/post-256f9e.html
こんないい漢方医に出会えたらいいな。
読了日:01月20日 著者:中島 たい子


海 (新潮文庫)海 (新潮文庫)感想
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2023/01/post-9a69fe.html
「何とも懐かしい」と思える風景(自然とは限らず)を思い出させて頂きました。
読了日:01月18日 著者:小川 洋子


十津川警部 犯人は京阪宇治線に乗った (小学館文庫 に 16-10)十津川警部 犯人は京阪宇治線に乗った (小学館文庫 に 16-10)感想
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2023/01/post-c22264.html
京阪電車に反応したのですが、別にどの電車でもよかったような……。ただ、宇治線というのはローカル線ですからね。
読了日:01月17日 著者:西村 京太郎


出会いなおし (文春文庫)出会いなおし (文春文庫)感想
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2023/01/post-65ec49.html
表題作での「年を重ねるということは、同じ相手に、何回も出会いなおすということだ。会うたびに知らない顔を見せ、人は立体になる。」というのが心に染みます。
読了日:01月16日 著者:森 絵都


葬式組曲 (文春文庫 あ 78-2)葬式組曲 (文春文庫 あ 78-2)感想
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2023/01/post-9bd1c8.html
最後の話で、これまでの雰囲気をガラリと覆してしまいました。こんな終わり方でいいのでしょうか?
読了日:01月14日 著者:天祢 涼


春のこわいもの春のこわいもの感想
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2023/01/post-bdd5c6.html
タイトルの【春のこわいもの】というのは無くて、全体が「ある春(どうやら2020年)のこわいもの」で覆われています。
読了日:01月13日 著者:川上 未映子


警視庁アウトサイダー (角川文庫)警視庁アウトサイダー (角川文庫)感想
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2023/01/post-202a21.html
シリーズもので、結構延々と続く予感が……。
読了日:01月11日 著者:加藤 実秋


海が見える家 それから (小学館文庫)海が見える家 それから (小学館文庫)感想
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2022/12/post-fe018f.html
今回も、表紙絵が好きです。こんな家、いいなぁ。実際には、かなりぼろ屋ですが。
読了日:01月10日 著者:はらだ みずき


新版 レミは生きている (ちくま文庫 ひ-2-6)新版 レミは生きている (ちくま文庫 ひ-2-6)感想
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2023/01/post-643386.html
著者は、生涯「混血児」を救い続けます。
読了日:01月09日 著者:平野 威馬雄


人生オークション (講談社文庫)人生オークション (講談社文庫)感想
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2023/01/post-ce52db.html
主人公の叔母の不器用な生き方が、何故か愛おしく思えます。
読了日:01月08日 著者:原田 ひ香


十津川警部 影を追う (徳間文庫)十津川警部 影を追う (徳間文庫)感想
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2023/01/post-9e5824.html
随分こわい話でした。十津川たちも警察組織からかなり外れて、脅しはするし暴力はふるうしで、これまでのものとは随分違いました。
読了日:01月06日 著者:西村京太郎


やっとかめ探偵団 (光文社文庫)やっとかめ探偵団 (光文社文庫)感想
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2022/10/post-8815f7.html
大阪のおばちゃんはすごいけど、名古屋のおばあちゃんたちはそれの上をいきますね。
読了日:01月05日 著者:清水 義範


あきらめません!あきらめません!感想
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2023/01/post-3d4f9e.html
郁子が東京の家を売ってまで移住した夫の故郷は、思っていた以上に閉鎖的なところでした。「あきらめない」努力は大切です。
読了日:01月04日 著者:垣谷 美雨


三軒茶屋星座館 1 冬のオリオン (講談社文庫)三軒茶屋星座館 1 冬のオリオン (講談社文庫)感想
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2023/01/post-52b959.html
主人公の姪の月子が、可愛かったです。
読了日:01月04日 著者:柴崎 竜人


黄金の時 (文春文庫)黄金の時 (文春文庫)感想
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2022/11/post-eae606.html
父と息子というのは、いつの時代でも難しいものかもしれませんね。
読了日:01月03日 著者:堂場 瞬一


