鈴木るりか【14歳、明日の時間割】
鈴木 るりか 著
税込価格: 1,264円
出版 : 小学館
ISBN : 978-4-09-386524-1
発行年月 : 2018/10/17
利用対象 : 一般
中学校を舞台に、時間割に見立てた7編の短編で、現代人の苦悩、笑い、絆、友情、想いを鮮やかに描写する。笑って笑って、ホロッと泣かせる、胸に迫る青春群像。中学生作家の小説第2弾。【「TRC MARC」の商品解説】
デビュー作で10万部という数字をたたき出した著者の、第二作目。
中学の学科になぞらえての、7つの連作短編。
一時間目の国語では、まさに著者自身のその後のようなものが描かれる。
二時間目「家庭科」。家庭科クラブに入った男子中学生。彼はなぜ家庭科クラブに入ったのか。
互いに編んだマフラーを交換して、淡雪のような交流は突然終わる。
三時間目は「数学」なのだが、ここで違和感がある。
それまで女子の語り手だったのが、突然「僕」になったからだ。
どうやら、同じクラスの男子の話らしい。
ここでも出てくる中原君というのが、いい味を出している。
四時間目は「道徳」で、これまた違う男子中学生が語る話。
何とも不思議な家族で、これはこれで楽しい。
そして昼休みに入る。
「一人孤独を楽しんでいる」ように見せている女子中学生。
ここでも、中原君登場。
午後の授業は、「体育」。
語り手は、体育の苦手な女子、茜。
足の速い中原君がまたも登場するが、彼の兄の話も出てくる。
また、母に疎まれている級友の涙も。
茜という名は、中学教師だった祖父が付けてくれた。
茜さす 紫野いき 標野行きの「茜」だ。
この祖父の存在が実にいい。
祖父は死の床にあるのだが、その部屋へ行って色々話をする茜もいい子だ。
祖父の言葉に
生きものは、死ぬ瞬間までは、生きているんだな、というのがあって、現役時代に遭遇した犬の話をしてくれる。
そういう話から、茜は苦手なマラソンで賭けをしようとする。
祖父の命が今少し永らえることを願って。
本書では、この「時間」が一番良かった。
ここまで担任の先生も登場していたが、放課後は彼の出番。
さて、彼は無事小説家になれるのだろうか?
手慣れたタッチでササッと書き上げた感じ。
中学生と思うからビックリするので、既に知識は大人並みだ。
挿画は、【大家さんと僕】(18.01.05)の、矢部太郎さん(カラテカ)。
14歳、明日の時間割
2018年10月17日初版第1刷発行
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