猫が30歳まで生きる日 治せなかった病気に打ち克つタンパク質「AIM」の発見猫が30歳まで生きる日 治せなかった病気に打ち克つタンパク質「AIM」の発見感想
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2023/01/post-b763e0.html
紹介文に「最新医療の研究現場のリアルを伝えます」とある通り、猫の腎臓病を治す「AIM」の発見について語られています。早く、人にも応用できるようになってほしいものです。
読了日:01月02日 著者:宮崎 徹


紙屋ふじさき記念館 故郷の色 海の色 (角川文庫)紙屋ふじさき記念館 故郷の色 海の色 (角川文庫)感想
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2022/12/post-f7ae0c.html
「活版印刷三日月堂」と完全リンクして、 紙が繋ぐ絆の物語が生まれました。
読了日:01月01日 著者:ほしお さなえ

読書メーター

 

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2023.01.31

湯浅芳子 訳【森は生きている】

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著者:サムイル・マルシャーク 湯浅芳子(訳)
価格:770円
カテゴリ:小学生
発売日:2000/11/17
出版社: 岩波書店
レーベル: 岩波少年文庫
利用対象:小学生
ISBN:4-00-114072-1

気まぐれな女王が真冬に4月の花マツユキソウをほしいといいだし,国じゅう大さわぎ,継母の言いつけで吹雪の森に分け入った少女は,12の月の精たちに出会います.有名な児童劇.

 

随分昔に読んだ本。一度舞台を見てみたいと思いつつ、まだ叶えていない。

その舞台のことを佐々木蒸散のTwitterで知って、再読してみた。

ソ連版シンデレラ物語とも言われるが、ずっと幻想的で生き生きしている。

「4月」が「1月」「2月」「3月」に、順に1時間だけ自分に下さいとお願いするところなど、まったく覚えていなかった。

厳しい冬があり、やがて春になって色々な花が咲き、木々が喜ぶ。

 

現実でも、冬本番はこれから。

花々の咲く春が待ち遠しい。

 

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2023.01.30

原寮【天使たちの探偵】

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著者:原寮
価格:858円
カテゴリ:一般
発売日:1997/03/01
出版社: 早川書房
レーベル: ハヤカワ文庫 JA
利用対象:一般
ISBN:4-15-030576-5

沢崎の記念すべき短篇初登場作「少年の見た男」ほか、未成年者がからむ六つの事件を描く連作短篇集。

 

「読書メーター」で過去記事の本書に「ナイス」が幾つもついて、再読したくなった。

未成年が沢崎に仕事を依頼する話ばかりではない。結果的に調査することになったものも含まれる。
仁木悦子の御影探偵にも、この手の話があったような。

著者のちょっと洒落た言葉が好きで、今回も見つけるたびにニヤッとしている。でも、こんな言葉の綾は通じにくくなっているような気もする。

ここでは未成年(天使たち?)に遠慮してか、新宿署の錦織がややおとなしかった。
だが、「天使」と呼ぶにはあまりにも遠い未成年も多かった。

冒頭作が、一番好きかな。

その冒頭作【少年の見た男】

この少年のことは、少しだけ覚えている。
聡明で、家族思いの子だ。

 

【子供を失った男】

子供を事故で失った音楽家が、自分の過去を脅迫されているのではとおびえる話。

 

【二四〇号室の男】

この被害者は、最低な男だ。
著者はそれを、

キャデラック”エルドラド”に乗った依頼人だけはお断りだ。

と表現していらっしゃる。

 

【イニシアル"M"の男】

芸能界で、翻弄された少女。
経営側は商魂たくましく、何でも利用する。

 

【歩道橋の男】

依頼者の調査の結果を本人では無く家族に知らせ、しかもそれをネタに金を貰っている探偵。家族も、遺産が減ることを恐れている。
など、ほぼ全員が金の亡者と化している。

最初の依頼人が、唯一まともだった。

 

【選ばれる男】

選挙か自分の信念か。信じていた参謀に裏切られたのは辛かっただろうな。

 

関連記事

【天使たちの探偵】(06.05.27)

 

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2023.01.29

群ようこ【ぬるい生活】

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著者:群ようこ
価格:594円
カテゴリ:一般
発行年月:2010.2
出版社: 朝日新聞出版
レーベル: 朝日文庫
サイズ:15cm/235p
利用対象:一般
ISBN:978-4-02-261655-5

とかく無理しがちな現代人必読の、〝頑張らなくてもいい〟と思えるエッセイ25編。

 

群ようこさんの著作は、読んでことがないような気がする。
それが、【ゆるい生活】と【かるい生活】というのが、突然Twitterでヒットしてきた。
何でも漢方に目覚めて、体質改善を図った話だとか。

漢方に興味を持っているので読んでみようと思い、それより早い発行の本書から始めることにした。

本書は2003年、49歳の頃の話である。更年期に突入し、若い頃の体力も気力も次第になくなってきたことを自覚しはじめた中年の嘆きというか。それでも敢えて悲嘆しないのが、何だか痛々しいような。

そんな心境が語られている。

 

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2023.01.28

ほしおさなえ【紙屋ふじさき記念館 春霞の小箱】

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著者:ほしおさなえ
価格:726円
カテゴリ:一般
発売日:2022/03/23
出版社: KADOKAWA
レーベル: 角川文庫
利用対象:一般
ISBN:978-4-04-111419-3

記念館の閉館イベントの準備や、三日月堂との活版冊子作りの企画が進むなか、...

 

ハローワークのアイデアが次々出てきて楽しみになるのだが、それも閉館までの期限付なのが悲しい。
何とか、いい形で継承できないものだろうか。

今回も三つの中編から、色々勉強できた。
本書も、「この表紙絵はないだろう」と不満ではある。

 

【ぴっかり千両】

サークルの連中は、夏休みの遠足で川越より更に遠い、小川町まで赴く。
ここは藤崎の祖母薫子さんの故郷でもある。

ここでの紙すき体験は、さらにワークショップの可能性を広げそうで、指導員松本さんが後日記念館にやってくる。

【墨流しと民藝】

松本さんに簡単な墨流しの実験を見せた貰った百花だったが、今回は本格的に見学することに。

料紙という言葉は聞いたことはあったが、実際に見る機会はこれまで無かったように思う。書道展などで目にしていたのかもしれないが、まったく意識していなかったから。

「書」というとどうしても書道家の方に目が行くが、実は紙も非常に重要なアイテムなのだった。

料紙はもったいなくて使えないといった会話は、非常に納得出来る。

百花だけでなく、自分も綺麗なノートを汚すのに忍びなくて、使わないままのことがあるから。達筆ならともかく、自分の字で汚すのが嫌なのだ。

 

【春霞の小箱】

ここでは和紙の原料で或る楮の皮むきを体験したりして、ワークショップで出来ることがどんどん膨らんでいく。

薫子さんからは戦争中や戦後すぐの和紙の使われ方を聞いたりして、必ずしも「平和な紙」ではなかったことも知る。

そんな風に前向きに考えていた百花だったが、この時は2019年だったようだ。
世界をゆるがす大きな災害に見舞われ、記念館は閉館セレモニーも出来なくなってしまった。

記念館そのものはビル取り壊しでなくなることは判っていたが、それでも何とか次へ繋げられるはずだったのに。
紙屋藤崎の本社は紙全般を扱っているので、腐食布やマスクにも関係していたことが、この時点でわかる。後付けのような感もあるが。

 

せっかくここまでシリーズで来たのに、何だか暗い話で終わってしまった。
続刊では、希望が持てるのだろうか?

 

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2023.01.27

柴田よしき他【おいしい旅 想い出編】

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著者:柴田よしき 他
価格:792円
カテゴリ:一般
発売日:2022/07/21
出版社: KADOKAWA
レーベル: 角川文庫
利用対象:一般
ISBN:978-4-04-112597-7

魅力あふれる旅先と、その土地ならではの美味しいものがたっぷり詰まった、実力派作家7名による書き下ろしアンソロジー。

 

冒頭は、柴田よしきの【あの日の味は】。

学生時代か卒業した頃、「花園会館」という小さなマンション(というか下宿屋)で一緒に過ごした三人。

その彼女らが、50代になって京都で会って懐かしい味を楽しむ。
ではあっても、歳月は完全に彼女らを変えていた。

三人とも言いたいことがあって、でも全てをアッケラカンと話せるわけでもない。
結局、作家になった美奈も、過去の失恋や今の体調についても語らぬまま、別れた。

「あの日の味」は、多分変わっていないのに、「花園会館」は、無くなっていた。

 

次は福田和代の【幸福のレシピ】はよかった。

パティシエをしていた夫とともに、生まれ育った神戸を離れて東京へ移った琴子。

その夫も亡くなり、30年ぶりに訪れた神戸で出会ったもの。

いい話だった。

こんなおいしそうなケーキ、いくらでも食べられそう。

 

【下戸の街・赤羽】矢崎存美

これも楽しかった。

勤め先のブラックぶりと夫の浮気に疲れ果て、美琴はふるさとの埼玉へ帰ってきた。

中学時代の友だちがカフェを開きたいと聞き、その準備探索(?)に一緒に赤羽に行く。

色々な店を廻って、ひたすら菓子を食べ続けた一泊二日の旅。

彼女を手助けしながら、自分のこともゆっくり考えようと思った美琴。

とにかく、出てくるお菓子がみんなおいしそうで、「ああいいなぁ」と一人つぶやく。
こうした探索に出かけることも、もう無いのかもしれないが。

 

【旅の始まりの天ぷらそば】光原百合

ここで言う天ぷらそばは、山陽本線の糸崎駅で売られているのだという。

ラジオ局の嘱託職員永瀬真尋と局長の他愛のない話に出てくる「天ぷらそば」。
真尋にとって、この蕎麦は、祖父母のところへ行くときしか食べることの出来ない食べ物だった。なぜなら、帰途は糸崎から下車駅まで二駅しか無く、蕎麦を完食できないから。

そして真尋にとって、祖父母宅へ行くことは、夏休みの「旅の始まり」だったのだ。

糸崎駅だが、子どもの頃郡上へ行った帰りに岐阜駅から乗る列車は、ほぼ「糸崎行き」だった。往路の「国府津」もそうだが、その時には縁が無くても、長く覚えている駅名ではあった。

著者は、尾道市出身だ。

 

【ゲストハウス】新津きよみ

昔住んでいた白馬の家がゲストハウスになったことを聞いて、訪ねていった小田切だったが。

実はこの白馬行きは、「あなたの娘より」という手紙が来たからだが、小田切には離婚した妻との間に娘がいた。

それを搦めての話だが、実はもう一ひねりしてあった。同じような年頃のお客が揃う日を狙っての計画だったのだが、かなり偶然に頼りすぎの感がある。

また、小田切から元の妻に連絡が行けば、即企みがばれてしまう。あまりスッキリとした終わり方ではなかった。

 

【からくり時計のある町で】秋川清美

7年ぶりに、ミュンヘンへ一人でやってきた七緒。

7年前は、親友の立花と一緒だった。
その後彼女とケンカ別れをして、今回は一人で来た。

立花が結婚するという噂は聞いた。しかし当然、自分に招待状は来ない。

そして、ミュンヘンへ一人でやってきた。
だが、行く先々で立花とのやりとりを思い出す。

ミュンヘンでは食べる話ばかりだ。

そのあと話は急展開。ま、いい感じで終わった。

 

【横浜アラモード】大崎梢

母の旧友に頼まれて、その方の姑さんを横浜へ案内することになった明穂。

旅行会社に勤めていたこともあって、高知まで迎えに行って横浜へ。

息子たち始めずっと仕事をしてきた散髪屋の常連さんたちにも暖かく送られての旅だったが。肝心の清子さんは二日目の予定をキャンセルしたいという。

しかし何とか本心を聞き出し、清子さんの両親や弟の眠るお墓へ詣でることが出来た。

さらに、息子が予約しておいてくれたホテルのレストランではその弟の娘たちとも再会出来たのだった。

皆で食べたアラモードは、最高の味だっただろう。

 

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